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アウトソーシングに思うこと①~振り返るな、前を向け?~

今回はちょっと真面目な話を書いてみようと思います。

(今回は私の出身業界である物流を中心に書きます。社労士にフォーカスするのは次回になります)

さて、多くの社労士は、事業所(労働者のいる事業所)が自分で行える仕事を、あえて、こちらにお任せいただくことで仕事ができています。

”あえて”

そうです。

元々、社労士は本来不要なのです。乱暴な言い方にみえるかもしれませんが、私自身はつねにそれが念頭にあります。

なぜこんなふうに考えるかというと、私の元々いた物流業界での経験によります。

物流も、そもそもは企業が自社で行うものです。それを、運送会社や倉庫会社が、「うちを使って下さい」と営業をかけるわけです。

そのときのセールストークに必ずといっていいほど使われるのが、

「アウトソーシング」

この用語が広く使われだしたのは30年くらい前かなというイメージですが、アウトソーシングの何がいいのかというと、

「コア業務(事業)に経営資源を集中させることができます」

ということ。

商品企画・開発だったり、製造だったり、営業だったり、要するに直接お金を生む仕事に全集中できますよ、という夢を見せる理屈というふうに習い、私も初めは素直にそう信じていました。

物流の場合は、その理屈がけっこうわかりやすい。トラックや倉庫の購入・賃貸・メンテナンスから解放されるわけですし、自社で抱える従業員も少なくて済むわけです。

営業をかけられる事業所さんにとっては、大変魅力的な話です。そうすると、できるだけ安く頼みたいので、価格が主な関心になります。仮に、荷主であるA社さんが3社の物流会社さんから営業をかけられたら、当然、料金表を横に並べるわけです。たいていは、最も安いところに頼もうと決めます。

ただし、世の中には繁忙期というものがあるので、繁忙期にもっているインフラ(トラック、倉庫、人など)で賄いきれないこともあります。そういうときにどこかに頼もうとすると、足元をみられてちょっとお高めに料金を取られることはありますが、繁忙期で売り上げはたくさん見込めるので、コストもそれなりに見込んでも「まぁ、仕方ない」ということになりがちです(立地の関係で、そうした繁忙期の需要で生き残っている会社は実際にありました)。

というふうに、A社さんは自社物流からアウトソーシングに切り替えることによって、滞りなく商品を流通させることができるようになった・・めでたしめでたし。

はて?

そもそも、物流をアウトソーシングしたのって、なんのためだっけ?「コア業務(事業)に経営資源を集中させるため」でしたよね?いや、集中させるのは手段であって、事業を拡大発展させることが目的のはず・・

というふうに振り返ることは、まずありません。

一度アウトソーシングして、そのための従業員は要らないし、安い料金で頼めることを知ってしまったわけです。自社でもっていたトラックも倉庫もう手放してしまいました。

アウトソーシング?なにそれ、というくらい、自社でやらないのが当たり前になってしまいます。

何事もなければ、アウトソーシングの目的も、いやアウトソーシングという言葉を振り返ることすらありません。しかし、何事かが起こってしまうと、さぁ大変。ミスが連発してクレームの嵐、改善しろ、顛末書を出せ、いいかげんにしろ・・というのが2~3年続くと、たいていの荷主さんは我慢することを辞めて、新たな委託先を探すようになります。

いや、ミスはないんだけどね、もっとコスト減らせって厳命がでちゃってさ、今でも安くやってくれてるのはわかるんだけどさ、ね、頼むよ、うちが無くなるよりは安くても続く方がお互いいじゃん・・というふうな話し合いのパターンもあります。

クレームを無くすためにほかの委託先を探す、コストを下げるために探す・・、こんな感じでアウトソーシングの本来の目的というものが振り替えられることなく、”青い鳥探し”のような商談が日本のあちこちで繰り広げられているのかな、と中秋の名月を眺めながら勝手に想像してしまいます。

物流のことはわかったから、社労士の場合はどうなんだ、というお声にこたえるべく、そのことを書かないといけないのですが、それは次回に。

要するに、”あえて”社労士にお願いする、される、したくなるというのはどういうことなんだろう?というお話を書こうと思います。

よろしければ、またお付き合いください。

あぁ、連休もあっという間・・

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