頑張れのエール。でも頑張らない暮らし方を求めて。

 この頃、名言集を読んでいる。その中で、積極的・前向きな言葉が多いのは皆さんもご存じだろう。「今日やるべきことは明日に伸ばすな」的な名言。「善は急げ!」的なことわざ。「天は自ら助くるものを助くる」的な名言。成功者の名言やことわざは人生の参考になるものだが、やたらと急がせるものや自助努力を促すものが多い。「そうすれば、私のように成功者になれますよ」と言いたげである。

 しかし、がん治療者をはじめ、精神的にも肉体的にもダメージを受けている者にとって、耳の痛いとうていできない名言が多い。元気な時でもそう思っていた私にとっては、なおさらにそう聞こえる。頑張っても成功者にはなれないし、もうそんな人になれる年でもないなあ、と思ってしまう。

 むしろ、頑張らない、癒しの名言に心がひかれる。例えば「人力に限りあるのを知るのが自信だ」(島崎藤村)、「人生はさとるのが目的ではない。生きるのです。人間は動物ですから。」(岡本かの子)、「勝負は時の運」(ことわざ)、「今日を十分に生きなさい。」(葉祥明)などである。今日一日を生きることが人間の目的。自分の力には限りがあるから頼めることは頼んで、感謝をする。そして、自分がよく生きたと思える一日にしていく。あとは時の運に任せるしかない。

 がんと向き合う毎日が続くにつれて、もう短い生命だから、早くあれもしようこれもしたいと思うようになった。でも、結局、一日にできる自分の力は知れている。自分が今日できたこと生きれたことに満足して、助けてもらえたことに感謝する。そして少しでも自分が満足できる一日を過ごす。そういうことかな。でも、そういうことさえできていない自分は反省しなければならないかも。

 頑張れ、頑張れの多い名言のエール。でも、頑張らなくても満足できる暮らし方にしたいものだ。

貴重なあなたの時間を、私のつたない記事を読んでいただく時間に費やしていただきありがとうございます。これからも、地道に書き込んでいこうと思いますので、よろしくお願いします。