スタートアップが人材紹介プラットフォームを運営する際のポイント
社会保険労務士事務所ヨルベのかなやま(@kanayama_sr)です。
有料職業紹介事業許可を取得する必要があるか
人材紹介プラットフォームやそれに類似したメディアを運営するにあたって、「有料職業紹介事業許可を取得する必要があるか」の判断が難しいとのご相談をスタートアップから受けることがしばしばあります。
サービスの「職業紹介事業」への該当性を判断するにあたっては、求職者と求人者の間の「雇用関係の成立をあっせん」しているとみなされるかどうかがポイントとなります。
一方で、
求人情報または求職者情報を提供するのみで、求人の申込み・求職の申込みを受けず、雇用関係の成立のあっせんを行わない、いわゆる「情報提供」は職業紹介には該当せず、許可は必要ありません。
では、提供するサービスの内容がたんなる「情報提供」と言えるのか、それとも「雇用契約の成立をあっせん」しているとみなされるのか、についてはどのように判断すれば良いのでしょうか。
「雇用関係の成立のあっせん」にあたるかどうかの判断要素
「雇用関係の成立をあっせん」しているかどうかの判断にあたっては、次のような視点から検討してみる必要があります。
サービス運営者が
順に見て行きましょう。
まず、1. 情報の「加工」についてですが、
具体的には、求職者から得た求職者の情報を求人者が閲覧する際に、検索のお手伝いをするような機能がある場合、「あっせん(の一部)」とみなされる可能性があります。
例えば、
などです。
ただし、検索フィルタを設置すること自体は加工にはあたりません。あくまでもサービス運営者において求職者の情報を意図的に操作したり、検索を容易にするような変更を加えることを指します。
次に、2. 連絡の「仲介」についてです。
双方からの問い合わせに対応する程度であれば問題はありませんが、サービス運営者が間に入って連絡を仲介したり、トラブルがあった場合に介入すると、「あっせん(の一部)」とみなされる可能性が高まります。
「職業紹介」ではなく、単なる「情報提供」であると言えるためには、求人者側が求職者側の情報に勝手にアクセスできるような状態である必要があります。
その他の注意点
なお、仮に「情報提供」であり、「職業紹介」にはあたらないことが明確(=職業紹介事業許可の取得は不要)であったとしても、
は、許可の有無にかかわらず守られている必要がありますので、改めて運営体制を確認しておきましょう。
サービス運営にあたって目を通しておくと良いもの
今回ご紹介している「情報提供」と「職業紹介」にかかる点に関しては、厚生労働省から、以下の基準と指針が出されていますので、一度目を通しておかれると良いのではないかと思います。
▶︎民間企業が行うインターネットによる求人情報・求職者情報提供と職業紹介事業の区分に関する基準
有料職業紹介事業許可を取得するべきなのか?
有料職業紹介事業に該当する可能性があるにもかかわらず、許可を取得していない場合に起きうる問題点として、どのようなものが考えられるでしょうか。
例えば、融資の申し込みを行った際の融資判断に影響するような事例が挙げられます。
ビジネスモデルについて金融機関から指摘を受け、急いで許可の取得を検討したとしても、許可申請から実際に許可が下りるまでには少なくとも3ヶ月程度は要します。
また、有料職業紹介事業に該当する可能性が高い場合には、労働局の指導の対象ともなり得ます。
懸念を払拭しておきたい場合は早めに有料職業紹介事業許可を取得するか、もしくは、サービスの有料職業紹介事業該当性について労働局ないしは弁護士や社会保険労務士などの専門家にご相談されるのがよいと思います。
弊所でもご相談をお受けしています。
ポッドキャストでも話しています
今回のトピックについては、ポッドキャストでも取り上げています。是非聞いてみてください。
「労務をわかりやすく」発信します。更新継続していますので、記事が参考になりましたら是非フォローいただけたら嬉しいです。🦄