2021個人的ベストミュージック20(ソング編)

7年も続いているの偉い、褒めてくれ。と言いつつ自分が好きでやっているだけなんですけどね。ということで2021年私の観測範囲内で聴いた曲から好きな曲を20曲並べます。2021年は前半はなかなかライヴがなく、ライヴが無いと新しいジャンルの音楽との出会いがどうしても少なくなってしまうようで、比較的近しい(=Spotifyがおすすめしてくる関連楽曲)ばかりになってしまったという実感があります。それでもちゃんと新しいミュージシャンとの出会いあって、日々最高ソングは生まれているわけで、みんな懐メロだけじゃなく新しい音楽も聴いていこうぜ、という謎の問いかけもしつつ、今年もスタートです。

20. “Tap Tap Tap!” クレイビット

今やさまざまな音楽ジャンルを歌うアイドルがいるけれど、ついに来たエレクトロスウィング系アイドルが出てくるとは。簡単に言うとジャズとハウスミュージックが混ざったような音楽なんですが、レトロ感とアイドルならではのパワフルさが絶妙なバランス。タップダンスとスマホのタップをかけているのもおしゃれ。こういう音楽めちゃくちゃ好きだけど、ちょっとニッチすぎる?

19. ”神様も知らない言葉” ロースケイ

去年も言っていたような気がするが、この人は本当に早く世間に見つかって欲しい。ゲストヴォーカルではなく自身で歌っているのですが、それもまた良い。とにかくポップでハッピーでメロウなサウンドが最高なので、アイドルへの楽曲提供とかどうですかね。

18. “はじめまして” イヤホンズ

声優による音楽グループ、イヤホンズへの三浦康嗣提供楽曲は毎回さながら歌う現代アート(私しか言っていない)という趣なのですが、本作は比較的素直な着地に。とはいえ声のプロである声優が多言語の「はじめまして」を手話とともに歌うというコンセプチュアルな楽曲なのでMV視聴がおすすめ。

17. ”水硝子” RYUTist

全編通して張り詰めたような緊張感のあるサウンドと低体温な歌声。ともすれば突き放されるようにも感じられかねないのだけれど、包み込まれるような温もりがちゃんと残るのはRYUTistのメンバーの佇まいによるもの。楽曲とアイドルのつばぜり合いの結果生まれた2021年アイドルソングの最先端。

16. “週末メリーゴーランド” ごいちー

イントロ鳴って1秒で呻き声をあげ、張りのあるヴォーカルにため息が出て、サビ前のトランペットの鳴りに白旗をあげました。もうこういう曲に反応しちゃうようにDNAレベルで組み込まれています。本当にありがとうございました。

15. “最強のおふたり” Ezoshika Gourmet Club

結婚式(予定は無い)で流したいプレイリストに追加されました。影響を受けたバンドがあからさまに分かるのが少し笑っちゃうけど、文句なしの名曲。青春を少し後ろから振り返りつつ、でもこれからも青春じゃん、と宣言するような多幸感みなぎる楽曲。ラストの合唱的なパートが最高。

14. “ひかりのディスコ” CAPSULE

Perfumeプロデュースでお馴染み中田ヤスタカのホームグループことCAPSULE。久々のリリースは彼らのデビュー以降のラウンジポップ→エレクトロというジャンルの変遷を踏まえた集大成的な音になっていて、古参ファンは嬉しいです。

13. ”トンデモワンダーズ” sasakure.UK

ボーカロイドの楽曲を使った音ゲー「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク」への提供曲。ゲーム内のアイドルグループのオリジナルソングなのだが、情報詰め込み型のサウンド、ヴォーカル泣かせの複雑なメロディはボカロならでは、と言いつつここ10年ほどのアイドルシーンとの繋がりも感じさせる。またリアルのアイドルにはなかなかない男女混成グループというのがとても良く、同姓のみのアイドルのユニゾンでは出せない分厚いヴォーカルは心地よい。

12. ”April True” Rin音

イントロ鳴って1秒で(以下略)。サンプリング的にたくさんの音が隙間を埋めるように重なり合いながら、全体として大きなグルーヴが生まれていくサウンドに歌メロ的なラップがバシッとハマっている。カロリーメイトの受験応援企画のタイアップとしてApril Trueというタイトルも気が利いている。最高な4月を迎えようぜ。

11. “Moonlight Magic” 花澤香菜

ついに花澤香菜がサブスク解禁されたことは全国のポップスリスナーにとっての朗報でした。早く全曲聴くべし。そして初期花澤サウンドを形作ってきた北川勝利の久々のプロデュースとなる本作は声優としてだけではなく、歌手としてスケールが一回り大きくなった彼女の魅力がナチュラルに詰まった新たなシーズンを感じさせるものになっている。

10. “悪役” 眉村ちあき

当初は若干イロモノ的な受け取られ方をされていたし、実際そのクレイジーさが大きな魅力の一つであった眉村ちあき。ただその後どんどん説明不要の名曲が放たれており、この曲はその一つの到達点と言える。楽曲の射程がどんどん遠く広がっていて、だからこそバンドアレンジに負けない曲としての強さを感じる。音源も良いですが、とにかくライヴでの才気みなぎるパフォーマンスが圧巻。

9. “はなしかたのなか” 諭吉佳作/men

でんぱ組inc.にも楽曲提供をする新時代のシンガーソングライター。少ない音の組み合わせ、シンプルな構成、ぽつぽつとつぶやくような歌詞と歌。ミニマルながら聴き手に果てしない広がりを感じさせ、言葉がその意味を超えて浸透する感覚は演劇を見た時の快楽に繋がるものがある。

8. “SQUALL” LUA

しとしと降るただの「雨」より、ゲリラにやってくる「スコール」の方がその劇的さにエモーションを感じるのですが、そんなスコールを歌う名曲がここに。少しハスキーがかったヴォーカルとキレのある80sライクなカッティングギターは相性抜群。

7. ”えっちなこと” 木下百花

元NMB48によるソロ曲。当時の彼女のエキセントリックキャラを知っている人は結構衝撃を受けるスイートさですが、MVを見ると彼女らしいビターもちゃんと入っているなという感じ。何より彼女の自己プロデュース力、パフォーマンス力の強さに感心するばかり。

6. “きらり” 藤井風

ついに紅白まで辿り着いた藤井風。今年は初めてライヴを観れたのですが、音楽性とかはさておいて「星野源」を比較対象にしても良いのではと思わせるカリスマがダダ漏れでした。HondaのCMソングというSuchmosも通った道を歩くこの曲も、彼らしさとキャッチーさのバランスが絶妙で末恐ろしい。

5. ”さんさーら!” ARuFa

アニソン界で名を馳せる田中秀和、ボカロPのピノキオピーによる人気WEBライターARuFaのいわばキャラクターソング、というWEBサイト、オモコロの記事の企画から生まれた楽曲。と書いても情報量多すぎて伝わる気がしない。いわゆる企画ものなのだが、情報量の多いアレンジはこれぞ田中秀和節で、それを歌いこなすARuFaのキャッチーなヴォーカルとの相性がこれまた抜群。ネット文脈を理解しているとより楽しめるのは確かだけど、純粋に楽曲だけで聴いても神曲。

4. ”サンフラワー” フィロソフィーのダンス

何がメジャーで、何がインディーか、というのは曖昧な定義だけど、このゴージャスで重厚なサウンドはまさにメジャー的と言いたくなる。ライヴパフォーマンスの良さを売りにしてきた彼女たちからすると、今の状況はなかなか辛いところだろうが、真っ当に楽曲の良さで殴ってきているのは素晴らしい。この最終回、もしくはエンディング感(実際に映画の主題歌でもある)!

3. “イヤフォン・ライオット” 私立恵比寿中学

未熟さを売りにしてきた彼女たちも、恐るべきパフォーマンスの向上によりもはや成熟したアイドルになっていたのだけど、そこに久しぶりの新メンバーの加入。結果、クオリティはそのままにリフレッシュ。再構築による何度目かの新生エビ中が爆誕した。それにしても、新メンバーの違和感の無い溶け込み具合が素晴らしい。

2. “Ginger” TOMOO

軽やかにピアノを弾き語るソロシンガーソングライターTOMOO。甘さと太さを兼ね備えた中音域の声質を軸に、ステップを踏むように上下するメロディの中で低音とファルセットが心地よく混ざり合う。自らの作曲、歌う声と自分の武器ががっちり組み合わさっている様はシンガーソングライターとして最高のアウトプット。

1. ”朱夏” fishbowl

夏を彩るアイドルソングのアンセムがここにまた1曲誕生した。フィロソフィーのダンスへの楽曲提供などでも知られるヤマモトショウのプロデュースによる静岡を中心に活動するアイドルグループの2ndシングル。デビューしたばかりでまだ何ものにもなっていない彼女たちが歌うのは、<青春だってまだわかってない>少女たちの一夏の姿。<瞬間>と繰り返す歌詞は、まさに彼女たちにとっての夏が始まった美しさを描き出す。そしてそれは、青春は終わることを知っている、もう振り返ることしか出来ない大人たちに突き刺さる。意図的にベタな夏の思い出を彼女たちが楽しむ様を映し出すMVと併せて、アイドルソングを聴く理由を教えてくれる。


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