vol.005 葉を編む手、世を照らして
この島が「沖縄」になる、はるか昔の物語。小さく名もなき島は、浮き草のごとく海を漂流していた。そこに降りたったアマミキヨという神がアダンを植え、漂う島を海底に根付かせ、琉球国は生まれたという。
そんな神話、「琉球神道記」にも登場する「アダン(阿檀)」は、沖縄の風景に欠かせない植物である。トゲのある葉とパイナップルのような果実、ガジュマルのように太く強い根が特徴だ。
沖縄の人は古くから、アダンを生活に取り入れてきた。可食部が少なく食用には向かないものの、その葉や幹を利用して、