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模型と人 2nd season

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今期は不定期です
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模型に込めるもの

模型に込めるもの

模型を作っていると良く「魂を込める」と云う表現を目にします。デジタル造形とアナログ造形の諍いの元にもなっていますね。魂は手で込めるもの、誰にでも出来て同じようになるデジタルには宿らないと云う主張を幾度が見かけました。魂が込められた模型とはどう云うものなのでしょうか。古い日本家屋にある、器物百年を経て怪異と成した日本人形宜しく、魂を込めると生命が宿り、動き出したり髪が伸びたりする事なのでしょうか。し

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逃避と閃き

逃避と閃き

なにかに追われている時ほど関係ないことが良く閃きます。締切が近いとか展示会やイベントが近いとかそういうやらなきゃ行けないことに追われてケツカッチンの時の時間ほど、あれやりたいこれやりたいとなってしまうのは人の業なので仕方ないのですが、そんな時程、あれ?これとこれ組み合わせたら面白いのではとか楽しそうなことが閃いてしまう。そんな事ありませんか?私は日常的に起きています。締切がこちらを睨んでいる時程、

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考証と云う教養

考証と云う教養

プラモデルをよりリアルに仕上げる為に、キットのモチーフになっている素性をよく調べて細部(ディテール)に表現したりしますが、これはよく考証と云われたりします。考証は古い書物や映像などで物事をよく調べて、それを証拠として説明することとあります。この場合の説明は模型のなので形にする、つまり表現する事だと思います。この時代にはこういった素材が遣われているからこんな感じで表現してみよう、となる訳ですね。戦車

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ネロブースを洗った話

ネロブースを洗った話

先日、いつも通りに塗装をしていたらネロブースのファンの辺りからカラカラ音がし始めて、電源を入れ直したりもしてもカラカラカラカラ音が止まらなくなりました。中で虫か何かが入ってしまったのかなと思いましたがそれでもネロブースは普通に稼働しています。まあいいかなーと思っていたのですがカラカラカラカラまあうるさい。ここは一念発起。ネロブース、洗浄したろやないかい、と。

購入した日を調べたら2017年の8月

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プロモデラーとプロライターの違い

プロモデラーとプロライターの違い

先日ツイッターで国谷さんが凄い海外モデラをみつけて動画のアドレスとともにアップされながら、「簡単お手軽ばっかり考えている自分が居た堪れない」とツイートされてるのを見て、何をゆうとろうかこの人は……と思いつい噛み付いてしまいました。簡単って簡単に云いますけどその簡単、本当に簡単ですか、と。それはさておき、ふとそこで改めて考え直してみました。それこそ国谷さんは日本の誇るペインターですが、誌面などではい

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nippperと云うサイト

nippperと云うサイト

小学生の頃、誰もがみんな絵の具セットを持っていました。学校の授業でありましたので必然だったとは云え、それでもみんな色塗りは楽しかったのではないかなと思います。白い紙に赤青黄色の色がついていく過程は単純で面白く、とても刺激的な遊びだったはずです。好きな色だけすぐ無くなったりして。それがいつしか、太陽は黄色で空は青色だとか誰々ちゃんの方が上手いよとか、修正されたり比較されたりする事で、絵を描かなくなっ

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スペースの話をしよう

スペースの話をしよう

ツイッターにスペースと云う新機能が搭載されたので試しに使っていたら、からぱたさんと会話が出来る貴重な体験が出来ました。以前から考え方が面白い人だなと思っていたのでお話出来たら楽しいだろうなと考えていたのですが、気がつけば3時間以上話をしていました。「あ、はじめまして」から3時間以上。自分では話をするのはそんなに得意な方でないと自覚しているので、これはからぱたさんのトーク力が凄い証左でもあるのですが

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シェフ国谷による調理教本を読んで

シェフ国谷による調理教本を読んで

国谷さんの塗装したフィギュアを始めてみた時の痺れた感じは今も忘れられません、こんなに細かい塗装が出来るものなのかと衝撃でした。人間にこんな塗装が出来るのかと震えました。その後色んなご縁の中、ご本人様と知り合うことが出来てAM誌で企画をご一緒させていただける間柄にまでなれたのは人生のひとつの僥倖です。理路整然とした塗装法から気難しいメガネの痩せた寡黙な男性とプロファイルしていたのですが、酒宴の場でお

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塗装ブースが変えたもの

塗装ブースが変えたもの

導入して数年経つネロブースですが、今日も元気に動いています。多分ほぼ毎日動いているのではないでしょうか。何か部屋で食べた時とか、何ならただの換気としてもつけることがあります。粉塵を伴う作業もこの中で行うので、導入当初はで、デカい……と思っていたブースも今となっては少し手狭に感じるようになりました。開発者のがっとねろくんは開発にあたり色々なモデラーに試してもらいより快適に使えるように相談しながら今の

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手を抜くと出来る隙間

手を抜くと出来る隙間

私は割と満遍なく色んなジャンルの模型を作るタイプの人間なのですが、1度ひとつのジャンルを作り始めると暫くはそのジャンルのものを作り続ける習性があります。最近だとキャラクタフィギュアばかり塗っていたのですが、久々にガンプラを作ろうかなと思った時、箱を開けて工程の多さの想像に気が滅入り中々重い腰が上がらずそのまま蓋を閉じるなんて事が何度もあったのですがある時、ツイッターのホロワーであるGUCCIくんが

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プラモデルが上手くなる

プラモデルが上手くなる

小さい頃はおばあちゃん子だったので、おばあちゃんとよく遊んでもらった記憶があります。遊ぶといってもおばあちゃんちは自営だったため、基本的には一人で遊んで分からない時はおばあちゃんに聞くようなスタイルだったように思います。プラモデルもおばあちゃんちでよく組みました。なので、おばあちゃんにはよく手伝ってもらいました。ズゴックが好きな子だったので、何個もズゴックを作らせたと思います。どこのおばあちゃんよ

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アドバイスと云うノイズ

アドバイスと云うノイズ

ツイッターを見ていると良く「初心者論争」のようなものが起きます。定期的に上がる話題なので人気がある題材なのでしょう。内容としては「プラモデル初心者はこれをするべき(買うべき)だ」と云うテーマの是非のようなものです。例えば作りやすいキットを買うべき、合わせ目は消すべき、塗料はこれを使うべき、などなど。べきべきだらけです。失敗しないためにはこうすれば上手くいくよ、と云う事なのですが、成功体験の提案はつ

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番外篇1: 模型と人「人が模型を欲する理由」

番外篇1: 模型と人「人が模型を欲する理由」

今回は番外篇です。
寄稿として書いたものですが取り敢えず伸びたのでここに載せることにしました。口調が違うのはそのためですので、番外篇としました。ご笑覧頂けると幸いです。缶珈琲飲ませてくれると元気がでます。

人は太古の昔から人の形を模したものを欲しがる生き物だった。土を捏ね木を彫り石を削り人の形を作った。それらは祈願や信仰の代理品だったものからやがて技術的に昇華され芸術・美術品となり、現代では嗜好

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模型の神様

模型の神様

模型を作っていると色々な壁に打ち当たりまして、その都度どうしたものかなと考えるわけです。技術的な事もあれば、デザインやアイデア的な事もあります。その時はもちろんの事、日常生活を送りつつも頭の片隅でいつもぼんやり考えてたりすると、時々ふっといい考えが湧いてきたりします。まるで模型の神様が金たらいの様にアイデアを頭に落としてくれる時が。お、これは良いのではと試してみて嵌る時もあればダメな時もあります。

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