鳩尾
食生活だか、ストレスだかで、2、3日お腹が痛い。
痛みは、臍の少し上、だいたい胃のあたりだろうか。身体の前側の表皮に近い位置で、きゅうと絞り上げていた。
人には、胃の前壁が痛いと伝えた。
普段あまり経験しない痛みだったので、心配になって、「胃の前側 痛み」と検索してみた。
期待していた結果は出ずに、単に胃の痛み全般を解説したサイトが候補に上がってくる。
検索候補に上がった、関連しそうな言葉をいくつか調べてみる。
するとそのうち、候補に「みぞおちの痛み」と出てきた。うーん、違うと思うけど…と思って見たら、なんと!人体の画像の、まさに痛かった場所に赤丸マークがついているではないか!
私はみぞおちの場所を忘れていたか、間違えて覚えていた。検索した時点ではなんとなく、もっと胸の真ん中寄りにある気がしていた。びっくりした。大袈裟な、と思われるかもしれないが、何十年も寄り添った、自分の身体感覚と語彙が定義とズレていることにびっくりした。
それから、変に冷静になって考える。肘や膝のように、見えやすくて日常生活で自然と覚える部位と違って、みぞおちやら、丹田やらは、親や先生からいつどのように教わったか想像がつかない。でも、覚えているし、直接触れなくても感じられる。
服や肉で目に見えないところも身体の一部で、そして人間の身体感覚は他者と共有できないから、こういうことはもしかしたら、私じゃなくてもあるかもしれない、と想像した。
あなたのみぞおちはどこですか?と聞いたらアホらしいかもしれないけれど、ちょっとずつズレたところを指差したら、私はニヤリとする。