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編集部が語る!「行きたくない」とぼやいていたback numberのライブが、愛で溢れていた話

3人組ロックバンド・back numberの、自身初となる5大ドームツアー福岡公演初日(2023年4月22日)に、スカパー!note編集部 タンタンが参戦してきました。
今回は、そんなライブの様子をレポートしたいと思います。

*なお、MC内容などは記憶とSNSを掘り起こして記載しているため、一字一句同じではないことご了承ください◎


「あー、ライブ行きたくない。」

これは、back numberのライブを前日に控えた私のツイート(抜粋)である。

もちろんこれは本心ではない。ライブも自分の意思で申し込んだし、昨年のアリーナツアー「SCENT OF HUMOR TOUR 2022」のTシャツを身に纏って羽田発・福岡着のフライトに乗り込むほどには気合い十分である。

……それでも、back numberのライブのことを考えると溜め息が漏れてしまう。

それは、back numberの音楽に触れるといつだって、
心の奥の奥の、もう少しで治りかけというかさぶたみたいな部分さえも剥がれる勢いで心が抉られてしまうからである。

back number初の5大ドームツアーとなる「in your humor tour 2023」。
京セラドーム大阪を皮切りに、名古屋、札幌、東京、そして福岡と、約1ヶ月半というタイトな日数の中で全9公演行われた。

NHK朝の連続ドラマ小説「舞い上がれ!」の主題歌『アイラブユー』や、TBS系日曜劇場「危険なビーナス」の主題歌『エメラルド』などが収録されている最新アルバム「ユーモア」を引っ提げた今回のツアー。
実に4年ぶりとなったアルバムリリースに、「そうか、この曲も今回のアルバムか!」と驚かされる曲も多くあった。

タイアップ曲はもちろん、今回のアルバム曲がどれも良く、個人的には最近のback numberのアルバムの中でも特にグッとくる曲が多い名盤だと感じた。
それは、実際そうでもあり、もしかするとそれだけ私側もこの4年間で多少の人生経験を積んできて、歌詞の中に刺さる部分が増えたからでもあるのかもしれない。

ここでは、ライブでも披露され、今回のアルバムの中で特に刺さった曲を3曲紹介したい。

・秘密のキス

「ユーモア」における1曲目。窓に差し込んだ光みたいなやさしいイントロから既に心臓がギュンとなるのだが、
特に曲のラスト、<この曲が2人だけのオープニングテーマでありますように> という歌詞が好きだ。

この曲、ハッピーな両想いソングでは全然なくて、<期待できない マイアイデンティティー / 出来もしない韻踏んだって僕の価値は上がったりしないね / 比べたら勝てないさ > と、back numberらしい捻くれワードが散りばめられている片思いソング。

けれど、そんな「諦め」で終わるのではなくほんの少しの期待― それも、<ここから君を奪って> というものではなくて、<秘密のキス / どちらからでもない> そんなお互いの心の通い合わせを願っている歌なのだ。

<比べたら勝てない>ような今の状態を歌ったこの歌が、2人にとってのエンディングテーマでも、劇中歌でもない、 <オープニングテーマでありますように> という一文にそんな願いが表現されていて、心臓がキュっとなる。
アルバム1曲目なのにこの時点で既に「く…苦しい…」となってしまった。

・赤い花火

このアルバムにおいて最も堪えたのは「赤い花火」だ。歌詞を聴かずともメロディーラインだけで胸が苦しくなるのは私だけではないだろうと思うが、この現象についてどなたかに関ジャムで解説していただきたい。

この曲、 <7時を回る前に フラれておいてよかったわ / 最後に私と見る花火は余計に綺麗でしょ> という情景にあるように、花火大会での別れを描いた曲で、ライブでも赤い花火を模した照明が綺麗だったのだが、そんな花火を見上げながら、ふと「わたがし」(2012)を思い出してしまった。

思い出しただけならまだしも、
この2曲の登場人物がもしも同じ夏祭りの場所にいたら? どう手を繋いだらいいか思案している人と、7時を回る前にフラれておいてよかったわと吐き捨てる人の世界線がもし重なっていたら?などと妄想をしてしまって、特大の溜め息が出た。

(意訳:2曲ともに大好きな歌です。)

・ヒーロースーツ

「苦しい」を連呼して精神状態を心配されそうなので、明るい曲も紹介したい。

Vo./Gt.清水依与吏さんが初めてハンドマイクのみで歌っている「ヒーロースーツ」。今までのback numberでは珍しいような、ポップさ突き抜けた一曲で、ライブで確実に盛り上がるし(実際、会場のボルテージはかなり上がった)、<実際戦うなら武器は何だろう / 刀は危ないし んー銃も怖い / 素手で殴ればきっと手が痛い / 他のものを探そう 話し合いで解決するっていうのはいかがですか監督> と、歌詞も可愛い。

サウンドプロデュースを務めているのは、KinKi Kidsや吉澤嘉代子さんなどの楽曲プロデュースも行うsugerbeansさん。sugerbeansさんプロデュースの曲、キラキラピカピカで、ミラーボールとかシャボン玉みたいな演出がぴったりな曲が多くて好き。
ヒーロースーツ、これからもライブで沢山聴けますように。


その他、名曲ぞろいのアルバムは以下より。


そんなこんなで毎曲毎曲に心抉られた結果「ライブ行きたくない」とほざいているような私は、純粋にback numberが好きで、ライブを今か今かと楽しみにしてきた人たちと比べたら真っ当なライブの楽しみ方ができていないのではないか。

そんなことを思いながらライブで奏でられる曲を聴いていた。だが、MCパートにて。


 「”国民的”とか、”売れたい”とかそういうのは一切なくて、この曲はどうやったら良くなる?ということだけを考えているうちに、ふと気が付いたら『いい曲だね』と言ってくれる人が増えて。色んな出会いがあって、今日を迎えてる」

「みんながどの曲でback numberを知って、どの曲が好きなのかは分からないけど、どの曲に対しても『この曲はどんな人生を歩むんだろう』って頭使って、時間使って、大切に考えて作ってる」

というような話を聞いて。


歌詞に毎度自己投影しては苦しくなったり、胸に秘めていた感情が溢れそうになったり。そこまで思えているのは、 back number の3人が バンドの見せ方などといった「バンド単位」ではなくって、1曲1曲の「楽曲単位」で真摯に丁寧に魂を注いで作ってくれていたからなのだろうなと思った。

そして、私の心を抉ってゆくのも、この曲が歩んだ人生の1つ。

back numberのライブにおいては、1曲1曲と対話するみたいな気持ちでいるのも1つの楽しみ方なのではないかと思えるようになった。

(と、ここまで散々「曲」としての話をしているが、その後、メンバーがセンターステージに移動する演出の際に、3人が自分の席から手が届きそうなくらいに近くを通るタイミングがあってめちゃくちゃ興奮したし、思い切り手を振った。結局はバンドとしてもback numberが大好きなのだ)


「ここにあなたを連れてきてくれたのは曲たちだから。俺たちすげえだろってことじゃなくて。」

「生まれた場所も、育った場所も違う。「空」「街」「あなた」「君」って聞いたときに思い浮かべるものは違うはずなのに、同じback numberの曲で繋がれているんだから。それは曲のおかげだから。」


どこまでも、楽曲ファースト、そして聴いてくれる人ファーストであり、そういう懐の深さを持ったback numberのでっかい愛を受け取れる―
そんなback numberのライブが私は好きだし、これからも行き続けるのだと思う。


―でもその前に、やっぱり「行きたくない」とぼやいてしまうのだろうけど。



今回のライブの、東京ドーム公演の様子が7月にWOWOWにて放送します。ぜひお楽しみに!

演奏曲はこちら。


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