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乃木坂46の歌詞について考えるシリーズ

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乃木坂の曲の歌詞についてnoteを書いたらこちら。
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『ここにはないもの』/乃木坂46の歌詞について考える

1期生メンバー・齋藤飛鳥が参加した最後のシングル表題曲である。いわゆる「卒業シングル」のひとつに数えられる、この曲。 公式YouTubeチャンネル「乃木坂配信中」での生配信で初披露されたほか、その年の紅白歌合戦でも披露されるなど、彼女の卒業を大々的に彩ったこの楽曲。 率直に言えば、最初歌詞を読んだとき疑問がわいたというか、「おや?」と思うところがあった。〈寂しさ〉が全面に出た内容だったからだ。 いわゆる「卒業シングル」は、新たに作られるたびに変化が見られた。書いているこ

Bメロイントロという革命~『心にもないこと』が超好き~

5期生楽曲のひとつ、池田瑛紗ちゃんがセンターを務める『心にもないこと』が、ともかく大好きである。良曲ぞろいの『人は夢を二度見る』シングルの中でもモーレツに好きである。 ピアノとストリングスにアコギの暖かい実在感が重なる乃木坂らしい美しい楽器のサウンド、サビ頭の〈あぁ〉という遠ざかっていくようなファルセット、ドキッとする裏拍を食う譜割り、マンネリズムへの不安が滲む切ない歌詞、意外と低めな声質の瑛紗ちゃんの真摯な歌い出し、5期生達の透き通ったユニゾンの重なり、どれを取っても良い

『ジャンピングジョーカーフラッシュ』/乃木坂46の歌詞について考える

30thシングル収録曲の、いや、乃木坂46楽曲の中でも屈指のハイテンションポップロックチューンであり、そして珠玉のナキウタである今回の4期生楽曲『ジャンピングジョーカーフラッシュ』。曲を聴いてもMVを観てもとにかく楽しくなって、その矢先に涙が止まらなくなる。 その理由は、この曲の歌詞のそこかしこに散りばめられているが、とにかく楽しくて眩しくて美しくて尊くて切なくて泣きそうになる(そして堪えるのはムリ)。 そんな想いを、ともあれ書くと言うのが今回の趣旨です。 ◆ そもそ

『錆びたコンパス』/乃木坂46の歌詞について考える

今日(6月13日)、2期生メンバー・山崎怜奈ちゃんが、パーソナリティを担当しているラジオ番組『誰かに話したかったこと』冒頭で、乃木坂46からの卒業を発表した。 彼女の卒業に関して思ったこと・感じたことは(あまりにも長くなっちまうことうけあいなので)割愛するとして、ここで取り上げたいのは彼女のセンター曲『錆びたコンパス』である。 (それにしても、直前に執り行われた10thバスラを最後の舞台に選びながらも、卒業発表をライブ開催の後にした理由が、なんだか彼女らしいなあと鼻奥をツ

『マシンガンレイン』/乃木坂46の歌詞について考える

28thシングル『君に叱られた』Type-Aにカップリング収録されているアンダー楽曲『マシンガンレイン』。 今回センターを務めるは、3度目のアンダーセンター就任にして、今作の活動をもってグループから卒業することを発表した寺田蘭世ちゃん。 (11月9日、1st写真集『なぜ、忘れられないんだろう?』発売予定!) そんな『マシンガンレイン』、サビ頭の〈ダダダダと〉というやたらアタックの強いフレーズが印象的であるが、歌詞の具体的な内容を見てみると、「〈教師とその教え子〉の禁断の

『ごめんねFingers crossed』/乃木坂46の歌詞について考える

27thシングル『ごめんねFingers crossed』の歌詞について考える、まず冒頭文のつもりで(遠藤さくらちゃんの)パフォーマンスについて書いた。 ら、長くなったので一旦公開、その後続けて書き進めてみたらやっぱり長くなったので、結局タイトルを変更しつつページを分けることにした。 期せずして違うシリーズが出来たのはさて置き、これ↑でざっくり挙げた『ごめんねFingers crossed』の歌詞のポイントは以下の3点である。 ●『ごめんねFingers crossed

『君に叱られた』/乃木坂46の歌詞について考える

9月22日についに発売となった28thシングル『君に叱られた』。 4期生・賀喜遥香ちゃんがセンターを務めるこの曲は、乃木坂46のシングル表題曲にしては珍しくかなりストレートにキャッチーなポップソングである。 歌詞については、サビの〈わかった〉〈言葉が〉という譜割が軽妙で好きなんだけれども、今回はそこではなく。注目したいのはその内容である。 賀喜ちゃんは「"自分のことを叱ってくれる人の大切さ"を謳ったもの」と紹介時に語る。実際それは正しく、しかしもう一つ、見落としてはなら

『他人のそら似』/乃木坂46の歌詞について考える

先日(9月15日)午前0時から配信がスタートした『君に叱られた(Special Edition)』。 来週に控えた発売日に先駆けて全曲聴けるのをいいことに早速リピートしたところ、やはり『他人のそら似』が良いな!と。 『他人のそら似』は、8月21日の乃木坂46『真夏の全国ツアー』福岡公演day1にて、グループ結成10周年を記念する楽曲として初披露された。メンバー全員参加かつ歴代の表題曲の振り付けが盛り込まれており、何かと目も離せないメモリアルさがあるが、やはり注目すべきは歌

『全部夢のまま』/乃木坂46の歌詞について考える

27thシングル『ごめんねFingers crossed』にカップリング収録された、3期生・与田祐希ちゃんがセンターを務めた楽曲『全部夢のまま』。作曲は、AKB48などにも多く楽曲提供している成瀬英樹氏(今回はyou-me名義)。 センターを挟むフロントポジションには星野みなみちゃん、筒井あやめちゃん。ディスコファンク的な軽快なサウンド、切なくも高揚する美メロ、星空のような衣装、しとやかでありつつダンサブルな振付、夢見的なMVと、構成要素が一通り完成度高く、そして評判のいい

『僕は僕を好きになる』/乃木坂46の歌詞について考える

乃木坂46・26thシングル『僕は僕を好きになる』が1月27日に発売されまして。センターを務めるは3期生・山下美月ちゃん。 発売日の翌土曜日30日にはフロントメンバー3名による発売記念の企画『SNS横断フェス』が開催されたり、そもそも収録曲の良さっぷりもあったりと、既に大盛り上がりかと思われます。 作曲は我らが杉山勝彦氏。氏がシングル表題曲の作曲を務めてくれたのは『サヨナラの意味』以来4回目だそうで。乃木坂46としても、まいやんの卒業を経てからのNewシングルという事で大

『ガールズルール』/乃木坂46の歌詞について考える

10月28日の水曜日に『Mai Shiraishi Graduation Concert』が行われ、遂に白石麻衣さんが乃木坂46を卒業してしまいましたね。 とっても笑ったり泣いたりしてしまったのは言わずもがなですが、セトリで個人的にグッときた部分が本編ラストが『ガールズルール』だったこと!これは紛れもなくアニメの最終回の一番最後にオープニングテーマが流れるパターン! (ヒーロー番組、ロボアニメなんかでは特に定番のやつです。乃木坂的には『初森ベマーズ』の最終回が太陽ノックで

『Tender days』/乃木坂46の歌詞について考える

10thシングル『何度目の青空か?』の通常盤にカップリング収録された楽曲、『Tender days』。 MVもなく一年に一度のBirthday Liveくらいでしか観る機会がないが、乃木坂楽曲の中でも屈指の「隠れた名曲」である。 歌詞の構造自体は至ってシンプル。言ってしまえば、ギミック的なものは見受けられない。 気になるのは「Tender days」というタイトルの意味。乃木坂46楽曲の中でも数少ない英語のみで構成されたタイトルであり、その中でも更にコレという訳をするの

『アナスターシャ』/乃木坂46の歌詞について考える

※「~~に関係する内容の可能性がある」の注記が表示されていますが、言うまでもなく、歌詞を引用した結果文中に〈ロシア〉と含まれているだけなので悪しからず。 ◆ 乃木坂46・25thシングル『しあわせの保護色』にカップリング収録された、2期生メンバーによるユニット曲『アナスターシャ』。 2期生楽曲はこれまでも作られていたが、『アナスターシャ』は今までの楽曲以上に所謂”2期推し”の方々に愛されているように思う。愛されているというより、ひたすら惹かれているようですらある。 そ

『僕のこと、知ってる?』/乃木坂46の歌詞について考える

『僕のこと、知ってる?』。紛れもなく名曲である。 ドキュメンタリー映画『いつのまにか、ここにいる Documentary of 乃木坂46』の主題歌であり、24thシングル『夜明けまで強がらなくてもいい』のカップリング曲として収録されている。 この曲の歌詞についてTwitterなどで調べてみると、賛否両論どちらの意見も多く、と言うか歌詞の解釈自体人によって千差万別、「こういう曲だ」と一口に結論付け難いように思う。 ただ個人的には一つ「こうだな」という見方をしておりまして