俳優としても活躍 松岡雅士、ソロデビューシングルリリース&ファンディング目標達成:sprayer Interview
奈良県出身、俳優・MCとしても活躍する松岡雅士が、シングル「ここからだろ」を10月31日にリリースした。アイドルグループ卒業後、ソロアーティストとして初の作品となる本楽曲は、松岡が作詞を担当。パワフルなロックサウンドと手を取り合うような力強い言葉で、リスナーの、そして新たなスタートを切る彼自身の背中を押す一曲に仕上がっている。これまでのキャリアや楽曲に込めた思い、今後のビジョンについてインタビューした。
「共感できた」の言葉が嬉しかった
-松岡さんのキャリアのスタートは、俳優活動からだったんですよね?
そうですね。きっかけは本当にベタなんですけれど、高校1年生の頃に、新聞の広告に載っていた事務所の募集を母親が見て、勝手に応募したんです。別に演技をやってみたいっていう気持ちは全然なくて。中高が男子校だったので、モテればいいなとは思ってましたけど(笑)。それから東京に来て、10年くらいになりますね。
-その後、アイドルグループのメンバーとして音楽活動を始めたわけですが、そのきっかけは?
コロナ禍になったときに、俳優としての仕事がパタリとなくなってしまって、どうしようかなと思ってたんです。で、大学の頃にちょっとバンドをかじってたりとか、男性アイドルが大好きだったりしたので、この際チャレンジしてみようかなと思って。探してみたところ、ご縁があってグループに加入したという形ですね。実はその前からデモCDを作ったりもしていたので、音楽活動には興味を持ってました。
-男性アイドルが大好きっていうのは?
妹が2人いるんですけど、KAT-TUNとか関ジャニ∞(現・SUPER EIGHT)とかが好きで、その影響で僕も中学生くらいのころにハマったって感じですね。
-なるほど。バンド系の音楽については、どのあたりを好んで聴いていたのでしょう?
きっかけはBUMP OF CHICKEN。中1の頃、電車乗ってる時に友達から「良い曲やから聴いて」ってMDで聴かされたのが「天体観測」で、それからどっぷりハマりました。あとはRADWIMPS、ONE OK ROCK、マキシマム ザ ホルモン、シド、Janne Da Arcとか聴いてましたね。
-ご自身でもバンド活動をかじっていたとのことですが。
大学の頃に舞台を専攻してたので、自分らでセットを立てて、新入生歓迎ライブとか卒業ライブをやってたんです。僕はベースとボーカルで、コピーバンドをやってました。洋楽とか、東京事変さん、椎名林檎さんの曲もやってましたね。
-そういったバンドでの活動とアイドルとしての活動っていうのは、やっぱり全然感覚が違う?
まったく別ジャンルですね。伝え方が全然違うというか。バンドは音楽で伝えるのが100%。お客さんと目が合わなくても通じ合えるのがバンドだと思うんです。でもアイドルはお客さんとの距離感が一番大事で。どれだけ目を合わせてキャッチボールをするか、パフォーマンスを見せるか。その「人」を見ている方が多いですからね。
-グループの卒業を決断したのはどのようなきっかけだったんですか?
何年か続けて、僕がグループでやっていく将来が見えづらくなってきたということもあって。32歳になり、一人でこれからやっていけるように次のステップに進む必要があると思って、卒業を決めました。
-グループ卒業後にソロでの音楽活動を始めた経緯について教えてください。
グループで活動していた時に、配信の枠をメンバーで競い合って、一位だったら自身の作詞でオリジナル曲を出せる、っていう企画があったんです。その時に初めて作詞をしたんですけれど、自分の創作物を世に出したらこんなに人に響くもんなんや、むっちゃ気持ちいいなと思って。その曲には結構ネガティブなことも詰め込んでいたんですけれど、お客さんから特典会で「めっちゃ共感できた」って言われて。「良かった」「すごかった」じゃなくて「共感できた」って言われたのが嬉しかったんです。そうして、卒業を決める前あたりから、もっと曲を作りたい、歌詞を書きたいと思うようになったのがきっかけですね。
-ただ自分が歌うのが楽しいっていうよりは、誰かに響くことにやりがいを感じた?
そうですね。「こういう歌詞をこういう音楽に乗せれるんだ」みたいなことに気付いて。それこそRADWIMPSとかもそうですけど、文字だけで見たら辛辣な歌詞なのに、なんで音楽に乗せたらこんなにスッと聴けるんだろう、みたいな。そうやって、音楽ってものが本当に生活の中で隣にあるもんなんやなって気付けたのが大きかったですね。これからも、自分の感性や人生観を表現できるような曲をいっぱい作りたいです。
自身とファンの背中を押す初ソロシングル「ここからだろ」
-10月31日には初のソロシングル「ここからだろ」をリリースしました。どういったコンセプトで制作された楽曲なのでしょうか?
グループ卒業が決定したときから考え始めた曲なんですけれど、僕が4年間グループとして活動してきて、それからまた1人に戻るということで、期待よりも不安の方が大きいっていうファンの人も多いと思うんです。僕自身もそうですし。なので、自分自身にもリスナーにとっても、背中をトンと押してくれるような曲にしたいなっていう思いから作り始めました。
-そのメッセージと連動するような、爽快なロックサウンドが印象的ですね。
どんな言葉を並べるにしても、まずは音の第一印象で「この曲ノれるな」とか思ってもらえるのが一番大事やと思うんです。元々バンドが好きなのもあるんですけど、僕のキャラクター的にも、しっとりとしてエモい曲よりは一緒に跳んで盛り上がれるような曲にしたかったので、バンドベースの楽曲にしたいとは考えてましたね。
-楽曲の影響元になったアーティストや楽曲はありますか?
めちゃめちゃありますね。グループの時に出したソロ曲は、あいみょんさんがWEST.に楽曲提供した「サムシング・ニュー」にインスパイアされて書きました。WEST.の重岡大毅さんが、僕にとって理想の人なんですよ。で、「ここからだろ」に関しては、SUPER EIGHTの「情熱Party」っていう曲が大好きなので、参考にさせていただきました。
-なるほど。ちなみに、重岡大毅さんのどういったところをリスペクトしているんですか?
人間性や立ち振る舞い、言葉遣いなどももちろんなんですけれど、重岡さんの書く歌詞が本当に全部、100%刺さるんですよね。どう生きてたらこういうことを書けるんだろう? と思ってます。
-「ここからだろ」ではラップにも挑戦されてますよね。
それこそ、元KAT-TUNの田中聖さんが大好きだったんですよ。僕自身、グループでラップも担当してたので、そういうところもそのまま残していきたいなと思って、ちょっとだけ入れてみました。
-そこには、グループ時代からのファンも連れていくよ、という思いも込められているんですか?
そうですね。それもありますし、どうなるかはわからないですけど、僕が今後ソロで活動するだけでなく、ユニットを組んだりとか、プロデュースをやることもあるかもしれなくて。その時に、この曲に振付を付けることもできるんじゃないかっていうことも意識しながら作ってたんですよ。なので、アイドルとしての自分の気持ちを忘れないように制作しました。
-歌詞にはどのような思いが込められていますか?
僕の歌詞の書き方って、もしかすると脚本の書き方と似てるかもしれなくて。起承転結の物語を最初に考えるんです。結末をあらかじめ決めて、その未来に向かうためにはどうすればいいのか、っていう風に構想を練ることが多いですね。特に伝えたいのはやっぱりサビの部分なんですけれど、1番で自分の気持ちを伝えて、2番でリスナーに寄り添って、3番でお互いに結束する、みたいな流れを意識しています。あとは、語尾なんかの細かい部分にも結構こだわっていて。「でしょ」じゃなくて「だろ」って言い切ることで力強さを表現しています。
-デティールにも気を配りつつ、全体の構成を重視していると。そういった構想は全部頭の中で考えてるんですか?
全部書きますね。携帯のメモが何万件ってあるんですよ(笑)。気になることは全部メモしてるんで。
-「ここからだろ」について、特に注目して聴いてほしいポイントはありますか?
卒業や就職、受験など、誰しもステップアップしなきゃいけない時期があって、そういう時にネガティブな気持ちになってしまう人って多いと思うんです。この曲の歌詞は、「止まれやしないだろ」「進むしかないだろ」と言ってはいるんですけれど、落ちサビでは「凹んでもいいんだよ」「泣いてもいいんだよ」とも歌っているところがキモだと思っていて。そのメッセージが伝わればいいなと思ってます。
「ここからだろ」をみんなで育てていきたい
-今作のリリースに伴い、sprayerのファンディング機能を用いたサポーターの募集も行ってらっしゃいますね。
お客さんにも配信収益の一部を還元できて、いただいた支援は次の自分の制作に使えるので、これはやらない理由はないだろうということで、取り組ませていただきました。
-通常のクラウドファンディングだとリターンの用意が負担になったりもしますもんね。
そうですね。舞台のチケットに関する特典もそうですけれど、毎回考えるのも結構大変で。これまでもクラウドファンディングをやろうと思ったことはあったんですけれど、どうしても手間がかかることが多いですから。sprayerのサポーター募集の手軽さは大きなメリットでしたね。
-サポーターの人が作品の配信収益を一部受け取れるっていう仕組みは面白いですよね。今の時代、どの楽曲がどのタイミングでバズるかとかわからないわけですから。
そうなったら儲けもんですよね。サポーターとしても誇らしいでしょうし。
-実際にファンの方からサポートを受け取ったり、メッセージをいただいたりしてみて、感触はいかがでしょうか?
たとえば、ライブ配信で投げ銭をもらっても、お客さんにお返しできるものってライブ配信で喋る以外にないのがもどかしかったりもするので。そういう意味で、sprayerのファンディング機能は、音楽という形でお返しができている実感があるのが嬉しいですね。
-今回集まったサポート金額については、どのように活用していく予定ですか?
次の楽曲制作の資金に当てたいなと思ってたんですけれど、やっぱりお客さんの目に見えるように残したいなっていう思いがあって。たとえば、今の「ここからだろ」のジャケット写真は僕が素材をはめ込んでデザインしたものなので、それを新しくデザイナーさんに依頼してレベルアップさせるとか。「ここからだろ」に対していただいた支援なので、「ここからだろ」を育てるために使いたいですね。CD化するとかもそうですし。そうやってみんなでRPGみたいに成長させたら、みんなも「ここからだろ」に愛着が沸くんじゃないかなって考えてます。
-2025年の活動の展望を聞かせてください。
「ここからだろ」を成長させるのももちろんですけれど、やっぱりもっとライブをしたいと思っていて。去年は自分の主催ライブを行うことが多かったので、外部の、知らない人たちのところに飛び込んでいきたいですね。あとは2曲目をリリースすること。今作ってる最中なので、2025年中には出したいです。あとはもう一つ、来年できればいいなと思っているのが、ユニットを作ること。そこで自分が作った曲も提供しながらやっていけたらなと思っています。
-最後に、松岡さんの音楽活動の目標を教えてください。
アイドル時代はZeppでやりたいとか武道館でやりたりとかいろいろ目標があって、もちろんそれは今もできたら万々歳と思ってますけど、どんな小っちゃいところでも続けていくことが大事だと思ってるんで。音楽に年齢は関係ないと思ってますし。とにかく継続したいですね。どんな形であれ生涯現役だというのはファンの人にもいつも言ってるので。結果はともかく、続けていきたいです。みんなもずっと健康でいてくださいね。
Text:サイトウマサヒロ(@masasa1to)
Edit:sprayer note編集部