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勝敗で異なる感動体験とは

「スポーツに関わる“常識破り”の価値を広めて、常識にする」を胸に、仕事をしています。

この「スポーツPR ミニミニ講義の実況中継」は
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「前例がない」「できるわけがない」「それはきれいごとだ」
などの声に負けずに挑戦している方に、ヒントになる考え方を伝えること
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を目的として、週に2,3本のペースで更新する

・スポーツ関連事業を行っている企業・組織で働く方
・スポーツ関連ビジネスの個人事業主
・現役アスリート、元アスリート

向けの短い講義です。
スポーツとは関係のない広報担当者から「スキ」をもらうこともあります。

なぜ、スポーツに関わる“常識破り”の価値を広めて、常識にしたいのか。

私はスポーツ記者を13年、その後、PR業に立場を変えて8年と、伝える仕事を20年以上続けています。その中で、言語化や仕組みづくりを進め、組織や個人が大切にしている理念が広まれば、“常識的にはありえない”ことも実現する場に立ち会ってきたからです。

例えば、私がかつて広報担当を務めた日本ブラインドサッカー協会は、前例のないスポンサーシップを行ったり、競技の価値を活かした教育プログラムや企業研修を開発し、言語化と仕組みづくりで、それらの価値が広まって、何万人もの人の心を動かすものとなりました。

この連載は、忙しいあなたが、3分以内で手軽に読んで変われるよう、ギュッと凝縮しています。価格以上の大きな効果につながる内容にしています。
移動中に読んでもいいですし、定期的な学びの時間として使って頂いてもいいです。あなたに合うスタイルでお楽しみください。

今回のテーマは「勝敗で異なる感動体験とは」です。


前回の続きです。

東海大学体育学部講師の押見大地先生が、2013年に発表した博士論文「スポーツ観戦における感動:プロサッカー観戦者を対象とした感動喚起の実証的検証」の一部を紹介します。

この研究の成果の一つは、スポーツ特有の要素である勝敗と、「感動」の関連性を明らかにしたことです。
勝敗によって、観戦者に喚起される感動体験は異なっていて、感動喚起に及ぼす影響も違っています。

勝利チームにおいては、「共鳴・一体感場面」、「懸命な姿場面」、「ヒューマニティ場面」が感動喚起に影響を及ぼした。

敗北したチームにおいては、「共鳴・一体感場面」、「卓越したプレー場面」においてのみ、感動喚起に影響を及ぼした。


どちらにも共通している「共鳴・一体感場面」とは、こんな場面です。

⑤共鳴・一体感場面
- 観客が熱狂的に応援しているのを見たとき
- 観客が懸命に応援しているのを見たとき
- 自分が会場全体と一体になって応援するとき
- 得点の際に自分も一緒に大声援に加わったとき
- 自分が他の観客と一体になって応援しているとき

一体感をつくる、とよく言いますが、そのために、スタッフができることは何でしょうか?
他の観客の応援する姿が見えることも大事だということですね。陸上トラックがなく、スタンド同士が近ければよく見えます。
「一体」には、声による一体もありますし、振り付け(手拍子、タオルマフラーを広げる、コレオグラフィーなど)による一体もあります。


③懸命な姿場面
- 最後まで必死に戦い抜く選手の姿を見たとき
- 応援しているチームが最後まで必死に頑張っているとき
- 応援している選手が最後まで必死に頑張っているとき

これは選手や指導者の現場に頼るしかありません。

⑧ヒューマニティ場面
- 選手の何らかの物語(ストーリー)を共有できたとき
- インタビュー場面で選手が泣いているとき
- 負けた選手が気丈に振る舞っているとき
- 勝った選手が泣いているとき

物語の共有は、長年見ているサポーターだけがわかるという他力を当てにするのではなく、事前にオウンドメディアやマスメディアで知らせてことができます。


一方、敗北しても

②卓越したプレー場面
- 卓越した個人プレーを見たとき
- 素晴らしい連携プレーを見たとき
- 素晴らしいゴールシーンを見たとき

で感動を呼ぶことはできます。選手や指導者の現場の頑張り次第です。

私は、負けても感動できるものが何かを明らかにしたのは大きいと思います。なぜなら、勝ち負けはコントロールできないからです。負けても感動してもらえたら、観客は戻って来てくれる可能性があるでしょう。


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