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取材とはコメントではなく、○○を集めること

◎この「スポーツPR ミニミニ講義の実況中継」は、
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スポーツ業界の現状を変えたいという強い思いや意欲はあるのに、
実践するのに苦労しているという方に、考えるヒントを伝えること
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を目的として、週1回程度、更新する

・スポーツ関連ビジネスを行っている企業・組織で働く方
・スポーツ関連ビジネスの個人経営者
・現役アスリート、元アスリート
・スポーツのスポンサーを行っている企業・組織で働く方
向けの講義です。


私はスポーツ記者を13年、その後、PR業に立場を変えて7年と、伝える仕事を20年ほど続けてきています。

その中で、素晴らしい価値を持っていながら伝え切れていない企業や、情報発信を何とかしたいと思っているものの、なかなかできない組織を見て、もどかしさを感じてきました。 一方、携わったところの認知度が上がったり、関わる人が増えたり、世の中の見方が変わったりという喜びも、一緒に取り組んだ方々と共に味わってきました。

そうした経験から、「組織の成長に伴走したい」と、創業して3年目。日々、パートナーである企業の情報発信やその体制づくりに携わっています。ビジョンとして掲げている「スポーツと様々な分野が、もっと当たり前につながる世の中に」の実現を目指して、愚直な実践を続けています。


忙しいあなたが、3分以内で手軽に読んで変われるよう、ギュッと凝縮しています。価格以上に大きな効果につながる内容です。移動中に読んでもいいですし、定期的な学びの時間として使って頂いてもいいです。あなたに合うスタイルでお楽しみください。

今回のテーマは「取材とはコメントではなく、○○を集めること」です。


広報担当者の重要な仕事の一つは、メディアの取材対応です。通常時も1時間程度のインタビューを調整して行うことはありますが、ここでは、スポーツの大会やイベントでの話をします。また、特にライターのニーズに絞って話します。

取材と一言で言っていますが、記者が一番聞きたい話は何なのかと、深掘りして考えたことはありますか? 


こう言うと、本人のコメントだと考える人が多いです。北島康介さんの「チョー、気持ちいい」は流行語大賞になりました。何か面白いこと、新しいことを言ってくれれば、と期待していると思われているかもしれません。
しかし、記者が本当に求めているのは、コメントではありません。

私が若手の記者だった時の話です。本人のコメントを取るというのは、場がセッティングされることも多いので、誰でもできる仕事です。試合の描写があって、それに本人のコメントが入っているのは、原稿として最低ラインを越えているにすぎません。上司には何の評価もされません。

では、原稿が読者にとって面白いものになっているのかどうかの分かれ目は何か。
それは、エピソードが入っているかどうか、です。

エピソードとは、その人にまつわる隠れた一面を表すようなちょっとした話題です。「へー、そうなんだ」と、思わずうなづいてしまうような話です。

スポーツの場合だと、例えば
・とてもユニークな練習方法を取り入れている
・ある人から励まされた一言がとても効いた
・性格が象徴的に表れた場面
・名前の由来
・競技を始めたきっかけ

こういうものが入っていると、その人のことがよくわかり、原稿が面白くなります。特に、スポーツ新聞の場合は、エピソードを取ってくることを新人記者の頃から徹底的に鍛えられます。

取材慣れしている人やサービス精神旺盛な人だと、自らエピソードを語ってくれることもありますが、それは稀で、ほとんどの場合は、記者が束になって質問を重ねていく中で、なんとかエピソードを引き出そうと頑張ります。
また、エピソードは必ずしも本人から取らなくてもいいです。むしろ、本人以外の人から得ることが多いです。『A-Studio』というテレビ番組を見たことがある方なら、イメージできるかと思います。

広報担当者は、このような記者の真のニーズを理解しておくことが重要です。短い時間で取材を区切って、「コメントがとれたから、OKでしょう」というようなスタンスでメディアと接するとか、選手、チーム関係者以外の取材を厳しく制限するとかは、やってしまうと、猛反発を受ける可能性があることを頭に入れておきましょう。

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