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①試合が始まってから、サッカーの監督ができること〜ビジネスに通じる代表監督の意思決定と文脈・二十年史〜

サッカーの監督が、試合が始まってからできることは、ざっくり2つ。「選手交代」と「ハーフタイムの指示」。プレー中の指示は、レベルの高い試合は、ほとんど影響がない。選手から、プレー中に、ポジションや戦術の変更・対応があるが、これは現場の判断でどんどんやるしかない。ピッチの選手たちのプレーと判断がほとんど。そんななか、試合を左右する「選手交代の意思決定」が、国際試合で、”プラス”となるか”マイナス”となるか。個人的には、先んじた戦略に基づく、大胆な着想と意思決定が大好きだが、様々なケースがある。日本代表監督を中心に、「意思決定」の歴史、明暗を見ていく。経営やビジネスでの参考にもしたい。今回あらためて、去年今年年頭の、ハリルホジッチさん、岡田さん、西野さん、森保監督のNHKのロングインタビューも、見直してみた。アジア大会での森保監督の意思決定も、続くnote  で記してみたい。

意思決定ケース①:1997年11月16日 イラン戦@ジョホールバル。FIFAワールドカップフランス大会最終予選。岡田監督。カズ&中山雅史→城彰二&ロペス。(延長)北澤豪→岡野雅行 結果:◎   ビジネスクオテーション:不利な状況では、大胆な変革。徹底。

僕も、現地のスタジアムにいた。当時、Coca-Colaを担当しており、最終予選の公式飲料はCoca-Colaだった。シンガポールに近い、マレーシア・ジョホールバル。勝てば、初めてのワールドカップ出場。ちなみに、この時初めてウルトラス植田朝日とも知り合う。試合は、中山のゴールで先制するも、2点取られての逆転されてから場面で、いっぺんに二人交代。それも絶対的エースだったカズを交代。城は、それまであまりゴールを決めてなかった。岡田さんは、加茂さんから突然アルマトイで引き継いで代表監督に。あの場面で凄い意思決定。そして、城は、中田英寿からのピンポイントの斜め後ろからのパスに反応し、ヘディングシュートでゴール。同点に追いつく。そして、延長。そこで延長に入る前に、岡田さんはまた大胆な「選手交代・意思決定」をする。キーちゃん(北澤豪・ヴェルディMF)に替えて、岡野雅行(レッズ・足早い系)。岡野は、最終予選に一度も出ていない。スタジアムで、岡野が延長前にピッチでウォーミングアップで走り出した時、スタジアム(九割日本のサポーター)は、岡野だ岡野だ、と騒然となった。僕は、名良橋と岡野が交代するのかと思ったが、キーちゃんと交代。スタッツでは、最終予選・キーちゃんが一番ボールの出し手や起点になっており、キーちゃん→ヒデ(司令塔)→FW/SBという流れだった。のちに、個人的にも色々仕事をしていたキーちゃんとはこの時の話を何度かした。結果は、何度もシュートを外すも、岡野のスピードとヒデのボール回しに、イランはついてこれず、岡野の劇的ゴールで、日本は初出場。「不利な状況での、大胆な人員交代や施策」。

意思決定ケース②:1997年9月28日 韓国戦@国立競技場 FIFAワールドカップフランス大会最終予選。加茂監督。ロペス(FW)→秋田(DF)  結果:X  ビジネスクオテーション:「消極性は、守りにならず、減退を生む」 

国立競技場での韓国戦。僕は、スタジアムで、Coca-Colaのプロモーションの仕事で、「応援フェイスシール」をサンプリングしていた。試合は、山口の芸術的ループシュートで先制。そのあと、残り17分ほどで、加茂監督はロペスに替えて、秋田を投入。守備固め。そこから、韓国に2点を取られて、逆転負け。ある意味結果論である。点を取られないために、守備固めを、という意思決定だった。しかし、その消極性が、韓国の猛攻を防ぎきれなかった。この試合も含め、引き分けが続いた加茂監督は、アルマトイで解任となる。

(続く)

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