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集客に困っている、すべてのスポーツ関係者へ

集客のためのプラットフォーム

現在、各スポーツリーグ、チーム、クラブは、「集客」に苦しんでいる。直接の原因のコロナ禍で、なかなか「戻らない」と苦しんでいる。
集客とは、スポーツ(ビジネス)でも根源的な、重要な要素であり、試合会場に人を呼び込むことは、本来、容易ではない。短期、中期、長期と、継続的に施策が必要であり、そもそも、チーム自体に魅力や強さがベースとなるが、ミッションスポーツとしては、集客のフォーマット・戦略・戦術を、「5つのタッチポイント」に分けながら、その目的と戦術を記す。「グラスルーツ」「マスメディア・地域メディア」『試合会場』「オンライン」「パートナー企業・自治体・商店街など」の5つのタッチポイント。この数年、SNSばかりが注目されるが、集客は、包括的、短期・中期・長期のアプローチが必要になる。

これらの戦略・戦術は、筆者(ミッションスポーツ代表・満田)が、アドバイザーをしている、地域クラブ・福山シティFCでも奏功している。この5つのタッチポイントへの施策を、福山シティFCのケースとその他のケースを例示しながら、集客戦略の理解を促進する。なお、本内容は、MSBS(ミッションスポーツビジネススクール)の専門プロコース、”マイナー”スポーツ価値向上の第3回と第4回の講義内容にも基づいている。

地域リーグで、2731人、集客した福山シティFC

中国リーグ・福山シティFCは、2022年4月3日の中国リーグ・三菱自動車水島FC戦で、2731人を集客しました。

福山シティFCのtwitterより:4月3日の三菱自動車水島戦

このコロナ禍で、地域リーグが、2731人を集客することが、どれだけ大変で、どれだけすごい数字かは、特にスポーツ関係者は分かると思います。
この集客の理由・要点は、ひとつではありません。集客は、大変難しいビジネス行動です。

集客戦略:タッチポイント(1)・グラスルーツ

グラスルーツ・地域活動の重要性

地域活動、学校訪問、スポーツ教室など、地域の人たち、子ども達、保護者との交流し、その機会で、スタジアムやアリーナでの観戦も促す。駅でのチラシ配りや、各店舗でのポスター貼りのぼりの設置での、その地域での認知やロイヤリティ醸成。

選手によるチラシ配り:福山シティFC公式Twitterより
福山シティFC・事業スタッフ・藤田氏のTWITTERより

この学校訪問や地域交流は、”ボディブロー”のように、いい意味でも、集客に効いてきます。また、私が、以前担当した、フットサルの日本選手権ですが、集客にも課題がありました。そこで(当時の試合会場・代々木体育館のある)渋谷区を訪ね、渋谷区の学校でのフットサル教室(選手による)訪問キャラバンを企画し、各小学校でフットサル教室をしてフットサルの凄さと面白さを体験してもらい、最後に全員にチラシを渡し、”お父さん・お母さん・ご兄弟・姉妹”と来てね、と廻りました。これだけが原因ではありませんが、歴代最高の、ほぼ満員の代々木体育館になりました。

集客戦略:タッチポイント(2)・マスメディア・地域メディア・試合中継

地域メディアとのリレーションや試合中継・マスメディアでの報道

福山シティFC立ち上げの際、岡本代表、樋口副代表と話し合い、こだわったのは、クラブの独自の理念・ビジョンの明確化:地域課題解決型クラブ、ということと、まず、地域のテレビ局(民放・NHK)、地方紙(中国新聞・全国紙の支局)、タウン誌を回ること、ビジョン(地域課題解決・なぜ福山市にJクラブが必要か)を説明すること、関係構築すること。最初は、冷たくされても、粘り強く。かならず、何人かの記者やディレクターは、クラブに注目し、報道や番組を制作してくれるまでになる、と。その地道な「メディアリレーション」が奏功し、今年の新体制発表会には、テレビ局全局が取材に来てくれました。その後の、神社祈願も含めて、朝のニュースなど、報道もかなり出ました。
放送メディアとしての、テレビ局やケーブルテレビ、ライブ配信メディアも重要です。試合の模様を、定期的に放送することは、ファンづくり、その競技・クラブへの理解、選手の認知、集客への大きな誘因になります。

2022年福山シティFC・新体制発表・テレビ局は全局来てくれました(地域クラブでは画期的)

RCC・中国放送(TBS系)は、なんと、福山シティFCを長期取材し、特集番組を放送してくれました。

RCC・中国放送による福山シティFC特集番組

さらに、2022・中国リーグホーム開幕戦、RCC・中国放送は、全国中継・配信をしてくれました。カメラ3台、実況と解説。

中国放送が全国配信・6番高田選手は、MSBS第1期で、営業も兼ねる。

集客戦略:タッチポイント(3)・試合会場

試合会場:顧客満足を目指す。試合内容と快適な空間・時間

試合会場は、最大のファン、顧客とのタッチポイント。「顧客満足」を実現し、リピートと友人・家族などの勧誘、できれば、年間パス購入やファンクラブ会員化を、目指します。
大きくは、「試合の内容・選手達のパフォーマンス」と「快適な時間・空間」の2つが、顧客満足の達成に貢献します。もちろん、「勝利(をめざすこと)」、「感動、興奮、ワクワク感」が、体験価値であり、顧客満足に繋がります。同時に、エンタメ、演出などや、飲食。マーチャンダイジングなどで、楽しい空間・時間づくりもリピートの理由になります。安全、清潔で、楽しい空間。もちろん、アクセスや雨天時の対策なども、快適な空間・時間の要素になります。

集客戦略:タッチポイント(4)・オンライン

SNS・コミュニティ・アプリ・双方向

オンラインでのファンや顧客との持続的エンゲージメント情報発信双方向の交流も重要な集客の手段です。SNSにより、継続的な情報発信は必須ですが、福山シティFCは、岡本代表、樋口副代表、選手、スタッフが、「全員発信」を行っています。

福山シティFCは、「全員発信」

ただし、昨今、クラブやチームの広報は、SNSに頼りっきりの時もあります。また、デジマケ会社やネット系広告代理店などが、有料SNS広告などを、クラブに奨めたりしますが、現在のクラブ規模で有料広告は、まだまだ早いと思いますし、現実には、有料SNS広告では、集客はなかなか効果が出にくいと思います。

集客戦略:タッチポイント(5)・パートナー企業・自治体・商店街など

パートナー・スポンサー・自治体との連携・アクティベーション

パートナー企業とのアクティベーション、パートナーシップ発表などの発信、実行を継続的に行う。また、自治体との連携で、自治体の持つメディアやルート、首長の協力・広報なども、集客にはとても有効です。また、商店街などでのバナーの設置、のぼりの設置なども、地域での機運醸成、応援ムードの高まり、観戦意欲の喚起になります。

トップパートナーなどの発表は、必ず調印式・選手参加で広報
福山市との包括連携協定

ビジョンの具現化とメッセージの一貫性

各タッチポイントには、一貫性のあるメッセージ

上記、5つのタッチポイントには、一貫性のあるメッセージを届けることが重要です。昨今、ブランディングや、リブランディングの言葉もよく聞かれますが、リブランディングしても、観客が増えている感じはあまりしません。ともすると、ブランディングが、ロゴを変えるとか、クリエイティブやランディングページをNBAや欧州サッカークラブを模倣するのが、ブランディングかのように事実誤認されている風潮もあります。クラブやチームの、独自の理念やビジョン、そしてそのスポーツの独自のスタイルなどを、具現化して、顧客やファンに届けるのが、ブランディングの要諦です。集客への各戦略は、そのビジョンやメッセージを届ける手段でもあります。懸命に闘う、プレーする選手達は、ファンや視聴者に、そのクラブ、チームの素晴らしさや競技の面白さ、そして、クラブの理念やメッセージを伝える、伝道師でもあります。それが伝わった時、試合会場に来て、応援したくなるのではないでしょうか。また、スポーツコンテンツの集客は、従来のマーケティング手法の、ターゲット分析、ペルソナ設定、カスタマージャーニー、カスタマーエクスペリエンス、といった流れでの分析や、AIDMA(Attention, Interest, Desire, Memory, Action)といった広告・認知から行動への流れの理論があまり効かないのをずっと見てきました。AISASといったオンライン中心の理論も同様です。「集客」という行動に移すまでには、スポーツコンテンツは、多様で包括的なアプローチを、継続して行う。
筆者は、福山シティFCだけでなく、さまざまなスポーツの事業において、集客・広報・告知・グラスルーツ活動を行いました。満員のスタジアムにするために。(例)フットサル日本選手権(ほぼ、代々木体育館満員)、5大スタジアム・パブリックビューイング(国立競技場・横浜国際競技場・埼玉スタジアム・長居競技場・神戸スタジアム)、マンチェスターU対浦和レッズ(5万8000人)、インテル対浦和レッズ、バイエルン対浦和レッズ、FCバルセロナ対浦和レッズ、ラツィオ対ヴィッセル神戸など

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