見出し画像

「”良い姿勢”とは?〜側面から見る異常〜」

今回は、

・背中を伸ばせば良い姿勢!と思っている方
・普段、姿勢指導してるけどいまいち理解できていないトレーナー/セラピスト
・Sportip Proアプリのユーザー

の皆さんに向けて「良い姿勢」を科学的知見に基づいて紐解いていこうと思います!(この回は側面編になっており正面編を次回更新予定)

この記事では、研究論文の科学的エビデンスに基づいて情報を発信していきます。最後まで読めば、臨床現場で活かせる科学的な姿勢分析の方法・Sportip Proアプリの真髄がわかるようになると思いますので、ぜひ最後まで目を通してみてください!

1. 良い姿勢とは◯◯である

良い姿勢は耳・肩・股関節中心・膝・足首が一直線上にある姿勢とされることが多いです。

詳細には…
・重心線が ❶耳垂 ❷仙骨岬角 ❸股関節中心やや後方 ❹膝蓋骨後面 ❺踵立方関節 を通る
・頚椎が約30~35度前弯、胸椎が約40度後弯、腰椎が約45度前弯
・骨盤は上前腸骨棘と恥骨結合が垂直面上にある
・股関節は屈伸0度、膝関節は屈曲や過伸展がない中間位である

スクリーンショット 2020-09-12 14.30.35

(竹井仁, 姿勢の評価と治療アプローチより)

姿勢は、生まれ持った骨格や関節の構造の問題だけでなく心理的状態や疲労からも影響を受けると言われています。

例えば、椅子に座っている時、肩をすくめて頭を前に出す姿勢は、身体重心が支持基底面の中央に近づくため本人とっては楽な姿勢となりますが決して良い姿勢ではありません。また、不良姿勢は大きく3タイプに分けることができ、タイプによって負荷の高まる部位が異なります。

それでは次の章で姿勢のタイプを詳しく見ていきましょう。

2. 姿勢はタイプに分類される

不良姿勢は大きく3タイプに分類されます。
(もっと細かく分類することもありますが今回は…)

画像の左から
・オーバーS
・スウェイバック
・フラットバック

スクリーンショット 2020-08-24 17.06.29

(竹井仁, 姿勢の評価と治療アプローチより)

①オーバーS(後弯前弯型)
この姿勢はいわゆる反り腰と言われるものです。
脊椎は本来緩くS字にカーブするものですが、悪い姿勢の習慣化からカーブがきつくなりオーバーSに変化していきます。
※「オーバーS」はSportip独自の名称であり、わかりやすくお伝えるため作成したものですので、正式な医学的用語ではありません。

②スウェイバック(後弯平坦型)
スウェイバックは骨盤が後ろに倒れながら前にずれ、背中が丸まり、頭が前に出ている姿勢を指します。
椅子に座っている時は骨盤が後ろに倒れやすく、背中が丸まりやすいので、長時間のデスクワークをしている方はスウェイバックに注意が必要です。

③フラットバック (平背型)
フラットバックは骨盤が後ろに倒れてしまうことで腰のカーブが失われ、背中やお尻が平らになってしまう不良姿勢です。
また、猫背やストレートネックも共に問題になりやすいと言われています。

3. 不良姿勢がもたらす悪影響

コラムvol.1_3

・筋のインバランス
・背骨のストレス増加

不良姿勢は身体に様々な悪影響を及ぼします。
代表的な2つの例を見てみます。

①筋のインバランス
筋のインバランスとは筋肉のバランスが悪くなることを指します。筋肉が最大限の筋力を発揮するためには理想的な筋長である必要があります。筋肉のバランスが悪くなるというのは、理想的な筋長よりも短縮している、もしくは理想的な筋長よりも延長していて筋力が発揮できていない状態です。

つまり...
不良姿勢は本来正常姿勢で使うべき筋肉が使われなくなり延長
一方で特定の筋肉ばかり使ってしまい硬くなり短縮
そしてそれらによって効率的な筋運動が阻害されているということです。

筋のバランスを整えるためには、弱く緩まった筋肉をトレーニングし、硬くなっている筋肉をストレッチでほぐすことが大切です。筋運動が阻害されると代償動作を生み出してしまうので、歩行など動作の改善も必要となってくるでしょう。

②背骨のストレス増加
不良姿勢は背骨に大きなストレスを与える可能性があります。
背骨は、椎骨と呼ばれる小さな骨が重なり合って一本の柱のようにして成り立っています。また、椎骨と椎骨の間には椎間板と呼ばれるクッションがあり、動きを滑らかにしたり衝撃を吸収したりすることによって背骨の可動性・耐久性を保っています。姿勢の変化はこの椎間板に与える負荷を変化させます。

ある研究では、
体重70~80kgの人が立って前屈すると立位時の1.5倍、寝た状態からの起き上がりでは2.1倍の負荷が腰椎椎間板にかかると報告しています。

つまり、正常姿勢からの逸脱は背骨の負荷を高めると考えられます。不良姿勢のような状態を持続すると知らぬ間に背骨にストレスを与えている可能性があるのです。そういったストレスの蓄積が腰痛などの慢性的な痛みにつながってしまうこともあります。

4. 姿勢を知る

コラムvol.1_4

普段から楽な姿勢をとっていませんか?

痛みで気付いた時には時すでに遅し。
サポーターを腰や首に巻く生活となっているかもしれません。

姿勢の評価は正しく行えていますか?

不良姿勢の観察不足や誤った主観的評価で選手や患者の将来を左右してしまうかもしれません。怪我や疾患を予防するためにも、姿勢をより正確に把握しておく必要があるのではないでしょうか。

そして、適切な評価から効果的なエクササイズを行いたいですね。
Sportipでは、それらを可能にするため「Sportip Pro」を開発しています。

図1

誰でもどこでも使えるアプリを通して姿勢を客観的指標で正確に解析することで、個人に適したコーチングで健康を守り、現場で活躍するトレーナーやセラピストの手助けすることを目指しています。

それでは次回またお会いしましょう!

サービスに関するお問い合わせはこちら

Sportipの詳細はこちら

<参考文献>
1. 竹井仁, 姿勢の評価と治療アプローチ. Spinal Surgery: 2013, vol.27, no.2, pp.119-124
2. Smith, Anne, O'Sullivan, Peter, Straker, Leon, Classification of Sagittal Thoraco-Lumbo-Pelvic Alignment of the Adolescent Spine in Standing and Its Relationship to Low Back Pain, Spine: September 1, 2008 - Volume 33 - Issue 19 - p 2101-2107 doi: 10.1097/BRS.0b013e31817ec3b0
3. Czaprowski, D., Stoliński, Ł., Tyrakowski, M. et al. Non-structural misalignments of body posture in the sagittal plane. Scoliosis 13, 6 (2018). https://doi.org/10.1186/s13013-018-0151-5

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?