【MLBドラフト】3年後...2019ドラフトレビューLAD編

目ぼしい選手を5人(場合によっては4人)ピックアップして、ドラフトから3年経った選手達の活躍を見ていきます。

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績


1(25).コディ・ホース(Kody Hoese):3B:右投右打:6-4/200:Tulane:$2.74M($2.74M)
ドラフトイヤーに大ブレークを果たしたスラッガー。全米トップクラスのペースでHRを量産。勝負を避けられることも増え、アベレージ、出塁率共に上昇した。一方で、好成績を疑る声もありバットスピードの平凡さ、ボールの見極めの拙さを指摘されている。守備は平均レベルには守れる。

成績

 プロデビューイヤーはOPS.800超と1巡目指名の名に恥じぬ成績を残しましたが、以降2シーズンは低迷。シーズン2桁HR0回&OPS.700以上0回と厳しい状況になっています。
 過去2年とも故障で長期間離脱することがあり、その影響もあっての成績だとは思いますがドラフト当時の不安が的中しているとも言えるでしょう。まずは、バットスピードについて。現在もそれほど速くなっているわけではなく、それでいて長打を狙おうとしているためか、スイングに勢いをつけようとかなり遠回りな軌道を描いているようにも見えます。半速球や変化球には対応できても、プロレベルの速球に対応するのは難しそうです。
 また、難有りと見られていたピッチセレクションの拙さも露呈しています。デビューイヤー以降はBB%は6%前後と低い水準で推移。K%は平均レベルなため、特に積極的に打ちに行っているというわけではないようです。
 耐久性が低いうえに、出場してもまともな数字を残せないとなるとメジャーレベルに到達できるかさえ危ぶまれそうです。


1(31).マイケル・ブッシュ(Michael Busch):1B:右投左打:6/207:North Carolina:$2.31M($2.31M)
アベレージとパワーを兼ね備える打撃が魅力。昨年、アプローチを見直したことでポテンシャルが開花。四球が三振数を上回ることもある。パワーはずば抜けているわけではないが平均以上。1Bとしては若干物足りないかもしれないが、シーズン2桁HRは固い。体格はずんぐりむっくりで、スピード・アーム共に平凡だが、打球反応やハンドリング等はそつなくこなす。2B/LFの経験もある。

成績

 プロデビューイヤーこそ10試合の出場のみでヒットは3本のみと不安な出だしとなりましたが、以降2シーズンは好成績を残しました。21年はAAで20HR&OPS.870をマーク。昨年もAA-AAAで32HRをマークし、打撃で存在感を発揮しています。
 優秀なピッチセレクションはプロでも健在のようです。打率こそ安定しませんが、BB%は毎シーズン10%以上をキープ。三振数は大学時代ほど少なくはありませんが、平均から大きく外れるほど多くもなく総合的に見ると十分なアプローチを見せています。ドラフト当時はパワーツールはそれほどでもないと見ていましたが、シーズン30HRを既にクリアしており1Bメイン起用にしても問題ないレベルの長打数を残しています。甘く入ったボールを見逃さず強振していくアプローチが功を奏しているのでしょう。
 守備では既に2Bがメインとなっていますが、お世辞にも上手いとは言えず守備面での貢献は複数ポジションを守れる点に留まるでしょう。


3(102).ライアン・ペピオ(Ryan Pepiot):RHP:右投右打:6-3/205:Butler:$547.5K($571.4K)
90マイル中盤の速球とカーブ、スライダー、チェンジアップのコンビネーション。速球は4シーム系で最速96マイルをマーク。アウトピッチであるチェンジアップで緩急をつけて空振りを奪う。スライダー、カーブはソリッドな球種。コントロールが悪く、リリーフ転向も十分ありうる。

成績

 21年にキャリア初となるフルシーズンを過ごし、22試合に先発して101.1イニングを消化しました。昨年はAAAで90イニング以上投げて防御率2点台の好成績を残すと、メジャーに昇格しました。
 ドラフト当時から2マイルほど速くなっているようですが、それ以上に特筆づべきはムービング。スピン量の多い4シームを高めに投じていとも簡単に空振りを奪うことに成功しています。この対となる落差の大きいチェンジアップは打者の左右を問わずに投じて三振を奪っています。K/9はどのクラスでも10を上回っており奪三振能力の高さが際立っています。一方で、コントロールの悪さは気になるところ。マイナーでは大学時代ほど目立った四球数ではありませんでしたが、メジャーでは36.1イニングに対して27四球とかなりの頻度で打者を歩かせていました。
 速球が利き手側にすっぽ抜けることが多く余計なボールを投げてしまっているようです。ただ、マイナーではスターターとしても問題ないレベルの四球数に留まっているため、これをもってリリーフに専念と考えるのは時期尚早でしょう。サードピッチのスライダーもハイクオリティなだけに、しばらくはスターターとして見ていたい投手です。


7(221).ニック・ロバートソン(Nick Robertson):RHP:右投右打:6-6/265:James Madison University:$177.5K($195.7K)
90マイル中盤の速球とカーブ、チェンジアップのコンビネーション。速球は最速で96マイルをマーク。スピンのきいたパワーカーブはキレがよく、空振りを奪えるボール。左打者にはチェンジアップも投げ、タイミングを外すには有効な球種。小さなテークバックのデリバリーはデセプションに優れる。

成績

 大学時代同様にプロでもリリーフに専念。過去2シーズンとも50イニング以上を投げる鉄腕っぷりを披露しています。既にAAAまで到達しており、今年のメジャーデビューもよほどの故障や不調がない限り確実でしょう。
 昨年に入ってから球速が上昇し、現在は最速で99マイルをマーク。ムービングも申し分なく速球でも空振りを奪うことに成功しています。奪三振能力と耐久性を兼ね備えたリリーフは貴重なので、メジャー昇格後も重宝されるのではないでしょうか。


8(251).ライアン・ウォード(Ryan Ward):OF:右投左打:5-11/200:Bryant University:$160.9K($163.4K)
大学でシーズン打率.400以上をクリアしたこともあるヒッティングスキルの高さが魅力。パワーツールも平均かそれ以上あり、アプローチも優秀なため打撃では文句なしの能力を持つ。一方で、すでにLFが定位置となりつつあり、守備での貢献は期待できない。2Bの経験もあるが、あまり期待しない方がいいだろう。

成績

 過去2シーズンで25HR以上&OPS.800以上をクリアしていますが、あまり話題になっていません。
 理由としては出世の遅さが挙げられるでしょう。今年ようやくAAと大学生にしてはスローペース。指名順位の低さとマイナーカンファレンス出身という点が甘く見積もられているのか、枠の都合上なのかなかなか昇格のチャンスを与えられていません。
 ポジションがLF限定な上にアスレチックなタレントではないため、昇格させてもつかいどころがないという点も足を引っ張っているのでしょう。とはいえ、出場すれば打撃では好成績を残し続けておりメジャー昇格まではこぎつけるのではないでしょうか。



総括
 1巡目のコディ・ホースは自慢の打撃で好成績を残すことができずに既に3シーズンを消化してしまいました。打撃でこれ以上の上積みがあるタイプでもないため、このままフェードアウトしていってもおかしくはないでしょう。
 一方でもう1人の1巡目であるマイケル・ブッシュは大成功。メジャーデビューは既に目と鼻の先にあり、今年の新人王候補でもあります。一方で、不安な面に目を向けると過度なシフトが禁止されることから身体能力に欠けるブッシュが守備でプラスの数字を残すことは難しくなるかもしれません。
 投手ではライアン・ペピオがメジャーデビュー。投げているボールのクオリティにコントロールがついて行けば1~2番手も夢ではありませんが、リリーフリスクも抱えていることも事実。目下のライバルであるダスティン・メイよりは計算できるはずなので、しばらくはスターターとしての試用期間があると思うのでその間に好成績を残してローテーションの座を確保するのではないでしょうか。


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