3年後...2018MLBドラフトレビューNYY

凡例
ラウンド(全体指名順位) 名前(Name):ポジション:投打:身長/体重:出身校:契約金額(ボーナススロット)
簡易レポ
成績
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1(23). アンソニー・シーグラー(Anthony Seigler):C:両投両打:6/200: Cartersville HS:$2.815.9M($2.815.9M)
ヒッティングスキルが高く、左右両打席でフィールド全体を使った打撃を見せる。パワーはヒッティングの評価に劣るが、全くないというわけではなくシーズン15HRをマークできるレベル。守備では肩の強さとミスの少ないソリッドさが魅力。フレーミングの心得もあり、今後もCに残れる可能性はある。身体能力の高さを活かすために、C以外の複数のポジションを守らせるという戦略も悪くないだろう。IFであれば2B/3Bをこなすこともできる。両投げを活かし、投手としてマウンドに上がることもある。

成績

守備と打撃でバランスの取れたタレントとしてドラフト当時は高い評価を受けていましたが、故障が多くプロ3シーズンで出場試合数が通算100試合に届かず。内容もイマイチで、ベストツールのヒッティングもまだその片鱗を見せていません。それでも、我慢強いアプローチとコンタクトスキルの高さは見せており健康でフルシーズンを過ごせばブレークもあるかもしれません。守備はドラフト当時と同じく、盗塁阻止に存在感を見せつつソリッドなブロッキング等を見せているようです。


2(61). ジョシュ・ブロウ(Josh Breaux):C:右投右打:6-1/220: McLennan CC:$1.497.5M($1.086.9M)
大柄な体格の見た目そのままの他にはないパワーが持ち味。バットスピードが速く、どの球場でもHRを打つことができる。心配なのは積極的すぎるアプローチ。何にでも手を出すため、ボールゾーンのボールにもバットが止まらず、結果として三振が多く四球は少ない。上のレベルに行くにつれて、アベレージが落ちる可能性も。守備でも強靭な肩以外は軒並み平凡。その肩の強さも送球が不正確で活かせていない。一部では最速100マイルをたたき出す投手としての方が評価されている。

成績

プロでも持ち前のパワーツールを十分に発揮し、2シーズン連続で2桁HRをクリア。特に21年は90試合で23HRとハイペースでHRを量産しました。とはいえ、やはりパワーの1ツールなのはそのままで褒められる点は長打の多さだけ。Mr.なんでも振りますなアプローチもそのままなため、この手のタイプにしては四球が非常に少なく、出塁率も.300未満。打率が伸びるタイプの選手でもないため、今後の改善は期待薄でしょう。守備も改善されている様子はありません。好調時は短期間レギュラーとして使われるかもしれませんが、長期的にレギュラークラスとして活躍するのは厳しそうです。


3(97). ライダー・グリーン(Ryder Green):OF:右投右打:6/200: Karns HS:$997.5K($576.4K)
パワーポテンシャルの高さが魅力。打撃練習では誰よりも遠くに打球を飛ばすことができるが、実戦では空振りが多く満足にパワーを発揮できていない。それでも徐々にコンタクトスキルも上昇してきている。アプローチは慎重すぎるきらいがあり、追い込まれることが多くそれに伴い三振も多くなっている。スピードは平均以上。ずば抜けて速いというわけではなく、今後の成長を考えると、現在のCFからRFへと転向する必要があるかもしれない。肩は強く送球も正確なため、RFなら優秀なディフェンダーとなれるだろう。

成績

19年シーズンにOPS.787とまずまずの成績を残し、ブレークに期待がかかりましたが中断シーズンを挟んだ21年は足踏みとなりました。三振が多く、その点で苦労しているのは誰の目にも明らかで、まだプロのボールに対応しきれていないようです。とはいえカタログスペックは素晴らしく、打席に入るととても6フィートの選手には見えないほどの風格があります。ツボに入った時の打球速度もずば抜けており、殻を破ればあれよあれよと昇格していく姿は容易に想像できます。守備ではやはりスピードが落ちてきているようで、完全にコーナーOFとなっているようです。


4(127). フランク・ジャーマン(Frank German):RHP:右投右打:6-2/195: University of North Florida:$347.5K($430.4K)
90マイル前半の速球と、縦に割れるカーブ、チェンジアップのコンビネーション。いずれの球種もクオリティは、平均レベル。ボールそれ自体よりもそれらを上手く散らし、果敢にストライクゾーンに投げ込めるコマンドの評価が高い。プロ入り後、大学では経験のなかったリリーフに回ったからか球速が上昇。最速で98マイルをマークするようになり、注目を集めているがデリバリーの力感の強さが気になるところ。

成績

大学時代のピッチングスタイルからここまで変わる選手も珍しいです。ソリッドでハイフロアーだったスタータープロスペクトだったのは昔の話で、今はひたすら90マイル中盤から後半の速球を投げまくる荒っぽいリリーフタイプのプロスペクトと化しました。どちらがより戦力になるのか、なかなか判断は難しいですが、昨今のメジャーリーグでコマンドだけで生き抜くのはなかなか難しいので、いっそ球速に舵を切るのは悪くない選択肢だったのかもいしれません。リリーフとしてなら、短いイニングを速球で押しきるスタイルならメジャーでも戦力となるかもしれません。21年シーズン前にアダム・オッタビーノとのトレードでBOSへと移籍しています。


5(157). ブランドン・ロックリッジ(Brandon Lockridge):OF:6-1/185: Troy University:$297.5K($320.7K)
打撃では出塁能力の高さが光り、四球を多く選ぶことができる。パワーには欠けるが、ギャップを抜く程度なら有している。スピードは平均以上で、進塁の意識も高く、二塁打/三塁打を多く打つことができる。守備ではスピードを活かしたレンジの広さがウリ。大学のリーグでGG賞を受賞するほど。盗塁も上手く、成功率は高い。

成績

21年シーズンは懸念材料だった打撃で好成績をマーク。ハイアベレージを残せた点については、元々のコンタクトスキルの高さを考えれば意外ではありませんが、75試合で13HRとパワーツールでも進歩を見せています。スピードの方は当時のレポが過小評価なほど実際は速く、好きがあればいつの間にか進塁しているレベルで、NYYマイナー傘下ベストツールのようです。打撃さえこの調子で打ち続けることができれば、レギュラークラスも夢ではありませんが果たして。


6(187). ロドニー・ハッチソン(Rodney Hutchison):RHP:右投右打:6-5/225: North Carolina:$197.5K($247.6K)
ワインドアップからサイドハンドのデリバリーを繰り出す変わり種。90マイル前半の動く速球と、チェンジアップ、スライダーのコンビネーション。サイドハンドにしては珍しく、スライダーよりもチェンジアップの評価が高い。打者のタイミングを外すことができ、左打者対策にもうってつけ。コントロールも悪くなく、四球は少ない。相手を圧倒するようなピッチングは見せないが、上手く交わして的を絞らせない。大学最終年に先発も経験しており、ロングリリーフとしての起用も考えられる。

成績

プロデビューイヤーこそ好成績を残しましたが、19年は故障の影響もあってかひどい成績になりました。21年も登板はありませんでしたがリリースはされておらず球団からはある程度期待されているようです。


7(217). ダニエル・ビーズ(Daniel Bies):RHP:右投右打:6-8/245: Gonzaga:$147.5K($194K)
90マイル前半の速球と、スライダー、チェンジアップ、カーブのコンビネーション。17年まではコントロールの悪さが目立っていたが、大学最終年に克服。ソリッドなクオリティのボールをストライクに果敢に投げ込むピッチングスタイルへと様変わりした。高校時代にトミー・ジョン手術を受けており、大学でも故障するなど耐久性に疑問が残る。そのためか、プロでは完全にリリーフに転向。プロゴルファーだった祖父を筆頭に、家族全員がゴルフをプレーするゴルフ一家の出身。

成績

プロ入り後球速が上昇し、最速で96マイルをマークするパワフルなスイングマンへと姿を変えました。19年には1試合のみの登板でしたが、AAAに昇格しオフにはAFLに参加する充実したシーズンを送っていましたが、中断明けの21年は故障で丸1年登板なし。リリーフは常に需要があるポジションなので、復帰してリハビリを終えたらメジャーまでそう遠くはないかもしれません。


8(247). コナー・バン・フース(Connor Van Hoose):RHP:右投右打:6-1/195: Bucknell:$7.5K($159.8K)
小柄な体格を目いっぱいに使ったダイナミックなデリバリーが特徴。速球は最速でも90マイル前半と球威に欠けるが、スライダー、チェンジアップ、カーブをコマンドよく投げ分け打者を惑わすピッチングができる。コントロールがよく球数が少なくなるからか、大学最終年は12先発で6完投をマークした。一方で小柄な体格なため、プロでも先発として投げられるかは、微妙なところ。

成績

ドラフトイヤーにRkで数試合投げた後、19年のシーズン前にリリースされました。


9(277). ミック・ボーホフ(Mick Vorhof):RHP:右投右打:6-1/200: Grand Canyon University:$7.5K($145.6K)
90マイル前半のカット気味に動く速球と、緩く曲がるカーブのコンビネーション。17年までは平凡な成績だったが、コントロールを改善し滅多に四球を出さなくなったことと、カーブに磨きをかけたことで大学最終年は圧倒的な成績を残した。大学初年度からずっとリリーフとして投げており、プロでもリリーフとして投げるだろう。

成績

19年に3試合投げたのみで、その後は故障でプレーしていません。


10(307). ジョシュ・マシユスキー(Josh Maciejewski):LHP:左投右打:6-3/175: UNC Charlotte:$7.5K($137.8K)
90マイル前半の速球とチェンジアップ、スライダーのコンビネーション。大学最終年に奪三振数が大幅に上昇。スライダーのクオリティ向上がその一因とも。コントロールは悪くなく、四球で自滅することはない。大学時代は、先発としてなげていたが、プロではリリーフに転向。シチュエーショナルレフティとしての活躍が期待される。

成績

19年に再度スターターに戻ると好投を見せ、一気にAAAにまで昇格。21年もA+/AAAで17試合に先発しました。元々コントロールは悪くなく、長いイニングを消化することはができるタイプなので、リリーフよりも適正があるのかもしれません。シチュエーショナルレフティが死語となってしまったので、リリーフに戻す旨味がないとも言えるでしょう。



総括
上位数名を確保できたら、契約金を抑える方針は今年も健在。それでもオーバースロットで契約した、3人のポテンシャルの高さを考えると何の問題もない戦略だろう。1巡目のアンソニー・シーグラーはインパクトに欠けるが、毎年安定した成績を期待できる。ジョシュ・ブロウ、ライダー・グリーンは分かりやすい欠点があるため、ハマれば長距離砲としてその名を轟かせることもできるだろう。上位3人以降で目ぼしいタレントはフランク・ジャーマンか。大学時代のイメージと打って変わって、速球派にモデルチェンジ。CLEほど取り上げられていないが、投手育成に関してはNYYも実績があるため、ジャーマンの今後にも目が離せない。ジャーマン以外もくせ者揃いとなっており、契約金節約以上の意味があった下位指名となっている。

総括(2021)
当時安定して成績を残せると評したシーグラーですが、低い水準で安定してしまっています。ただ、アプローチは悪くないため守備で存在感を示せばメジャーへの道も見えてくるかもしれません。オーバースロットで指名したブロウは悪くない成績を残していますが、グリーンはまだブレーク待ちの状態。上位野手陣はまだつぎこんだほどのリターンがないようです。一方で、ブロックリッジは21年にブレーク。ブレット・ガードナーとまではいかなくともティム・ロカストロのようなチームの穴を埋めるような役目を期待できます。
投手陣は故障者が多い中、球速を上げたジャーマンとビーズが目立つ存在となっています。ジャーマンはスターターとして見るのが厳しくなりつつあったので、トレードでの放出は正解だったかもしれません。

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