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ガチホコの防衛戦術について

 ガチホコの防衛は難しい、という呟きをしばしば目にします。このように少なからぬプレイヤーがガチホコの防衛を難しいと感じているとすれば、その最も大きな理由はおそらく次の二つでしょう。

  1. オブジェクトが自由に動くので、防衛時にどの位置で防衛すればいいのかわからない。

  2. オブジェクトの移動速度が速いので、一回のデスで決定的なリードを奪われてしまう。

 ここでは便宜的に、一つ目の問題をポジショニングの問題、二つ目の問題をリスク管理の問題と呼ぶことにしましょう。私見ですが、ここで挙げた二つの問題にはガチホコの防衛のエッセンスが詰まっています。ガチホコの防衛を難しいと感じている方に僕が伝えたいのは、適切なポジショニングとリスク管理を徹底することができれば、ガチホコはむしろ防衛側に有利なルールである、ということです。
 なぜそう言えるのでしょうか? 第一に、①ガチホコではホコ持ちをキルすることは比較的容易です。そしてホコ持ちをキルすれば(少なくとも一旦は)敵の攻撃が止まり、人数有利の状況になります。第二に、②ホコ持ちには60秒という制限時間があります。これはつまり、攻撃側は60秒という限られた時間内にキルを入れるなどしてホコ持ちが進める状況を作らなければいけないが、防衛側は極論すれば拮抗した状況を60秒間維持し続けさえすればいいということです。第三に、③ガチホコのほぼすべてのステージでは、自陣入口は通路が狭くなっていたり、高台から敵を一方的に視認&攻撃できる防衛側に有利な地形になっています。そのため、攻撃側はリスクを冒して不利な地形の中に飛び込まなければいけません。第四に、④ガチホコではホコを持っていない方のチームのスペシャルゲージが増加します。防衛側には時間上および地形上の有利のみならず、スペシャルというカードまで配られているわけです。
 これだけの有利条件が揃っているにもかかわらず、なぜガチホコの防衛はしばしば失敗してしまうのでしょうか? もちろん、手堅く防衛していたけれど敵の攻撃が巧みで突破されてしまったというケースもあるでしょう。しかし、とりわけウデマエやパワーが低い試合でよく見られるのは、防衛側の立ち回りがまずい、言い換えれば、防衛側に与えられた有利条件を防衛側が活かしきれていない、というケースであるように思えます。
 ホコが敵の手に渡り、こちらの防衛ターンになったとき、みなさんはどうしているでしょうか? 「まずい! ホコを止めなければ!」と高めの位置から焦って敵に対面を挑んでいる人は少し待ってください。イーブンの状況や、さらには不利状況でも確実にキルが取れるくらい対面に絶対的な自信があるなら話は別ですが、そうでない場合、その人は先ほど挙げた防衛側の四つの優位性を自分からすべて捨てていることになります。
 敵の手にホコが渡ってこちらの防衛ターンが始まるとき、自分はA)攻撃時にデスしてリスから復帰中か、B)攻撃時に生き残ってまだ中央や敵陣にいるかのどちらかだと思います。それぞれの場合にどのように立ち回れば防衛側の優位性を最大限に活かした防衛ができるでしょうか? 以下では僕が防衛を成功させるために個人的に心がけていることをまとめてみます。

A)攻撃時にデスしてリスから復帰中の場合

 この場合、そのまま進めばホコルートをクリアしようとする敵に対して正面から相対することになります。正面から防衛側プレイヤーがやってくることはわかりきっているので、敵は防衛側プレイヤーが姿を現すのを今か今かと待ち構えています。つまり、自分はまだ敵に姿を見せていなくても、敵は自分がどこから現れるのかある程度の見当をつけている、潜在的な索敵不利の状況に置かれているわけです。
 そんな状況で何の工夫もなく敵と対面するのは得策ではありません。そこでできる工夫の一つが、自陣入口の地形の優位性を活用することです。すでに述べたように、ガチホコのほぼすべてのステージでは、自陣入口は通路が狭くなっていたり、高台から敵を一方的に視認&攻撃できる防衛側に有利な地形になっています。この地形の優位性を活かして、高台や敵の攻撃が届かない安全な距離からメインやボムで自陣入口に圧をかけて敵の前進を遅滞させればいいのです。
 このときに最も重要なのは、無理にキルを狙って敵の射程内に飛び込まない(高台にいるときは高台から飛び降りない)ということです。すでに述べたように、ホコ持ちには60秒という制限時間があります。攻撃側は60秒以内にキルを入れるなどして拮抗した状況を変えなければいけませんが、防衛側は極論すれば拮抗した状況を維持して自陣入口に敵を60秒間釘付けにするだけで防衛成功なのです。対面有利な状況でもないのに無理に敵に対面を挑んで逆にやられてしまうと、敵に攻め込むきっかけを与えてしまいます。自陣への侵入経路を見張り、侵入しようとする敵に圧をかけ続ければ、無理にキルを狙わなくても敵の前進を遅滞させることは十分可能です。そうこうしているうちに敵がボムを踏んだり、複数人で見張っているところに単騎で強引に突っ込んできてくれたりしたらしめたものです。
 もちろん、自陣入口に敵を60秒間フルに留めておけるケースは稀で、どこかのタイミングで(大抵はスペシャルに合わせて)敵は自陣に攻め込んできます。この瞬間が防衛ターンのクライマックスです。ここで敵の侵入を阻止するのに失敗してしまうとカウントを大きく進められてしまいますが、しかしこの瞬間は敵の方も不利状況の中に飛び込むという最大のリスクを冒しています。ここでこちらもしっかりスペシャルを合わせたり、複数人で協力して敵を迎撃することができれば防衛成功です。例として次の二つのクリップをご覧ください。

 これらのクリップでは、いずれも高台や安全な距離からボムで敵を牽制しつつ、敵が自陣入口の狭い通路を通過しようとする瞬間にウルトラハンコを発動して敵を迎撃しています(ハンコはこのように敵が自分に向かってくるタイミングに合わせて発動するとキルが取りやすいスペシャルです)。このように、攻撃側は必ずどこかでリスクを冒して危険な地帯に突っ込まざるをえない状況に置かれているのだから、防衛側は自分の方からリスクを冒して敵に突っ込んでいく必要はなく、敵が突っ込んできた瞬間にキルを狙えばいい、というのが防衛についての僕の基本的な考えです。

B)攻撃時に生き残って敵陣や中央にいる場合

 この場合、自分以外の味方がデスして自分だけが残っているということがほとんどだと思います。ここで普通に敵に対面を挑んでも人数不利なのであっという間にキルされてしまうでしょう。なので、わざわざ敵に無謀な対面を挑む必要はありません。敵に居場所がバレているようなら、敵の追撃を受けないようにステージ中央付近まで大きく後退しましょう。そうすることによって敵のライン上げを妨害するとともに、復帰する味方のジャンプポイントになることができます。
 あるいは、もし敵に居場所がバレていないようなら、ステージ中央〜敵陣のどこかにセンプクして、敵がある程度ラインを上げたところで横や後ろから敵を急襲するのがおすすめです。このとき、ホコルート周辺は当然敵が念入りに塗り直して索敵するはずなので、ホコルートから少し外れた場所にセンプクするのが良いでしょう。ホコ持ちが中央から自陣に向けてホコショットを撃ち、残りの敵がホコルートを開拓するために自陣に侵入しようとしている状況でホコ持ちをセンプクキルすることができれば、そのままカウンターに転じてホコを敵陣に運んでいくことも狙えます。たとえば以下のクリップをご覧ください。

 このような防衛は刺さると非常に強いですが、後ろからホコを追いかける形になりがちなので、ホコの位置とホコルート正面で防衛している味方の生存状況には細心の注意を払う必要があります。正面でホコの前進を遅らせる味方が存在しなかったり、存在していても一瞬で溶けてしまった場合は、自分がホコに追いつく前にホコがさっさと前に進んでしまい、決定的なカウントリードを奪われてしまいます。そうなる可能性を感じたらすぐにリスジャンして正面からの防衛に移行しましょう。逆に、正面から防衛する味方は、中央〜敵陣にセンプクしている味方がいる場合には簡単にデスせず敵の前進を遅らせるような防衛を意識すると、味方の裏取りが間に合い、敵を挟み撃ちにすることができます。
 攻撃側の立場からすると、自陣〜中央にこのような形でホコ持ちを急襲しようと狙っている敵がいることは非常に大きな脅威です。そのような敵がセンプクしている可能性が少しでもあれば、自陣〜中央を丁寧にクリアリングしながら時間をかけてラインを上げざるを得ません。反対に、敵が攻撃時に全落ちした場合は、センプクの心配をすることなく一気にラインを上げることができます。そう考えると、攻撃時から次に来る防衛ターンのことを考え、決定的な逆転のチャンスなどでもない限り攻撃ターンの終わり際に前線に無意味にスーパージャンプをするのをやめるのがいかに大切かということがわかるでしょう。攻撃と防衛はつながっています。攻撃をどのような形で終わらせるかが、防衛の成否を左右するのです。

おわりに

 以上述べてきたことは、あくまで僕の防衛時の行動の最も基本的な方針でしかありません。実際の試合では状況を見極めたうえでここで述べた方針に反するような行動をあえて取ることもあります。さらに、僕の持ちブキはボールドマーカー7なので、ここで述べたことが他のブキにどこまで妥当するかはわかりません。とはいえ、「防衛でそもそも何を意識したらいいかわからない!」「防衛時の行動の良し悪しを測る「基準」が欲しい!」という方には、ここで述べた方針は一つのサンプルとして役立つのではないかと思います。

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