キーエンスとエスエムエスはココにこだわっている。営業は絶対に「意思決定権者(社長・上長)」に行けという話

キーエンスやエスエムエスはBtoBのビジネスを中心にしていますので基本的には営業先は個人ではなく法人(企業や病院など)になります。

当たり前かもしれませんが、法人はひとつの組織として社長・部長・課長などの役職順に成り立っていますので、当然役職が高い人ほど何かの意思決定をしやすくなります。法人営業・組織営業はこの意思決定権者にいかに効率的にアプローチできるかが重要になるのです。

キーエンスやエスエムエスの営業チームはこの「意思決定権者」と商談・営業訪問をすることに徹底的にこだわり、日々の行動や顧客とのコミュニケーションに関してもココをおさえて設計されるように工夫がなされています。


例えば、エスエムエスでは営業チーム内でプロセス管理表と呼ばれる営業活動をプロセス分解して管理する表があったのですが、その中で『上長訪問率』という指標を追っていました。この上長訪問率というのは分母を「全体の訪問数」、分子を「上長への訪問数」に置いたものです。つまり全体の訪問のうち、社長さんや部長さん等意思決定ができるお客様へどの位の割合で訪問できたのかというのをはかる指標なのです。

当然ですが、上長訪問率が高い営業マンは訪問あたりの成約率も高くなります。逆に上長訪問率が低い営業マンは成約率も低いですし、途中で見込み商談案件が消滅したりもします。

少し言い方が悪くなりますが、お客様の組織の中で平社員さんや新卒社員さんに営業をかけても、意思決定ができるわけがなく、正直あたっても営業効率が悪くなります。一方、社長さんや部長さんは大きな金額でも意思決定ができたり、決断までの時間も短く、極端なケースだと商談中、その場で決めていただけたりするのです。


キーエンスでは顧客先のそれぞれの役職でいくらまで予算決裁権があるか等も把握しにいきます。顧客とのコミュニケーションでそれらを聞き出し、例えば「100万円以内であれば部長さんだけで意思決定ができ、社長にお伺いをたてなくてもいい」ということがわかればその予算に合ったものを買っていただくこともできるわけです。

元キーエンスNo.1営業マンで私の上司だった人は、ひとつの顧客先で数十人の名刺を獲得していました。それら関係者の全ての方の決裁権限枠を把握しにいき、自社のサービス購入においての意思決定権者・推進者・反対者のどの立ち位置にいるのか、またその状況に対してどう対策をうつのかを常に考えていました。そのくらい考えて、やり切って営業活動をしているのですからキーエンスの営業力が強いというのも頷けます。


「意思決定権者に行ったほうがいい」。これは誰が聞いても合理的で当たり前のことですが、本気でそれを重要だと捉え、組織として合理的事業運営を実践しようとするかしないかで大きく変わってきます。

これはキーエンスやエスエムエスの企業文化の特徴とも言えますが、この2社に共通して言えることは、まず「合理的」が大前提で、合理的な事業運営が可能なアプローチ方法をトコトン考え抜き、それを絶対に実践しようとするところだと思います。

「言うは易し行うは難し」で、多くの組織は意思決定権者へのアプローチを重要だと知っていながらも実際には営業マンの上長訪問率を組織として追っていなかったり、役職ごとの予算枠についてのヒアリングをかけることを営業マネジャーが指示できていなかったり、この2社程こだわっていない気がします。


読者の皆さんの中で法人営業部隊のマネジャーさんがいらっしゃれば、上記のようなことを意識しチームに取り入れるだけで明日から業績が良くなっていくかもしれません。


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