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エクアドル、キト市内で車上荒らしに遭う

エクアドルに駐在していた時の移動は、日本から輸入したフォード・エクスプローラーでした。この車は輸入港のグアヤキルからキトへの移動の途中で危く爆発させてしまうような事故が起き、その後燃料ダクト交換など修理の時の作業不備でディスクブレーキの油圧系の調整不良で後輪の片方が軽くブレーキがかかった状態でした。それに気付くのに結構な時間がかかってしまい、片方のブレーキ・ディスクを削ってしまいディスクの外周が輪っかになって軸から外れてしまう事故を起こしてしまいました。幸いバキッという音で異変に気付いて道路脇に停車出来たので事故にならず故障以外のことは起きませんでした。修理場へ運ぶ運搬用トラックを電話で呼んで引き上げてもらいました。

これらは車両保険に加入してたことからほとんど修理費を支払う事もなく対応できました。車両をグアヤキル港から引き出してキトへの移動を考えて前もって車両保険に加入してことが幸いでした。その時、車両だけではなく対物や対人保険も加入しようと思いましたが、事務所の法務クラークから人身事故(死亡)の賠償額は1000米ドル程度である事から対人保険に入っている人は少なく、一方、自動車は盗難も含めさまざまな事故に遭う可能性があり出費も多くなる事から保険に加入するのが常識になっていると説明を受けました。それに従って車両保険だけに加入してたのです。

この様な背景の中、毎週1回ギターレッスンを国立音楽院のギター教師の自宅で受けてたある時、街中のその教師が自宅から郊外の家へ引っ越した家での最初のレッスンの後、前に停めていた自分の車が車上荒らしに遭いました。その日の夜のレッスンの後、親切に教師は私を門の前まで見送ってくれた時、自分の車の助手席の窓が開いているのに気付き、思わず「なんで窓が開いてるの?」と呟くと、直ぐに助手席の窓が完全に割られているのに気付きました。「車上荒らしだ!」と言うと教師も驚いて「なんてこった!」と声を上げました。私は車の周りを歩いてどこか他にも壊されていないか確認しました。後部のハッチドアの窓ガラスも破られていましたが強力なフィルムでコートされてたためかヒビだらけで粉々に割れることはなかったようです。

今度は車内を調べてみると運転席と助手席の間の床に置いていたCDエクスチェンジャーが無いのに気付きました。そして、ケーブル類がナイフの様なもので切断されているのが確認できました。被害は、助手席の窓ガラス、後部ハッチドアの窓ガラス(熱線入りのもの)、そしてCDエクスチェンジャーでした。一般的に盗難防止アラームを付けてる車両が多いのですが、私の車には付けていなかったです。付けとけば良かったと反省しました。

翌日、事務所で法務クラークに相談しました。窓ガラス類はデーラーへ持ち込んで修理をすれば良いけど、CDエクスチェンジャーはどうしたものか?と。すると法務クラークが2〜3日したらきっと泥棒市場で売り出されているから見に行きましょうと言われました。市場に行く前にもし100米ドルで売ってくれたらそのまま買って帰るけど、それ以上だと安全対策クラークに頼んで警察に取り返して貰うと法務クラークには言ってました。言った通りに2日後に行くと確かに売られてました。 CDエクスチェンジャーを見ると本体に貼られたラベルは日本語、ケーブルはスパッとナイフで切られたままの状態でした。売り子に値段を訊くと500米ドルと言われ、「高いな、100米ドルだったら買いたいけど値引きできないか?」と言うと「ダメだよ、これは仕入れに金が掛かってるんだから」と言い出した。「100米ドルだったら今直ぐに買うんだけどダメか?」と再度訊くと「ダメだよ」と返事をされました。法務クラークと顔を見合わせて「じゃあまた来るよ」と言って市場を立ち去りました。

直ぐに安全対策クラークへ事情を説明すると翌日二人の刑事が事務所に来ました。昨日の状況を説明すると「盗られたものを取り返すのにお金を払う必要は無い」と刑事にキッパリと言われました。刑事と一緒に泥棒市場へ行くと、昨日の売り子は舞い戻ってきたかというような顔で「値引きはしないからね」と言い出した。「実はこれ私のものなんです。数日前に車から盗まれたんです、これ見てください」と持参したそのモデルの取扱説明書を見せ、本体のラベルが日本語である事、ケーブルが切断されてる事を説明しました。刑事が「盗品を売るんじゃ無い、持ち主へ返しなさい」と強く言ってくれました。私は「これ持って帰るよ」と言って持ち帰りました。

なんともスッキリしない感じでした。100米ドルで売ってくれてたらこんな事にならなかったのに、、。

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