ヴィットリオ・デ・シーカ監督作品『ひまわり』を観る

原題：I Girasoli（イタリア語） 1970年公開の伊、仏、ソ連、米合作映画。監督は「自転車泥棒」のヴィットリオ・デ・シーカ、音楽はヘンリー・マンシーニ。主演は、ソフィア・ローレン(ジョバンナ役)とマルチェロ・マストロヤンニ(アントニオ役)。この映画は、ウクライナ南部の広大なひまわり畑のシーンが印象的な素晴らしい映画です。

あらすじ（ネタバレです）は、第二次世界中を舞台にイタリアの新婚カップル（ジョバンナとアントニオ）の幸せな生活が、夫のソ連へ出兵することからドラマの急展開が始まります。ジョバンナは、夫を出兵の駅まで見送りその後、自宅で泣き明かします。その間、ジョバンナは姑の世話もします。しばらくの時間が過ぎ終戦、ソ連からの復員兵が到着する駅（出兵を見送った駅でもある）にジョバンナは毎日立ち、夫の姿を探したり、心当たりがないかを復員兵に尋ねたりします。そこでまだソ連に残っているイタリア兵がいることを聞きます。居ても立ってもいられずにジョバンナはソ連ウクライナ行きを決めます。

イタリア兵の激戦地であった場所に到着し、駅で工場帰りの人の中でアントニオを探します。既に現地で結婚して生活している元イタリア兵からアントニオに関する情報を聞き、その場所らしき家を訪れます。そこには美しいウクライナの女性と小さな子供がいます。家の中で言葉の違いを乗り越えてなんとかコミュニケーションと取り、その女性が夫との出会いを話し始めます。彼女は、雪の中で倒れたイタリア兵士を見つけ、生きているか死んでいるか確かめるとまだ生きていることが分かり、その兵士を足を引っ張り引きずりながら自宅まで取れていき、介抱を始めます。生死をさまよい記憶を失うような状況からアントニオはなんとか生活できるようになります。後に、その女性と生活をすることになります。

その話を聞いた後、二人は夫が帰る時間だと駅へ向かいます。ホームでその女性を抱きしめる夫は、アントニオでした。ジョバンナはあまりのショックで言葉を交わすこともなく動き出した列車に飛び乗って帰国してしまいます。一方、アントニオはその日からジョバンナの事ばかり考え始めます。それを心配そうに見るウクライナ人の妻。ジョバンナはイタリアに戻り荒れた生活をする様になり姑にも小言を言うようになっていきました。

アントニオは、ジョバンナのことが気になって帰国を考えるも妻の手前切り出せない。しかし、妻から許しを得て帰国をする事にする。妻には一抹の不安があるが見送る。アントニオは出兵の時に明るく毛皮のコートを土産に持ってくると言ったことを思い出し、イタリアへ持って行きました。イタリアでジョバンナの家を訪れたときには既に赤ちゃんがいました。その子の名はアントニオでした。戦争によって歯車が狂ってしまった二人はもう元には戻れないと悟りアントニオは次の日にウクライナへ戻って行きます。ジョバンナは出兵の時と同じ駅のホームでアントニオを見送り、涙を流す。終わり。

イタリア映画は不思議ですよね。あれだけ陽気な国民性なのに何故映画はこうも悲しい物語ばかりないでしょう？映画で明る過ぎ、楽観過ぎることへの戒めなのかもと思ってしまいます。この映画のソフィア・ローレンの演技は本当に素晴らしいと思います。「ブーべの恋人」のクラウディア・カルディナーレも良いですが、やはりソフィア・ローレンでしょうね。音楽も素晴らしい、ひまわり畑の広大さも映画館の大きなスクリーンいっぱいの数え切れないほどのひまわりの映像に圧倒されます。

この映画にはハンカチは必須ですね。