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「予告された殺人の記録」、ガブリエル・ガルシア・マルケス

上記の原題は、"Crónica de una muerte anaunciada" 。作者自身が自分の小説の中では最高のできだと言っています。確かに素晴らしい作品です。

ガルシア・マルケスと言えば、「百年の孤独」(Cien años de soledad)を思い浮かべると思いますが、こちらは長編小説です。結構読むのが辛くなります。1986年当時にラテン文化理解のための読み出しましたが、なんども放り出しました。一方のこの「予告された殺人の記録」は一気に読み終えることができる長さであり、殺人事件の背後のコミュニティや人間関係を詳細に描いていることで興味が湧きます。

妹の結婚式に貞操が保たれていなかったとで婚姻を破棄された双子の兄がその相手を殺害すると公言して、妹に名指しされた男が本人は街でそんな噂が拡がっているのも知らず、実際その双子の兄弟に殺害されてしまう物語です。そこには双子の兄弟も家族の名誉のために殺害を公言したものの誰かに止めてもらいたい気持ちもあったこと、そして何よりも妹が名指した相手が本当だったのか?妹の薄笑いで最後まで疑問が残る物語です。

ガルシア・マルケスは元新聞記者だったので、この手の事件記事にも似た小説は得意だったのかも知れません。ラテン文学に興味のある方は一読されることをお勧めします。

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