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一所懸命やる事の面白さ

興味のあること、逆に無いことはそれぞれ自覚出来ているのが普通です。興味のあることをやるのは普通問題ありません。何故か?興味があるから自然に注意力が湧いて集中してことに当ろうとするからです。問題は、興味のないことをやる時です。当然興味のある時に機能する注意力は湧いて来ませんし、兎に角早く終わらせようとします。ところで興味の差は何処からやって来るのでしょうか? 興味のあることと無いことの間には実は大きな情報の格差があります。即ち興味のあることは内容を良く知っている反面、興味のないことは内容をあまりよく知らないと言った具合です。まず興味の無いことの知識が興味のあることの知識を上回っているような事はありません。

興味も無く内容も良く知らないから面白いと思うことも無い。当然と言えば当然ですが、偶に興味が無くても何の巡り合わせかやらざるを得ない状況に直面することがあります。特に仕事がそうです。報酬を得ていることがその対象に興味を持つように促しているのです。この様な場合、少なくとも仕事が成り立つぐらいの知識やスキルは必要だと、興味がないにも拘らず学習を始めたりします。もちろんやらない人の方が圧倒的に多いと思います、何故か?報酬が動機付けになってないからです。報酬は当然の権利と理解して、新たな知識の取得には他にインセンティブが必要だと思う人も多々います。残念ながらこの様な人たちは、例えインセンティブを与えても知識やスキルの習得は期待出来ない事が多いと思います。何故なら興味の対象がその内容そのものでは無くインセンティブであるからです。インセンティブを得ると次のインセンティブへ興味が移るだけだからです。

私は、モーターサイクル事業部から特機事業部という部署への異動で上記の様な経験をしました。興味のあるオートバイから全く興味も知識も持たない汎用エンジンへと担当する製品群が変わったのです。オートバイは乗って走って楽しめる製品であるのに対して、汎用エンジンは固定された場所でだいたい3600〜3800rpmで運転し続けます。動力源だから動かすのはクランクシャフトのプーリーからVベルト介して作業機になります。繋いだり、クランクシャフトへ直結したりします。面白くもなんともないエンジンでした。しかし、一旦トラブルが発生すると何をどうすれば良いのか全く分からない。オートバイでは、色々な調整箇所が思い付くのに汎用エンジンでは何をすれば良いかが分からない。エンジンとはどの様に負荷バランスを取りながら運転しているのか?そもそも作業機とのマッチングはどの様に考えれば良いのか?次々に疑問が湧いて来て止まりませんでした。先輩や技術者に訊けることは訊いても、次から次に疑問が出てきて時間が有れば図書館のエンジン関連書籍を沢山読み込んでいました。いつのまにか興味を持っていたのです。

また、別の機会ではeラーニング事業を立ち上げた時、教育工学という学問分野の知識が必要になりました。自ら起こした事業だから専門知識を習得することは当然だとは思っていましたが、内容が面白くて良く勉強しました。ITも同様です。Linuxに興味を持ちファイルシステムの考え方、洗練された考え方に興味が尽きませんでした。

興味があるから一所懸命やるのか?一所懸命やってると興味が湧いてくるのか?どちらもあると思います。あるTV番組でラーメンチャンピオンを歴代チャンピオンの中から選ぶコンペティションをやっていました。一風堂創業者の河原氏も参加しててスタッフ10名弱で数百杯のラーメンを作って観客と審査員に審査してもらうと言った内容でした。見事に一風堂はチャンピオンになりました。参加した若手スタッフは皆大泣きでした。それ見ていた河原氏も涙を流しながら「なんでも一所懸命やったら面白かろうが!(うれしかろうが!)」と檄を飛ばしていました。これが真髄だと思います。

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