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自動二輪運転免許の限定解除試験とは

当時の自動二輪運転免許制度は、49cc以下の原動機付き自転車、124cc以下の小型二輪、399cc以下の中型二輪、限定解除(=400cc以上の大型二輪)に分られ自動車学校では中型二輪までが実技免除で取得できました。限定解除は、試験場へ行って実技試験を受けなければなりませんでした。

恥ずかしながらオートバイは、中学校3年生の頃から乗ってました。実兄が所有してたH社のエルシノア250ccを乗り回してました。兄の友人の同じくH社のCB400F(4 in 1という別名称で呼ばれた集合マフラー付きのモノ)もよく乗り回してました。静かでスムーズなエンジンで良かったです。このCB400Fにヨシムラの艶消の黒い手曲げ集合マフラーを付けるのが大流行してました。何にしても中学生ですから免許を取れる年にはなってませんでした。

16歳で中型自動二輪運転免許(399cc以下に限定)を自動車学校で取って、17歳で限定解除試験に11回目で合格しました。399cc以下に限定と書かれた限定を解除するという意味になります。ちなみに11回の内、事前審査で落ちて走行試験が出来なかった回を除き、10回ともほぼ同じ精度で運転したのに色々ダメな点(ほとんど意味の無い)を試験官から指摘されずっと落とされ続けてました。多分17歳には取らせないと免許試験場ではやってたと思います。大体20歳以上の人が対象だったと思います。当時はどこの高校もバイク禁止でしたから。11回目の試験の朝は雨で、いつもとは違う試験官になってました。その試験官は試験前から「雨の日にナナハン(=750cc)運転免許を受けに来る奴はちょっとおかしいぞ!今日は合格者でないと思うぞ」とか朝一番で言われたのを覚えてます。でも、その日に合格しました。試験の後は速やかに試験官がいるヤグラに登って結果を聞くのですが、「お前、どうしてもナナハン(750cc)乗りたいのか?」と訊かれ、「はい」と応えました。そして「.....気を付けて乗れよ(=合格の意)」、「はい!」、目の前で試験票に合格判子ポンと突かれました。

限定解除試験の内容は、当時は結構難しかったと思います。特に事前審査という大型バイクの取り回しができるかを見る試験で、これに合格しないと本試験(実際に運転する)には進めませんでした。

私は、ここで1度落ちました。その日は100人くらい受けて1人合格で本試験に進みました。どんな試験かというと、古い廃車になった白バイの前後輪のタイヤがパンクした状態で燃料タンクには砂がぎっしり詰まったものでやるのです。パンクした750ccのバイクを押したことがある人なら分かると思いますが、ほぼ動きません。当時で車体の重量は250kg以上あったと思います。このバイクを使って試験コースのS時カーブとクランクをそれぞれ3周押して廻ります。ここで80人以上が不合格になります。ほとんど1周もできません。これが終わると、そのバイクを倒して3回連続起こす試験、ここでも10人くらいが不合格になります。そして、最後にメインスタンドを立てることを3回続けてやります。前後輪パンクした750ccのメインスタンドを立てたことある人はそうはいないと思いますが、肩が抜けるほど重いです。私は、3回目の途中で一瞬止まった途端、「はい!不合格」と言われました。

筋トレして望まないと無理と思い2回目はそれなりに準備して行ったら、本試験で使う750ccの車両での試験でしたからS字もクランクも簡単に廻れて、スタンド立ても同じ車両で全く問題無く楽に出来ました。車両起こしだけは廃車の白バイでやりました。本当は、そういう試験だったのだと思います。前後輪パンクした750ccはそう簡単には押せません。

中型二輪と違う走行試験で技術的に難しいのは、狭いテストコース内の走行で時速80km以上(ランプが点灯)を出して、カーブで減速し時速30kmくらいで廻ることです。コースが狭いのでアクセル全開するタイミングが遅いと80kmに到達する前にカーブの減速をしなければならないので、皆ここで失敗します。安全運転=低速度では無く、スピードをコントロールできる技量を持っているかを見られてます。また、急制動という箇所は80km以上で走りながら白線を越えて10m以内に停止するものですが、よくフルブレーキでやろうとして後輪のブレーキを強く踏むと後輪は簡単にロックして車両が後輪から横滑りを起こします。これで不合格です。急制動は前輪フルブレーキで後輪はポンピングしながらロックさせないようにして止めます。

それとスラロームです。赤いパイロンを縦に並べられた間をジグザグにすり抜けるのです。車両には前後に転倒防止のバーが取り付けられてますから、皆さんこれをパイロンにぶつけてしまいます。また、ハンドルを切って運転しようとするとオーバーランします。ハンドルを切らず、アクセルを閉じるとオートバイは安定を崩してどちらか重心がかかった方向へ倒れ始めます。倒れる途中でアクセルを思いっきり開けて、直ぐに閉じる。そうすると倒れかかった大きな車体が起き上がって前へ進もうとしますが、起き上がった時にはアクセルは閉じられてますからエンジンブレーキがかかると同時にバランスを失ってまた重心がかかった方向へ倒れ込もうとします。実は、この繰り返しで抜けて行くのです。ブレーキも触らず、ハンドルも切らず、右手でアクセルの全開、全閉をリズミカル(音で表現するとブン、ブン、ブン、ブン、ブンとだけ聞こえます)に手首で操作してやるとあっという間にスラロームはジグザグに抜けていきます。

幅30cm、長さ10m、高さ5cmくらいの板状の一本橋を10秒以上かれで渡るバランス感覚試験は、それほど難しくないです。750ccを受けに来る人で橋から脱輪する人はいないですね。コツは、手前のタイヤと橋を見るのでは無く、橋の出口(遠くをまっすぐ見る)を見ると車体のバランスは安定します。間違っても幅30cmくらいの橋から落ちそうになって体を傾けてバランスを取ろうとしないこと。すると必ず脱輪します。体をまっすぐ背筋を伸ばして重心移動などせず、腕だけでハンドルを小刻みに動かして軌道修正することです。

坂道発進も右手の指2本(人差し指、中指)で前ブレーキをかけた状態で薬指と小指と手のひらで握ったアクセルを開く操作です。たまに後ろブレーキだけで停止して坂道発進しようとする人がいますが、こちらの方が加減が難しく車両が後ずさりすることがあります。

走行試験で重要なのは、やはりスピードを出して一気に止まれる技量とアクセル開閉のコントロール技量でしょうね。車と違ってオートバイは止まったら左右のどちらかに倒れますから、アクセルコントロールは重要です。

ところで倒れた大型バイクを起こすのは、コツをしれば簡単です。そんなに力は必要ありません。例えは、左側に倒れたバイクは、クラッチレバーの方のハンドルが下になってます。まずバイクの前輪の方に立って、この下になってるハンドルのグリップを両手で握って手前に引きます。するとハンドルが切れて下向きに横になってた前輪が上向きになります。その両手で握ったハンドルをもう少し持ち上げるとバイクが少し起き上がり、前輪が地面に接触します。そうすると前輪は回って前に進もうとします。自然とバイクの車重は前輪に支えられ起き上がる方向へ車輪を回し始めますから、あっと言う間にバイクは起き上がってきます。慣れると片手でもできます。

夏休みバイトに明け暮れ最後の10日で限定解除の合格を考えてたのに1回オーバーしました。学校サボって試験場へ行き合格しました。その後、買ったオートバイは、H社のドリームCB750(K2型)です。本当はK社の750RS(Z2型)でしたけど価格が高かったです。K社のオートバイは、乗る人は分かると思いますが憧れですね。私の最初のオートバイは、K社の350SSです。2ストローク3気筒エンジン(マッハシリーズ)。これは手に追えないエンジンでした。それから400ccへ、そして750cc。就職した後もY社の750ccを乗ってました。それから2年半、365日仕事でもプライベートでも乗らない日は無い生活が続きました。

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