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総出力500馬力の船外機でアマゾン川面を疾走する幸せ

コロンビアのレティシアを訪問したのは、アマゾン川のカヌーに取り付けられたロングテールにどのメーカーのエンジンが使われているかを確認する現地調査を2日間で行うためでした。

レティシアは、街をブラジルのタバチンガと二分しているところですから街の南部を流れるアマゾン川に出て東側がブラジル領、。西側はコロンビア領だけど川向うはペルー領と3つの国の国境線が複雑に入り組んだところです。

また、川はとてつもなく大きいのでボートでゆっくり走ってたのでは、実際にロングテール(当地ではペケペケと呼ばてました)を付けているカヌーなんか見つからないので、高速で疾走できるようなボートを使わなければと、同行していたコロンビアの代理店マネージャ、ホセ・アイカルドが事前に販売店にリクエストしていました。

調査の初日、船着場にそのボートがありました。250馬力の船外機(多分、排気量5000ccくらい、2ストローク、V6気筒エンジン)が二機取り付けてありました。総出力500馬力です。燃料タンクは200Lのドラム缶が二本船底に寝かせて並べられてました。これで文句ないだろうと言わんばかりの販売店主の顔を見て、こちらは思わず笑っちゃいました。「これで川を走り回るの?」「そうだよ。どこでも行けるぜ」ってな感じでした。

早速、西側コロンビア領内をものすごい速さでボートは疾走します。まず何かに掴ってないと風圧で飛ばされそうになります。残念ながら本流のアマゾン川は大き過ぎて小さなカヌーは、それほど見当たりませんでした。本流から外れ支流へ行くと大きな中州というより島のような場所がありました。みると手入れされた綺麗な芝で埋め尽くされた庭が見えて豪邸が立ってました。アマゾンジャングルの中のちょっと開けた中州に豪邸ってのはいかにも変です。「何ですか、あの建物は?」「あれはもう空き家ですよ。以前、麻薬組織が麻薬の精製基地で使ってた拠点です」、「へえ~でもどうやって運んでたのですか?」、「彼らは水上飛行機をもってますから、そこら中の川から飛び立ってマイアミまで運んでたんですよ」、なんと豪快な。アメリカ軍の介入した麻薬戦争で今は空き家になったと。

中州の反対岸に小さな街が見えました。ペルー領の最東端のラモン・カスティージョという街です。結局、初日は見れたのは黒色のエンジン(米国製B&S)のみ。

2日目、今度は船着場から東にでてブラジル領を調査しました。ここでは赤色エンジン(H社)を何台か確認できましたが、やはり黒色エンジンが多かったです。赤色エンジンは、レティシアから購入したと分かりました。やっと見つけた青色エンジン(Y社)は、2日間で1台。それもエンジントラブル中で、我々が修理しました。この時、撮ったロングテールを持ち上げるカヌーに乗った少年の写真が会社の事業紹介記事を当時連載してた日経新聞に掲載されました。誰も私が撮った写真だとは知らないと思いますが、、。

陽が地平線上に拡がるアマゾンジャングルに沈みだし、夕日が強烈にまだ照り付ける中、レティシアへ全速で帰途につきました。アクセル全開、凄まじいスピードで大河アマゾン川面を疾走します。夕日で日焼けする日差しと強烈な風圧と飛沫、”この瞬間、きっと世界で一番幸せなのは自分だろうな”と思いました。


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