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【まとめてみた】小説執筆に役立てる基本動詞6つ【動詞で注意すべきこと】

 こんにちは、山本清流です。


 実は今日、『マスカレード・ホテル』から、ひたすらに動詞を抜きとり、

 読みやすい小説の動詞の傾向を探っていました。


 冒頭50ページほどを調べていて気づいたのですが、

 同じ動詞を繰りかえさないように気をつけているのでは、と思いました。

 

 「視線を向けた」「視線を戻した」「目を走らせた」とか、「首を振った」「かぶりを振った」「首を横に振った」とか、ちょっとずつ変えているような気がする。


 僕は思ったわけです。

 それって、結局、同じ行動。ニュアンスがちょっと違うだけで。


 だとしたら……

 数ある動詞を類似グループにまとめたとき、

 人間の行動を示す動詞って、ホントはちょっとしかないんじゃないか。


 そのような考えのもと、その「ちょっとしかない動詞」を探りました。


 【基本動詞6つ】

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 山本清流調べによれば、数ある動詞(小説に出てくる人間の行動を示す動詞)を、類似するグループにまとめると、

 6つの基本動詞に辿りつきます。下記のとおり。

①動く                               ②見る                               ③話す                               ④聞く                               ⑤感じる                              ⑥考える

 以上の6つです。これだけで小説が書けるかもです。


 試してみると……

 僕はびくっと動いた。彼女が見るからだ。「なんで、見るの」との僕の言葉に、彼女は、「あなたのことが気になるから」と話した。僕はその言葉を聞いて、嬉しく感じた。彼女は僕が好きなのだ、と考えた。

 6つの基本動詞しか使ってません。

 たぶん、こんな感じで、延々と続けられると思います。


 小説は、この6つの動詞をより適切な動詞に変換し、ニュアンスを突き詰めていったものなのでしょう。


 【①動く】

 「動く」は、たくさんの動詞が考えられますね。

 「操作する」とか「頭を下げる」とか「叩く」とか「行く」とか「出る」とか「肩をすくめる」とか「使う」とか「首を振る」とか……。


 人間の行動のほぼすべては「動く」です。

 とくに、「頭」と「手」と「身体」はよく動く。


 頭を下げたり、首を振ったり、首を傾げたり、首を回したり、首を鳴らしたり……。

 手を叩いたり、指を指したり、頭を掻いたり、ピースしたり、つかんだり、殴ったり……。

 行ったり、来たり、戻ったり、去ったり、後にしたり、帰ったり、乗ったり、震えたり、縮んだり……。


 さっきの例

 僕はびくっと動いた。彼女が見るからだ。「なんで、見るの」との僕の言葉に、彼女は、「あなたのことが気になるから」と話した。僕はその言葉を聞いて、嬉しく感じた。彼女は僕が好きなのだ、と考えた。

 この例では、「びくっと動いた」と表現されています。ニュアンスを考えて、「肩を縮めた」にしておきましょう。

 僕はびくっと肩を縮めた。彼女が見るからだ。「なんで、見るの」との僕の言葉に、彼女は、「あなたのことが気になるから」と話した。僕はその言葉を聞いて、嬉しく感じた。彼女は僕が好きなのだ、と考えた。


 【②見る】

 「見る」も多いですね。主人公は、小説世界を見ていますから。


 すべて「見る」にしても意味は通じると思いますが、もっと細かいニュアンスを探ったほうが伝わりそうです。


 「見回す」とか、「見返す」とか、「見比べる」とか、「見逃す」とか、「目を通す」とか、「目を向ける」とか、「見合わせる」とか……。


 さっきの例

 さっきの例では、「見る」となっているので、もっと細かく変換しましょう。「見つめてくる」が適切だと思います。

 僕はびくっと肩を縮めた。彼女が見つめてくるからだ。「なんで、見つめてくるの」との僕の言葉に、彼女は、「あなたのことが気になるから」と話した。僕はその言葉を聞いて、嬉しく感じた。彼女は僕が好きなのだ、と考えた。


 【③話す】

 「話す」も重要ですね。スタンダードは、「言う」です。


 「言う」は使いがちなので、気をつけたいです。


 「訊く」とか、「呼ぶ」とか、「声をかける」とか、「促す」とか、「声を上げる」とか、「断言する」とか、「質問する」とか、「問う」とか……。


 さっきの例

 さっきの例では、「話す」そのままで、なんだか違和感がありました。「答える」がいいでしょう。

 僕はびくっと肩を縮めた。彼女が見つめてくるからだ。「なんで、見つめてくるの」との僕の言葉に、彼女は、「あなたのことが気になるから」と答えた。僕はその言葉を聞いて、嬉しく感じた。彼女は僕が好きなのだ、と考えた。


 【④聞く】

 「聞く」はバリエーションが少なそうです。


 「耳にする」とか、「耳を澄ませる」とか、「聴く」とか、「耳を傾ける」とか、「傾聴する」とか、「耳に入れる」とか、「拝聴する」とか……。


 さっきの例

 さっきの例では「聞いて」でした。とくに問題ないと思いますが、ちょっと邪魔なのでカットしましょう。

 僕はびくっと肩を縮めた。彼女が見つめてくるからだ。「なんで、見つめてくるの」との僕の言葉に、彼女は、「あなたのことが気になるから」と答えた。僕はその言葉に、嬉しく感じた。彼女は僕が好きなのだ、と考えた。

 

 【⑤感じる】

 「感じる」もたくさんありますね。

 喜怒哀楽、さまざまです。


 「驚く」とか、「ショックを受ける」とか、「観念する」とか、「覚える」とか、「気付く」とか、「感じ取る」とか、「自覚する」とか……。


 さっきの例

 さっきの例では「感じる」のままでしたが、「嬉しくなる」にしましょう。

 僕はびくっと肩を縮めた。彼女が見つめてくるからだ。「なんで、見つめてくるの」との僕の言葉に、彼女は、「あなたのことが気になるから」と答えた。その言葉に、僕は嬉しくなった。彼女は僕が好きなのだ、と考えた。


 【⑥考える】

 人間は考える生物です。

 「考える」をそのまま安直に使いがちですが、気をつけたいです。


「思案する」とか、「思う」とか、「黙考する」とか、「悟る」とか、「理解する」とか、「考えをまとめる」とか……。


 さっきの例

 さっきの例では「考える」そのままだったので、「前向きに捉えた」にしましょう。

 僕はびくっと肩を縮めた。彼女が見つめてくるからだ。「なんで、見つめてくるの」との僕の言葉に、彼女は、「あなたのことが気になるから」と答えた。その言葉に、僕は嬉しくなった。彼女は僕が好きなのだ、と前向きに捉えた。


 ニュアンスを深めていくことで、徐々に文章がわかりやすくなっていきました。


 動詞に迷ったときは、まずは、ぼんやりとしたイメージの言葉をあてはめ、それからニュアンスを追求していくのがいいかもです。


 【動詞で注意すべきこと】

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 ※以下は、ただの僕の考えです。気になる方だけ。

 僕が思うに。小説の動詞は「具体的なほうがいい」です。


 【具体的に書けるのが小説】

 小説のすごいところは細かく書けるところです。

 できるだけ具体的な動詞を使った方がいいのでは、と。


 具体的な言葉のほうが読者に伝わりやすいと思いますし。


「歩く」とか「駆ける」とか「手を挙げる」とか「足を止める」とか。


 【抽象的な言葉はわかりづらい】

 これは、現在の僕の考え。

 たとえば、「祈る」とか、「懺悔する」とか、「感謝する」とかいう言葉は、もちろんアリだとは思いますが、

 「手を合わせる」とか、「頭を下げる」とかのほうが具体的なイメージが伴ってわかりやすいと思います。


 視点人物のなんらかの動きを表現したいとき、動作を含んだ表現がおススメです。


 【もちろん、人による】

 あくまで僕の考えなので。

 僕は、なるだけ、抽象的な動詞は避けて、視点人物の行動や動作で表現したいなと思っているところです。


 そうじゃない考えもあって、よいと思います。


 【たかが動詞、されど動詞】

 今回はこれくらいで。


 動詞だけじゃ大して作品世界は変わりませんが、

 しかし、侮ることもできるません。


 動詞のちょっとしたニュアンスが積み重なると、

 作品の世界に大きな影響を与えると思います。


 月並みな言葉ですが、「ちりも積もれば山となる」です。


 動詞に気をつけながら、ともに執筆、頑張りましょう。

 以上。山本清流でした。お読みいただき、ありがとうございました。