⑤パンダとレア 再編版

パンダさん

いつも通り、練習後ジムの端っこで三角座りしていると。
(アンジェラ・リーも昔よくジムの端っこで三角座りしてたらしいよ。世界共通だね)


『おぉこぼり、明日暇か?』




(こほりですけどね、、)




と聞かれたので、咄嗟に嘘も思い付かず、


「あ、空いてます」


と答えた。



『明日パンダさん見に行くぞ』




「パンダ山って何ですか?」




『アホ、パンダさんや‼️動物園行くぞ』




何か試されているのだろうか、チラッと大野さんの方を見る。

すると

『これ本気のやつやから』


と。




(動物園って大人の男だけで行っていいんか?)



等と戸惑いながらも当日を迎える事に。




初めてジム以外での待ち合わせ。



遠くから金髪の怖い人と、やたら腕の太い人が歩いて来ました。



(コレゲートで止められるんちゃうか?)



『おぅ、今日楽しみやなぁ』



(えっ、なにがやろ。試されてんのか?)



取り敢えず園内に進む事に。



田舎で育った事もあり、特に動物に興味も無いのでテクテク歩く僕と大野さん。



全く動かない大きい人。



『おぉーーおっきいなぁーー』



これは突っ込んだ方が良いのか?



すると大野さんが


『コレまじやから』



まじなんか。




そこから大興奮のヘビー級の人を遠目に見ながらたっぷり過ぎるぐらい動物園を堪能しました。


『良し、ほならお前ん家いこか』






『お前の家いくで』





来んといて欲しい。



こんな怖い人(色んな意味)に家知られたく無い。



『はよ行くぞ』



上手い言い訳も思い付かず、結局皆んなで行く事に。



その時は、後にあんな事になるなんて知るよしも無かった。

レアさん


そんなこんなで、上手く断る事が出来ず結局僕の家に来る事に。




当時僕は大学生で一人暮らし、カビ臭いお部屋に住んでいた。




『おぉ、腹減ったわぁ。何か作ってくれ』







(こんな部屋に住んでる奴の家に食材が有ると思うなよ、、)




と思いながらも、冷蔵庫を開けると実家から送ってきたまぁまぁエエ肉が出てきた。







「僕がゴムの偽物やなくて、ホンマもんの肉食べさせてあげますわ」






そう言って取り敢えず、米を炊いて肉を焼く事に。







とは言ったものの当時の僕は【解凍】という概念を知らなかったので、そのまま適当にフライパンにお肉をIN。







はい、完成。






心の中で、

「おら、豚ども餌の時間だ!」

と呟きながら狭い部屋にある小さな机の上に並べた。






『おぉ〜コレがほんまもんの肉か美味そうや』






と、初めて本物の肉を見た先生は嬉しそう。

そして器用に箸を使いながら口に運んだ。





『美味いんやけど、コレなんか中シャリシャリしてるねんけど、、コレでエエんか?』






(もっかい焼くのん面倒臭いな、、)




「いや、ほんまもんはこんぐらいレアの方が美味いんですよ。ウチはそうしてました!」





と滅茶苦茶な嘘をついておきました。


怪訝な顔をする2人


今までにない強い目力で答える僕。


戸惑いつつ完食する2人。




『腹デカなったなぁ、なんかしようぜ』






(帰って欲しい、、)






そう思ったので、プレステ2のボクシングゲームをやる事に。






操作方法を聞かれたが、教えるのが面倒だったのと帰って欲しかったのもあり



「プロやったらフィーリングでいけます」




とだけ言って、ゲームを開始。






そして当然の様に日頃の鬱憤を晴らすかの様に師匠も先輩もフルボッコにしました。








『何か悲しいから帰るわぁ』






と漸く重い腰をあげてくれる事に。







『ほな、帰るわ、また元気に練習来いよ』






と言って去っていきました。






ガサツなのか、優しいのか。






変な大人やなぁと思いながらも、初めてジムの人達と少し打ち解けられた気がした。






因みに、その後数日間三人共謎の下痢に襲われたそうな。

おしまい

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