見出し画像

③ボールとZ

ボールとモビルスーツ

僕が入会した当時、5人の先輩がいました。

その時プロ昇格直前だった

"兄やん"(後のKING JOH)
"ケンタさん"
"マサさん"(小西"獅子"優樹)
の3兄弟。

やたら腕の太い、僕に初めて寝業を教えてくれた
"大野さん"(大野"虎眼"賢良)

唯一の常識人、後にDREAMでUFCファイターベナビデスと戦う事になる
"小堂さん"(KODO)


皆んなプロ昇格を目指して先生の指導の下、ハードな練習をされていました。


そこに、特に試合も目指してもいない自分がいました。


『ほなスパーしよか』


先生がおもむろにそう言うとジム内の空気が一気に張り詰めるのが分かりました。


(取り敢えず様子見るか)


ジムの広さ的に2ペアが限界だったので、そっと輪の外に避難し見学する事に。



ここで簡単にサイズ比較(旧階級表記)

先生 76〜110kg(当時ミドル〜ヘビー)
兄やん 76〜80kg
ケンタさん 70〜76kg
マサさん  76〜80kg

大野さん  65〜70kg
小堂さん  60〜65kg

小堀    51kg 





圧倒的なサイズ違い。



圧倒的な火力差。



蘇る見学の記憶。



案の定繰り広げられる階級を超えたガチスパー。



(このジムには体重計とか無いんか?)



そっとロッカーの影に隠れる小森。




『おい、小堀。次入れ』


(そこは名前間違えたへんのんかい、、)




ロッカーの影から引き摺り出された小堀は一番優しそうな小堂さんの所へ。



『よ、宜しくお願いします』



(こんな優しそうな人なんやから大丈夫やろ、、)




そう思っていた。






本当に優しかった。



びっくりするぐら優しかった。



俺もうこの人とだけ練習する!!



そう思い、その後の練習はずっと小堂さんに付きっきりで事なきを得ました。



『お前、小堂の事滅茶苦茶好きやな❗️』


と先生に言われる。


だって、、他の人怖いですやん。



サイズで言うたら僕ボールで、先生サイコガンダムかジオングですやん。

そんな事が有り、なんとかジム内での今後の安全を確保する事が出来たのでした。


農民とZ

と、言ったもののいずれは全員とスパーをする事になる訳で。

今考えると滅茶苦茶優しく受けて貰っていただけなのだが、当時は兄やん、マサさんとスパーは本当に怖かった。


バリバリ現役だったし、身体も大きいし。

(俺もおんなし年齢になったらそんぐらい大きくなるかなぁ〜)

等と訳の分からない事を考えていたりしました。


「あのぉ、マサさんてお幾つなんですか?」



『えっ、22やけど?』



2つ違いでした。


僕が小1ならマサさんは小3。



僕が中1ならマサさんは中3


僕が高1ならマサさんは高3。



(おんなし校舎におった可能性あるんや)



田舎もんで良かった。


心からそう思いました。



そんな怖いイメージがあったマサさんですが、練習が終わると何時も


『おぉ、電車代勿体ないやろ、家まで送ったるわ』


と数駅離れた家まで送ってくれました。



(あの人、怖いけど優しいな)



そう思うと同時に


(それとコレとは別や、怖いもんは怖い)


と、その後もスパーの時間はなるべく目を合わせない様にしていました。



今のマサさんは優し過ぎて正直、昔何が怖かったのか思い出せないぐらいですが😅


つづく

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?