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TOEIC学習だけでは英語は話せない理由とどうすれば話せるか

このnoteでは、英語を話すのにTOEIC学習だけでは不十分な理由を説明し、
英語を話すために必要なトレーニングと、ご自身で実施可能な具体的なトレーニング方法をご紹介します。


TOEIC学習だけでは英語は話せない理由

それはズバリ知識と応用(インプットとアウトプット)は別の力だからです。

日本では「英語力」を身につける手段は知識に重点を置いています。日本の英語教育も少しずつ変化しているものの試験は基本的には単語や文法などの「知識」をテストするものが主です。社会人の英語力評価も多くの企業でTOEICスコアの良し悪しで決まります。英語でどれだけ効果的にコミュニケーションが取れるかを評価するテストは市場にはあるものの、まだまだ浸透していません。結果的に英語力向上のアクションは座学的な知識の蓄積が一般的となっています。

実際英語で話をする時に当然英語の知識も必要になりますが、それに加えて知識を「応用」する力が必要となります。ここでこの力を細分化してみましょう:

①発音・イントネーションなどの正しい音の作り方
②情報を整理してわかりやすく説明する力
③正確にメッセージを聞き手に受け取ってもらうための表現力


①に関して・・・単語や文法の知識があり、頭の中で綺麗な英語の文章を作成できても話をする際には聞き手が分かるような音に変換する必要があります。例えば L と R の発音次第で「Right」が「Light」に聞こえてしまってはコミュニケーションが上手く取れなくなってしまいます。発音以外にも、抑揚・音程・リズム・声量なども、聞き手が理解できる音のパターンを作れないといけません。

②に関して・・・文法は文章レベルで役立つものの、話をする際には複数の文章からメッセージを作るので構成力が求められます。メッセージ、理由、根拠となる情報、を整理して話を進めることではじめてわかりやすいお話ができ、スムーズなコミュニケーションが成立します。

③に関して・・・メッセージを正確に伝えるためには、話の内容に加え適切な表現も重要となります。ボディランゲージや顔の表情、声の強弱を使って話のトーンを作り、メッセージをより伝わりやすいものにしていきます。例えば “How are you doing?” という問いに対して、ただ “I’m good”と返事するのと、笑顔で “I’m good!” と返事するのでは伝わるメッセージが大きく変わります。 “I’m good” はすごくシンプルな例ですので、より多くのメッセージを発信していく時にはより表現に注意してニュアンスをコントロールすることがコミュニケーションでは大切になります。

それでは上記3つの力をどう伸ばしていけばいいのでしょうか?前述の通り、座学的に知識を蓄えただけでは伸びません。伸ばすには運動のように話す実践を重ねる「トレーニング」が必要となります。もちろんただ話すだけではトレーニングとしては非効率なので、発音なら発音、構成なら構成と、課題意識と意図を持って取り組むことが最適です。

話をするのには相手が必要なのですが、トレーニングとなると一人でも実施できることは多くあります。

一人でできるアウトプットトレーニング

1に関して・・・例えば「シャドーイング」が効果的です。シャドーイングはヒアリング・リスニングのトレーニングとしても効果的ですが、音を発するトレーニングとしても有効です。シャドーイングの方法は、英語を耳で聞きながら口で同じ音を作ろうとする、というシンプルなものです。聞いている英語を理解する必要はありません。聞こえる英語の音量・音程・リズム・スピードなどをできるだけ再現するというトレーニングなので音に集中する必要はありますが、頭で考えるトレーニングではありません。聞こえている英語を理解することが目的では無いため、言葉を理解しようとする必要はありません。

正しいシャドーイングのトレーニングを繰り返すと耳が英語の音に慣れて聞き取る力がつくのと同時に、英語を話すのに必要となる口の動かし方・声の使い方も身につきます。筋トレやランニングのように少し短くても良いので一週間に複数回、毎回最低10分程度実施し習慣化できると、いざ英語を使う時にトレーニングの成果が発揮できます。

2に関して・・・PREP構成を使ったアウトプットを繰り返し行うトレーニングが効果的です。PREPとは POINT - REASON - EXPLANATION - POINT のことを指し、英語で分かりやすく話すための一番シンプルな構成です。POINTではメッセージ、つまり自分が一番伝えたいことを述べます。REASONでは何故そう考えるか・思うかを述べ、EXPLANATIONでは紐づく情報を肉付けします。最後にPOINTを繰り返し聞き手の記憶にしっかり焼き付けます。トレーニング方法としては、何かのお題(ニュース、身の回りの出来事など)に対して自分の意見をPREP構成に落とし込んでアウトプットすることです。声に出すのがベストですが、難しい場合はまずは書き起こすというトレーニングでも効果的です。

トレーニングの目的は構成を使い慣れることなので、意見としての完成度よりは各要素が揃っているかという点に意識を置きます

例)

お題:What is an important skill for business professionals?

P:One important skill for business professionals is communication skills

R: This is because most business professionals work in teams to achieve a goal, and better communication will lead to successful teams.

E: Clear and smooth communication among team members will reduce inefficiencies in projects and therefore lead to higher productivity and better teamwork. If a team of 5 members had 1 redundant meeting, that’s 5 inefficient hours of work for the team. These inefficiencies add up to cost teams a huge amount of unnecessary costs.

P: That’s why communication skills are very important for business professionals.

3に関して・・・シンプルな文章を、様々な感情を加えながら声に出して読むトレーニングが効果的です。 “This week is ok” くらいシンプルな文章であれば、表現方法によって聞き手の解釈が大きく変わります。これを上手くコントロールできるようになれば本当のメッセージ・真意がより伝わりやすくなります。感情の具体的な加え方は前述の通りボディランゲージや顔の表情、声の強弱を使いましょう。例えば “Happy” であれば姿勢良く、手で親指を立て、笑顔を作って少し高い声で “This week is ok” と言えば、聞き手は “This week is ok” -> 「今週は調子が良い」というメッセージとして捉えやすくなります。“Disappointed” の感情を加える場合は逆に背中を丸め、親指を下げ、顔をしかめて低く弱い声で “This week is ok” と表現できます。決して「今週は調子が良い」という風に捉えられることは無いでしょう。

トレーニング方法としてはシンプルな文章を一つと様々な感情のリストを用意し、色々な組み合わせで表現方法を試してみることです。これを自撮り(動画)することで、あとで本当のメッセージが伝わりやすい表現になっているかセルフレビューできます。

ここまでTOEIC学習などインプットだけの英語学習では話せない理由と、どうすれば話せるようになるかのポイントおよび具体的なトレーニング方法をいくつか紹介させていただきました。早速ご自身で少しトレーニングされてはいかがですか?


Written by Takuma Nakamoto
SparkDojoの上級者プログラムBROWN BELT とBLACK BELT の開発を担当。ディレクターも務める。 経歴:米国ブラウン大学卒業後、デロイトトーマツコンサルティングで自動車産業を中心に海外市場参入戦略、グローバルM&A・PMI など幅広いプロジェクトを担当。その後、フランス系メーカーValeoに入社。日本市場・日系OEMを対象とした企画・戦略や、日米中・ASEANを対象としたプロジェクトマネージャーを担当。


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