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19 色とりどりのミッション

✴︎ぼくの世界


星の欠片が使う言葉は難しい。

しっかり聞いていても意味がわかんなかった。

僕はまだ聞きたいことがあったので

星の欠片の話はさておき、聞きたいことを質問した。



「話しかけてきた女の人と一緒にいたのがね、

青い部屋で見た女の人だった。

で、その人の首の後ろからすーって吸い込まれたから…

今ぼくはあの人のお腹の中にいるってこと?」



「そう。今キミはあの人のお腹の中ですくすくと育っているところ。」



そうなんだ、ぼくは今あの人のお腹の中で育っている。



「キミのタマシイが選んだ部屋にはそれぞれミッションがあってな、

青の部屋は潤し満たすことだ。」


「うるおし、ミタす・・?」


「ここでの話は聞き流しておいておくれ。

生まれ落ちた時から、ここでの会話も俺のことも、

キミはすべて忘れるだろうしな。」


そうなんだ。ぼくはまたすべてを忘れてしまうんだ。

青い部屋で出会ったことも、

宇宙を一緒に行進してきたタマシイの川も。

すべての美しい光景を。



「他に、どんな色の部屋があるの?

それに、どんなミッションがあるの?」


「俺もすべての部屋を知っているわけじゃないが、

赤い部屋は怒りを引きだし愛を届けること。

白い部屋はすべてを白紙に戻し、浄化すること。

黄色い部屋は、富と名誉と繁栄で

緑は…あ〜え〜っとなんだっけなぁ。

ま、いろいろある。色だけにな(笑) ガッハッハ」

そう言って星の欠片は自分のダジャレに大笑いした。



ここでの会話をぼくは覚えていられないのに、

ぼくはどうやってミッションとやらを進めていけるのだろう?

聞きたいことがまだあるのに、

頭が回らなくなってきて

いつの間にかぼくは眠りに落ちてしまった。


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