見出し画像

Dialogue04 パートナー(全国災害ボランティア支援団体ネットワーク:JVOAD)との対話会実施レポート

スペースマーケットは「アクションを生み出し、世の中を美しくする」をサステナビリティ・ビジョンとして掲げ、様々なステークホルダーと連携し多様なアクションを生み出すことで社会の持続可能性への影響力を発揮していきます。

ステークホルダーとの対話会の第4弾は、シェアリングエコノミー協会が災害対応に関する連携協定締結を結んでいる全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)のお2人と、当社が災害支援に関してどのように貢献できるか、ディスカッションしました。

JVOADとシェアリングエコノミー協会の連携のもと、大規模な災害が起きた場合、スペースマーケットでは、プラットフォームに掲載されているスペースを通じた災害支援をする仕組みを作りました。
具体的には、JVOADがスペースに関する現場ニーズを把握し(用途・エリア・スペースの広さ等)スペースマーケットに情報提供。ニーズに合致するスペースがあれば、JVOADが場所の安全性や被災状況を確認した上で、スペース提供支援に向け調整するというものです。

対話会参加メンバー:
認定NPO法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD):
・事務局長 明城徹也様
・広報部 企業連携・ファンドレイズ担当 神元幸津江様

スペースマーケット:
・代表取締役社長 重松大輔
・執行役員 CPRO 端山愛子

神元:JVOADは、東日本大震災から得た教訓を活かして設立された団体です。当時は甚大な被害があり、数多くのNPO/NGOが支援活動をしましたが、お互いの団体について元々知らなかったり、行政もそれらの団体と連携することに慣れていませんでした。現場での連携の動きはありましたが、もっと全体が連携して活動することで、支援の「もれ・むら」をなくせるのではないかという声が多く上がりました。

海外でも、調整団体が国や企業と連携しながら、支援団体との調整をして様々な支援をしています。被災地の状況と支援活動、それぞれ全体像の把握をした上で支援を調整し、またセクター間も連携することにより支援の「もれ・むら」を防ごうという目的で、2016年にJVOADが発足しました。

それ以来、JVOADがハブとなって平時から連携をしたり、災害があった場合には「情報共有会議」を推進したりして、横の連携・調整を促進しています。シェアリングエコノミー協会と災害支援時の連携協定を結んだのも、平時からネットワークを広げて、備えておく目的です。SDGsで言う「誰1人取り残されない」そして「災害時にも尊厳が守られる」という状態を目指しています。

端山:平時からというのがポイントですね。そして「誰1人取り残されない」はスペースマーケットもとても大切にしている観点です。大事ですね。
災害時にスペースシェアに期待されるのは、特にどのような領域でしょうか?

明城:被災者支援について、JVOADとしては全体を14分野に分けて整理しています。

画像1


そして、この14分野、全てスペースが関わります。たとえば、地域で炊き出しを行うスペース、学童などがストップして居場所がなくなるので子供たちが集えるスペース、物資拠点、
要配慮者の支援場所、ペットの一時的な預かり先など、様々です。我々の調整力を上げる必要はありますが、スペースマーケットと連携してできる可能性は、たくさんの領域でありそうです。

このなかで特にスペースマーケットとの親和性が高いのは、災害が起きてすぐではなく、少し落ち着いた頃、コミュニティ支援につながる動きではないかと思っています。
たとえば水害が発生した直後、初めは支援の活動拠点や泥だらけになったものを置く場所が必要かもしれませんが、スペースマーケットでは物置としての場所というよりは、もっと人が集う場が適しているのではないかと。

重松:支援がとても多様化しているんですね。確かに、当社はコミュニティスペースのような、人が集えるスペースが多く登録されていて、得意な分野です。そういったニーズがあるのであれば、貢献しやすいと思います。

明城:災害が起きたあと、中長期的な観点でのコミュニティ・地域の活性化は、実はとても重要です。うまくコーディネーションができると、復旧が早くなり、消費活動が活発になる。交流人口が増えて、地域の良さが生まれ、地域が活性化し、災害に強い地域になる。逆にうまくいかないと、人が減ってしまう、寂しい地域になってしまう。もちろん災害は起きてほしくないですが、もしも起きてしまったら、それをきっかけに地域をよくしていきたいと思っています。

スペースマーケットとは、単に「場所」の話以上に、コミュ二ティの活性化という面で、広く議論ができると嬉しいです。

重松:正のスパイラルを作り出すのはとても難しいことだとは思いますが、とても重要ですね。災害支援を短期的にではなく、中長期的に考えて地域の良さを取り戻していく。おっしゃる通り、この考え方の方が当社が貢献できることが大きそうな気がします。単なる場所の提供以上にできることも含め検討していきたいです。

明城:たとえば2021年の熱海での土砂災害の際、危険な地域には規制線が張られ、その中に家がある人はたまに訪れて必要な物を取りに行っていました。住民のみなさんはバラバラに住み、あまり集まることもない状態でした。そんな中、社会福祉協議会の方々が、昔農協として使われていた建物を見つけました。寄付金による少しのリノベーションを経て、2階が「みんなが集まる場」としてよみがえり、交流の場が生まれました。

熱海は比較的狭いエリアでの災害でしたが、広いエリアでの災害になると、そういった場所がもっとたくさん必要になります。災害により車を失い、移動手段がなくなってしまう方も多く、歩いて行ける距離にホッとできるスペース・人と集る場所が実は必要です。現状では、NPOが入りスポット的にそういった場が作られることはありますが、全体としては足りていないと思っています。

端山:そうなんですね。これまで災害が身近になかった方には、そのようなニーズはあまり想像したことがないかもしれません。たとえば、スペースマーケットのホストの方々に平時から、そういった災害時の中長期的なニーズや支援の必要性、スペースとしてどんな貢献ができそうか共有しておけたら、もしもの時にもっと支援がスムーズになると思います。

明城:いいですね!ホストのみなさんが集まる機会があれば、ぜひ伝えていただきたいです。地域が被災した時に、活用についてどういうアイデアがあるか、平時からぜひ共有していただきたいです。機会があれば協力しますよ。

あとは、場所を所有するホストの方ご自身が被災したときにどうしたらいいか?という点も、是非伝えていただきたいです。

端山:具体的には、たとえばどんなことでしょうか?

神元:たとえば、建物被害があった場合に、行政・民間でどういう制度があり、どんな選択肢があるかということです。実際、災害が起きた場合、それぞれの制度については個別にアナウンスされることが多いです。被災者自身が最終的にどんなゴールに向かって、どのように制度を組み合わせればいいのか、意外と難しいものです。たとえば、行政の制度で家を修理すると、仮設住宅には入れない等、いろんな注意点があります。他にも、浸水した場合にはこう写真を撮っておく必要がある、、とか。

詳細はこちら「防災アクションガイド」にもまとまっていますので、ぜひご覧いただきたいです。

端山:これは誰でも知っておきたい情報ですね。ありがとうございます。場所にまつわるサービスを運営する当社として、情報発信の観点でも貢献していきたいです。

重松:そうですね、いろんな面から貢献ができそうです。災害時への備え・想像をしてもらうために、平時から積極的に情報発信するのも私たちができる重要なアクションですね。

今日はたくさんのヒントをいただきありがとうございました。災害支援を中長期的に考えて、当社が貢献できるアクションを積極的に実行していきたいと思います。災害はいつ起きてもおかしくありません。ぜひ今後も平時からの連携、これからもどうぞよろしくお願いします。