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登山女子は意外と悩んでいる!アンケートから見えた課題に挑んだ『POLE POLE』

スペースキーの小野です。登山Webメディア『YAMA HACK』では、登山女子に特化した特設ページ『POLE POLE』をスタート。開発の目的、目指す世界観を、プロジェクトメンバーに聞きました。


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川尻 絵美  『YAMA HACK』編集
2017年入社。飲食業界、リクルートを経て『YAMA HACK』へ。趣味はクラフトビール。様々な店や国を探索するのが好き。

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荻原 枝里子  『YAMA HACK』編集
2018年入社。アパレル企業にて店舗スタッフ、ECサイトの運営を経て『YAMA HACK』へ。登山はもちろん、スニーカー・帽子・古着が好き。


そもそも『YAMA HACK』とは


-まずは、『POLE POLE』リリースおめでとうございます!リリースまでに紆余曲折あったかと思いますが、開発の意図も含めて聞かせてください。

はい、よろしくお願いいたします。

-まずはお二人が所属している登山Webメディア『YAMA HACK』について、どのようなメディアなのかざっくりと教えてもらえますか?

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(川尻)『YAMA HACK』は⼭の楽しみ⽅を共有するメディアとして、2015年8⽉に誕生しました。月間のユニークユーザー数は約460万人。国内最大級の登山Webメディアとして、登山に関する情報を幅広く発信しています。

というのは媒体資料の通りで。私にとっては特に初心者向けに、山に行くための様々な課題が解決できる情報が集まる場でありたいなと思っています。

-うんうん、それ大事ですね。荻原さんは?

(荻原)私も同じで、初心者をはじめそれ以外のユーザーにも、ためになる情報を発信していきたいと考えています。私自身も登山をする時にいろいろな情報を調べるのですが、意外と欲しい情報にたどり着けないということがありました。

山の情報も、登山ウェアも、ちょっとしたギアの使い方とかも(雪山用のアイゼンとか、選び方も使い方もわからなかった……)、調べたい情報はたくさんあるのに、それぞれのレベル感に合わせた情報に出会えないと実感しました。それらの疑問や課題を解決する場として『YAMA HACK』を活用してもらえたらいいなと思っています。

-『YAMA HACK』はどのような世界観を目指しているのですか?

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(川尻)事業の方針として、『YAMA HACK』を含むWebメディアにはアウトドア人口の裾野を広げるという役割を持っています。その目的を達成するために、『YAMA HACK』としては「まだアウトドア/登山をしていない人とつながる」と「ファンをつくる」の2点で、事業を進めています。

-どういう状態が「ファンになった」と判断していますか?

(荻原)「『YAMA HACK』っていいよ!」と自ら勧めてくれる状態ですね。ユーザーさんが周りの友人・知人に自信を持っておすすめしたくなるようなメディアであることが理想です。

-なるほど。その世界観には、どのくらい近づいていると思いますか?

(川尻)う~ん、難しい……。でも私が入社した当時と比べたら、『YAMA HACK』の認知度は高まっていると思っています。やっと発信ができる立場になれてきたかなと。でも、まだまだこれから。前向きなフェーズにあるのではないでしょうか。


『POLE POLE』をスタートした理由


-そのような中、『POLE POLE』が誕生しました。誕生の経緯を聞かせてください。

(川尻)『POLE POLE』は『YAMA HACK』の中の“女性向け登山情報ページ”という位置づけです。「『YAMA HACK』って女性向け情報少ないね」という気づきから「女性の悩みや課題を解決したい」という流れで動き出したのが発端で、『YAMA HACK』という大きな枠からより細かい枠を設定しファン化を目指す。その枠のひとつが『POLE POLE』です。

-今回、女性にターゲットを絞ったのはなぜですか?

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(川尻)この業界に入って感じたことですが、登山をする人も業界に関わる人も、全体的に男性の割合が多いんですね。その影響か、男性目線での情報が多いなぁと思い、私が”女性”の視点で探した時に、なかなか欲しい情報にたどり着けなかったんです。

また、私は『YAMA HACK』に関わるようになってから登山を始めたのですが、初心者目線での情報も少ないなと感じました。検索して出てくる情報はどれも初心者にとってはハイレベルで、登山へのハードルが高い。「高い山に登ることがカッコいい」のはすごくわかるのですが、それ以外の楽しみ方だってあるはず。そこのニーズに答えてファンを広げたいと強く思ったのがきっかけです。

(荻原)私も同じく、女性に特化した情報ってまだまだ少ないように感じていました。女性がひとりでガンガン山に登るための情報もなければ、のんびり里山歩きを楽しむための情報もない。登山レベルや山の楽しみ方は人それぞれなので、どちらもあったほうがいいのではと。

でも最初は、ターゲットは女性に絞っていた訳ではないんです。

-と言いますと?

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(荻原)はじめは「おしゃれ」というキーワードで考えていました。登山はもちろん安全第一というのが前提。そこをおさえたうえで、登山でもおしゃれを楽しんでいいのではないかと。ここは、私自身がユーザーとして感じていた課題でもあります。

(川尻)「登山×ファッション」で考える中で、当初は女性だけに絞らずに進めていました。しかし、アンケートを実施してみると、”おしゃれへの興味”は女性が圧倒的に強いという事がわかり、再度女性だけにアンケートを。すると、ファッション以外にも身体やメイクについてなど、女性特有の様々な悩みがあることがわかったんです。

「おしゃれに限らず、登山をする/したいと思っている女性は多くの悩みを抱えている」この仮説から、ターゲットを女性に絞ることに決めました。

-なるほど。アンケートで仮説が見えてきたんですね。

(荻原)アンケートによって、みんな結構悩んでいるんだな、というのがわかりました。逆に、ここを解決したいという明確な目標も見えて、決意が固まりましたね。


『POLE POLE』の制作工程


-リリースするまで、どのような工程を踏んでいったのですか?

0.プレ仮説:「おしゃれニーズ」があるのではないか。
1.アンケート実施
2.ペルソナ設計
3.情報の項目出し
4.関係部署との調整
5.制作進行管理
6.アンバサダーとの関係づくり
7.ネーミング:『POLE POLE』の名前決め

(川尻)ざっとこんな感じでしょうか……?

-それぞれについてお聞きしますね。1のアンケートまでは上述の通りで、「ペルソナ設計」についてはどのように決めていったのですか?

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(川尻)理想の世界観やどう使ってほしいか、ということを二人で決めました。情報の項目出しも同様ですね。私たちも同じ登山をする女性としての視点から、自分たちが欲しい、あったらいいなと思う項目をブレストしながら洗い出しました。

-次の「関係部署との調整」は具体的にどのような?

(川尻)開発のための条件は「今あるリソースの中で、どうやったらそれが最短かつコストをかけずにできるか」ということでした。実現のために、実際に何をしなければいけないのか。全くわからない中で試行錯誤状態でしたね!

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(荻原)はじめは人が集まる場づくりも検討したのですが、ログイン機能など開発に時間がとてもかかることがわかり断念。おしゃれという観点ではInstagramやWEARのように、写真で見せることが有効と考え、『sotoshiru』のスタイル投稿に目を付けました。スタイル投稿を使えば、リアルな情報を発信することができ、かつ(すでに運用している機能なので)工数もミニマムで抑えられる。実現したいことが叶えられそうだと思い、『sotoshiru』チームにお声かけさせてもらいました。

-なるほど。そのような意図から他部署への働きかけがあったのですね。次の「制作進行管理」もヘビーそうですね。

(川尻)限られた時間と予算のなかで、どう実現するか。ここは開発側とも綿密に詰めた部分です。今回のプロジェクトで、PM的な役割は私。プロダクトマネジメントは私とオギー(荻原)の二人で行いました。二人で進めたのは、軸がぶれないようにという意味合いが大きく、何かを決めるのときは二人で必ず相談して決めました。

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『POLE POLE』自体は女性全体に向けたページ。登山を本格的にする人もライトに楽しむ人も含まれています。そういう意味で、登山スタイルやレベル感が違う私たちでやれたことが逆によかったのかなと思っています。ペルソナから二人で作ったので、認識のずれもなくスムーズに進められました。私たちが欲しいと思うものを追及したのがよかったのかな。

-お二人の中で認識のズレがないのは強いですね!次の「アンバサダーとの関係づくり」は0から構築していったのですか?

(荻原)『sotoshiru』アンバサダーさんを中心にお声かけし、関係づくりを進めました。地道な営業活動のような感じでしたね。

-残すはネーミングですね。

(荻原)『POLE POLE』とはスワヒリ語で「ゆっくり、ゆっくり」という意味です。登山が好きなすべての女性に、レベルや年齢にとらわれることなく自分らしく山を楽しんでほしい。ゆっくり、ゆっくり、自分のペースで山を楽しんでほしいという想いを込めています。


『POLE POLE』から学んだこと


-実際の制作期間はどのくらいだったのですか?

(川尻)1.5か月くらいです。動き出したら早かったですね!通常業務にプラスしての作業だったので、(正直なところ)1か月くらいは泣きそうでした……。

(荻原)ほんとに!凝縮されてあっという間でした。進み方が早くてびっくりしましたね!

-今回のプロジェクトを通じて、プラスになったことは何ですか?

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(川尻)すべてのことが勉強になりました。PM経験も初めて、他部署が何をやっているか、業務との調整はどうするか、などすべてがわからない中で進めなくてはいけなかったので、調整力は鍛えられたかなと思います。

私は編集者なので、サービスを作る知識はありません。なので、他部署の皆さんにとにかく聞いて進めました。教えてもらわないと実現できない。ただ、私たちの理想はぶらさずに実現したい。「こういう状態にしたい。どうしていけば良い?」を各担当とひたすら繰り返していましたね。

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(荻原)そうですね。他部署と連携した仕事は元々少なかったという前提はありますが、ミーティングの進め方から話す内容、必要な資料など、すべてが部署や人によって違うのでとても勉強になりました!

-その部署のスピード感とか、周りからは全然わからないですからね。難しそう……。

(川尻)専門知識がない故に、こちらの意図通りに伝わらないこともあり、この失敗からわからないことはわからないと素直に伝えるのが良いということがわかりましたね。いつまでに、どんなことを、なぜやるかは明確に伝えられるように心がけるようにしました。ここは最初できなくて、よく指摘されたなぁ……。

あと、方針や方向を決めるために、ちょっと相談したいってこともあるじゃないですか。そのような場合でも、「自分たちが何をしたいか」を伝えることが大事なんだとわかりました。ただ相談するだけは、相手の時間も奪う行為。できる限りの情報と共にしたいことを伝えるのは、相談でも大事なことなんだと実感しました。

-たくさんの気づきがあったんですね。こちらも勉強になります!


『POLE POLE』と『YAMA HACK』が目指す世界


-『POLE POLE』について、「こんな使われ方してほしいな」「こんな場にしていきたいな」という理想の姿をおしえてください。

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(荻原)山に行く時の参考にしてほしいです。行くときだけでなく、登山に興味をもった時や準備の段階など、幅広いタイミングで読んでほしいですね!特に身体の悩みなどは準備以前の課題でもあるので、タイミングは問わず、悩みがある女性が当然に訪れる場にしていきたいと考えています。

(川尻)そうですね。登山する/したい女性が「当然のように遊びに来てくれる場」をつくりたいです。

(荻原)「今日の登山で日焼けしちゃった! どうしよう……」というときとか。

(川尻)登山に行かない、暇なときに見る情報もいいね。「山×恋」の漫画とかもいいかも!

-今後の世界観が膨らみますね!『POLE POLE』に来てくれたユーザーさんには、どのような行動をしてもらいたいと考えていますか?

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(荻原)まだ登山をしたことがない人にも、「山に行ってみたいな」と少しでも思ってもらえたら、そして行動を起こすきっかけになったらうれしいですね。登山女子が増えるように、『POLE POLE』を通じて頑張ります!

(川尻)「自分のスタイルで自由に登山を楽しめるようになって欲しい。のんびりハイキングでもピークハントでも、山容を見に行くだけでもいい、山の楽しみ方に間違いはない!」と思える世界を作りたい。『POLE POLE』に込めた想いを、一人ひとりが実現できたらいいなと思っています。

-『YAMA HACK』として、今後はどのような課題を解決していきたいですか?

(荻原)まずは登山人口を増やすこと。そのためにも、様々な情報を発信することで、登山を始めるときにぶつかる障壁を『YAMA HACK』が解決できたらと思います。

また、「登山ってこういうもの」という固定観念を変えていきたいですね。ハードな山行も、ゆる~い山歩きもあり。山頂を目指さなくてもいい。いろいろな山の楽しみ方が受け入れられるように、ユーザーに近い私たちがアップデートしていけたらいいですね。

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(川尻)登山と遭難は切り離せない関係ですが、私は遭難記事を読む度に山が怖くなるんです。安全登山への啓蒙活動として伝えることはもちろん必要なのですが、伝え方はもっと色々工夫できるのではと考えています。正しいことを、よりわかりやすく伝える表現方法については、もっと注力していきたいですね。

遭難してしまうのには様々な状況が考えられますが、やはり多いのが”道迷い”。特に「自分は大丈夫でしょ」と軽く考えてしまっている人が多いんですよね。観光要素の強い低山でも遭難は起こります。楽しさ・魅力と同時に危機管理をどう伝えていくのか。初心者にもシンプルに、かつわかりやすく伝えられるようになりたいです。もっともっとためになる情報を充実させて、誰もが安全に楽しく山を楽しめる状態を作りたいですね。

-そのために、どんな人と一緒に働きたいですか?

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(川尻)『YAMA HACK』で「こんな事をしてみたい!実現してみたい!」という熱い想いがある人。登山業界で「こうしたい!」という想いがある人に来ていただきたいです!

(荻原)思いやりがあって、相手の立場で物事を考えられる人。自分と異なる意見や考えにも耳を傾けられる人。そして、とにかく登山が好きな人。一緒に『YAMA HACK』を盛り上げましょう!

-ありがとうございました!


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