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【中編】代表が初めて語る!急成長アウトドア事業7年の軌跡と描く未来

これまで対外発信することの無かったアウトドアカンパニー“スペースキーについて”代表佐藤への直撃インタビュー中編です。

直近4年で社員数6倍、サービス利用者11倍、売上22倍と急成長。その成長の軌跡とは?運営WEBサービスは月間MAU1,300万人超、官民連携の推進、キャンプ場運営会社立ち上げ、一般財団法人を設立して行うフィールド保全活動等、事業領域拡大の意図と課題とは。

スペースキーのこれまで~これからを、全3編にわたってお届けします!


【第二創業期】従業員20名→115名への成長、事業拡大・多角化の理由

MAU1,300万のメディア群に至る、事業拡大の軌跡

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(↑以前の新大宗円山ビル。だいぶメンバーも増えてきました。)

-メディア関連の事業拡大の動きは早かったように思います。

そうですね。元々キャンプから始まっていますが、私自身も宮城県蔵王町という樹氷やスキーで有名な自然豊かな場所で育ってきたので、アウトドア=キャンプではなくフィールドで楽しむ遊びという認識がありました。

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(↑宮城県蔵王町。本当は樹氷やスキーの風景を見せたかった!)

フィールドには、様々なアウトドアレジャーが存在します。キャンプや登山、釣り、自転車、その他沢山……。だから『CAMP HACK』『YAMA HACK』『TSURI HACK』『CYCLE HACK』を運営しています。

それぞれのメディアには「カテゴリーに特化した情報の百貨店になって欲しい。その後、他から路面店のようなメディアも出てくると思うから。」と話していました。

何か始めるときに最初から路面店や専門店に行くことってハードルが高く感じませんか?総合百貨店とか総合小売店に行って、自分の好みや楽しみ方が分かると、路面店とか専門店でよりニッチなアイテムとか自分の好みに合った情報を知りたくなったりすると思います。

だから僕らはアウトドアレジャーのカテゴリーごとの百貨店として必要な情報を揃え、それを気軽に使ってもらうことでアウトドアレジャーを始めるハードルを下げようと考えています。

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フィールドで楽しめるアウトドアレジャーを共有できる場所づくり

その最中にアウトドア情報キュレーションアプリ『sotoshiru』を出しました。『sotoshiru』に込める背景や狙いは何でしょうか?

これは簡単に言うと、既存のHACKメディアが「カテゴリー特化の情報百貨店」であれば、『sotoshiru』は「アウトドアレジャーの総合情報百貨店」みたいな感じです。総合情報百貨店といっても、路面店のようなニッチな情報も発見できる場所の開発だと捉えています。

現実のフィールドでは、釣りをしながらキャンプできたりキャンプ場をベースにマウンテンバイクを楽しめたり、同時に様々なアウトドアレジャーを楽しめます。

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しかし、インターネット空間ではカテゴリーごとに分かれていて、実際必要な情報にアクセスするのに依然として取得コストがかかる状態でした。フィールドであらゆるアウトドアレジャーを楽しめるように、インターネット空間でもあらゆるアウトドアレジャー情報にアクセスできるようにしたい、それが『sotoshiru』の原点です。

ここに来るとなんでも揃っている、という一番最初に生活者がアウトドアレジャーと触れるインターフェースであるべきと考えていますが、入口の機能でしかありません。興味を持っていただいた生活者の方を体験に導く新たな役割は、これから必然的に担います。

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使命を吹き込める事業をつくることに、価値を感じたい

そのあと、中古用品売買事業や人材支援・アウトドアカンファレンス・官民連携・レンタル・キャンプ場運営関連会社・一般財団法人設立等、多角化されていますね。

そうですね。もがきながらもサービスが成長するなかで、社会・産業・生活者などの様々なレイヤーでぼんやりですが様々な課題が見えてきました。その課題解決に取り組んだ結果、多角化に繋がったという形です。

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事業はどのような判断軸で、立ち上げをされているのでしょうか?

上手くいった・上手くいかなかった事業はありますが、「自分たちがやるのが一番価値が高まる。やるべき。」と思えることが一番重要です。

誰から期待されなくとも使命が持てる・本人にとって既に見えている未来があり、さらに言えば具体的な戦略・戦術まで見える事業がグッドですが、そのような事業をオンライン・オフライン問わず総合的にやってきた・やっていくということです。

だから事業は最初から特定領域でNo.1になれるように取り組むべきですし、なるべきです。そうでなければ、私自身が1人1人のメンバーに貴重な時間を費やしてもらう価値を感じませんし、スペースキーで過ごす価値を感じていただけないのではないでしょうか。

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事業領域においてITが持つ力は私たちの1つの強みですが、モビリティ・金融・不動産・小売様々な分野でその技術は生かされていますし、関わる境目はなくなってきていると理解しています。

赤字だから撤退するのではなく、黒字でも撤退判断はありますし、一番価値を提供できるという使命と自信が崩れたときに悔しいですが撤退判断をしてきました。

新しいことをやりたいのでもなく、類似サービスで既に存在する事業と競争したいのでもなく、前提には特定の課題に一番素晴らしい価値を提供できるという使命をサービスに乗せられるか?が事業のスタートで、その想いを持ちながら全ての事業運営を行っています。現在もオンライン・オフライン問わず複数事業を準備しています。

やらないと判断した事業でも世の中には既に素晴らしい事業は沢山ありますので、私たちが持つ機能を介在することでお互いの価値向上に繋がる場合はご一緒させていただいてます。


ビジョン実現に不可欠なオフラインの課題

カジュアル面談等でも、アウトドアカンファレンスや官民連携の取組、キャンプ場開発・運営などはオンラインのWebサービス中心である会社としてユニークな取り組みと捉えていただく機会は多いのですが、なぜオフラインに関わる事業もやろうと思ったんですか?

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先ほども言いましたが、もともと境目を感じたことはありません。先に生活者や社会に認知されているのが運営するオンラインのWebサービスであっただけです。

そのオンラインの取り組みを進めるなかで、興味があってフィールドに行っても“満足できなかった”、“次やりたいと思わない”、という声を少なからず耳にしてきました。そして、その課題解決には民間の取組だけでは足りないということが分かりました。

例えば、旅館・ホテル業界の運営主体はほぼ100%が民間事業者です。一方、キャンプ場は3,800前後ある中で完全に運営主体が民間事業者のキャンプ場はわずか3分の1に過ぎません。残りの3分の2はなんらか運営に行政・自治体が関わってるんですね。

よく話していますが、フィールド上で営まれる施設や事業は、民間事業者だけでなく、行政・自治体との関わりが密接です。

はい、これまでもよく話を聞いてきました。

行政・自治体が運営主体を担うフィールドやキャンプ場では、財源がなかなか確保できない場合、生活者が“次も行きたい!”と思うような施設や体験を提供できていなかったり、そもそもサービスの提供自体が難しくなっていたりします。

そこで民間事業者を活用する流れが生じて、官民連携を進める必要性が求められます。持続的にサービス提供ができない施設は、施設が存在する自然そのものであるフィールドを維持・管理する機能も失われ、維持できなくなった結果、自然の遊び場も減ってしまいます。

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まず「繋がるより、繋げる場所を。」

産業の持続性に構造的な課題があるということですね。最初のきっかけとしてどのような取り組みをされましたか?

まず私たち自身が実態を把握するためにヒアリングする機会を模索しました。その際に地方創生やインバウンド等に関心ある行政・自治体とお話できる機会はありましたが、アウトドアレジャー分野では、まず官民連携しての価値提供がより一層必要であることを痛感しました。

理由は、まずアウトドアレジャーを切り口とした話題が上がることがそもそもなく、これはアウトドアレジャーにおいては、民間・行政双方の考えや描く未来が共有されていないということです。

その直面した課題にどう対応したのですか?

行政・自治体においても、SDGsや観光にまつわる情報感度は非常に高いと思いますが、アウトドアレジャーを起点とした情報は不足しています。これは民間事業者にとっても、行政・自治体がどのような未来を作りたいと考えているのかを理解する機会が少ない点で同様です。当然、長年携わり非常に先進的な取り組みを行ったり、課題を深くまで把握されている民間事業者も多く存在しますが、一部に過ぎません。

だから「情報」と「繋がり」を共有する機能は活きてくる、その考えがアウトドアイノベーションサミット(略称OIS)に繋がります。

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(↑OIS2019の雰囲気。多くのアウトドア関係者様に参加いただきました!)

OISはどのようなことをされているのでしょうか。

「アウトドア人口の増加・環境・地域振興」の3テーマに渡り、最新のトレンド・流れの「情報」を共有したり、そもそも産学官の皆様がどのような課題や機会を感じているのかを相互理解する「繋げる」場所を提供しています。

2019年は東京国際フォーラムで開催し、アウトドアに関わる多くのリーダーにご来場いただきました。参加費は無料ですが、完全招待制にさせていただいています。当初は自社事業でしたが、他のアウトドア事業者等にも呼び掛けて実行委員会を設置し、協賛によるご協力をいただくようにしました。

また昨年は環境省・スポーツ庁・オリパラ地域活性化推進首長連合・Outdoor Industry Associationという米国最大のアウトドア団体から後援をいただくことができるまでになりました。OISは毎年開催させていただいています。

(↑Outdoor Innovation Summit2019、当日の様子は動画でどうぞ!)


アウトドアレジャーと正確に向き合うこと

最近は行政・自治体との取組も増えていますが、これはどんな意図がありますか?

OISは繋げる場所創りでしたが、その次に私たち自身も繋がる取り組みを行っています。何度も言いますが、アウトドアレジャーの活性化に立ちはだかる壁は民間事業者だけでは解決できません。

全てがそうとは言い切れませんが、民間で事業を立ち上げて価値を生み出しても、1本1本の木が良くなるだけで土壌が整っていなければ豊かな森が作れず、どこかで頭打ちか息切れします。2017年には環境省と国立公園オフィシャルパートナーを締結させていただきました。

キャンプ場は、フィールドの中で生活者が自然を楽しみやすい機会を作り、自然をより長く豊かに維持・保全する役割も担っています。ただそのような自然を楽しむ機会、より長く豊かに維持・保全するという両面の機能は、キャンプ場だけでなくアウトドアレジャーにおいても様々なカテゴリーの民間事業者が担っています。

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(↑高知県、観光資源オーディション開催の一幕。皆さん真剣です。)

私たちはアウトドアレジャーに関わる様々なカテゴリーの事業者・フィールドが属する行政・自治体の実態を深く理解し、本質的な課題を発見して、一緒に解決したいと考えています。

後編へ続く


■急成長アウトドア事業7年の軌跡と描く未来

【前編:第一創業期】アウトドア事業の事業化に耐えた時期

【中編:第二創業期】従業員20名→115名への成長、事業拡大・多角化期

【後編:第三創業期】新ビジョンから描く未来

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