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2020年の注目は渋谷・5G・カジノ。日本マーケティング協会の専務理事に聞く


2020年はどういう1年になるのか。マーケティングの観点から、注目していることや、消費行動の変化についてを日本マーケティング協会の専務理事の高石一朝さんに聞きました。

公益社団法人日本マーケティング協会
専務理事 高石一朝様

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早稲田大学卒業。卒業後株式会社電通に入社。ラジオテレビ局、新聞局、第7営業局営業部長、第5営業局局次長、第14営業局局長など経て、2017年8月より公益社団法人 日本マーケティング協会に出向、基幹事業局長を務める。2018年より現職。

2020年の注目は「渋谷」「5G」「カジノ」


ー2020年のマーケティングはどのように変化していくと思われますか?

マーケティングは流れの中で徐々に変化していくことを踏まえて、2020年のエポックメイキングになりそうな出来事を考えて思い付くのものが3つあります。「渋谷」「5G」「カジノ」です。

私は、東京といえば渋谷になるのではないかと思っています。昔は浅草が東京の中心でしたが、今はグローバルな銀座です。それが渋谷に変わる。渋谷の再開発により、Googleが六本木から渋谷に戻ってきました。Googleが吸引力になって他のIT企業も集まってきています。

渋谷は、裏原宿や表参道・道玄坂のような少しニッチな場所に近いという特徴もあります。アンダーグラウンドな文化とstate-of-the-art、最新鋭の文化が共存しているのが渋谷です。

それに外国人にとって、日本の観光で渋谷に行ったことが自慢になる、といった話も聞きました。渋谷は再開発によってアジアにおけるシンボリックな街になる可能性をも秘めていると思います。

少し先の話ではありますが、いよいよ5Gが始まります。5Gとは何なのか、どう向き合うべきかを企業は考え始めていますが、実は4Gが始まったときに、企業が予想していたことはことごとく外れました。先々を予測しなければならないマーケターの予想は外れたんです。

これはなぜかと言うと、4Gの環境を生活に取り込んで実感しているマーケターがいなかったから。5Gでも同じことが言えると思います。

5Gは4G以上の改革が行われるのは確かだと思うのですが、どんなものがどう生まれるのかまでは分かりません。2020年は、それでも5Gについて考えなければいけない節目になると思います。

最後に、カジノです。2020年は、カジノについて語り始める年になるのではないかと考えています。

今はカジノを誘致すべきかどうかという議論をしていますが、これが、カジノが誘致されたら世の中はどう変わるかという議論に移っていくのではないと思っています。カジノのマーケットは数兆円、2桁兆円ではないかといわれている中で、それがどのように市場にはまるのか。2020年後半くらいから話題に挙がることが増えるのではないと思います。

社会課題を自らが解決したい世代に注目

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ー2020年の消費行動はどのように変化していくと思われますか?

これからはアメリカに注目すべきだと考えています。アメリカでのマーケティングで注目されているのが、人口構成比が高いミレニアル世代とジェネレーションZ世代です。

この世代は生まれた時からSNSやインターネットがあり、これらを通じて社会課題を自らが解決したいという強い思いを持っているのが特徴的です。

更にはインターネットを介した社会課題の解決に必要なのは政治家ではなく企業だと考えています。その世代を対象にした調査によると、社会課題の解決に向けて努力をしない企業の商品は買わない人が85%、という結果が出ているんです。

アメリカの若者世代の考え方はネット社会で様々な国に浸透し始めています。若者が政治に影響を与える存在になりつつあるのです。こうした点は今後のマーケティングに大きな影響を与えてくると思います。

日本は、ミレニアル世代とジェネレーションZ世代の人口構成比が低いため、シニアマーケットに注力していますが、ターゲットにすべき世代はミレニアルやジェネレーションZ世代かもしれない。それを見誤らないようにしないといけません。

マーケターは席に座っている場合ではない


ーこれからのマーケターには何が必要だと思いますか。

今はマーケティングリサーチが指先だけでできる時代です。しかし私は、外に出て検証することがこれからのマーケターに求められるのだと考えています。

確固たる仮説を得るために、マーケターは席に座っている場合ではないと思うんです。街に繰り出して、現場に赴いて、ターゲット側の立場を体験するなど、現場に行くことがますます重要になると考えています。そうして、初めて仮説が生まれるのではないでしょうか。

それと、アートの感覚を持つことも大事だと思います。アメリカでは美術大学出身のCMOが1割程度いるんです。直感的な感覚、アートの感覚を持った経営者が生まれています。Appleもその一つです。こうした会社はとにかくデザインのセンスが良い。

例えばスターバックスのコーヒーは他より少し価格が高いですが、それでもスタバに行く人が多い理由は、デザインされた風格が好きだからでしょう。それはアートの力であって、アートの力をいかに活用すべきかを日本企業は考えていかなければならないと思います。

ただ、アーティストはどちらかというと自分本位の発想が多くて、マーケットのことは考慮しません。自分にとって良いか悪いか、自分にとって価値があれば他人にとっても価値があるという考え方です。

ですので、アートとマーケティングがマージする環境を作るべきだと考え、2020年の日本マーケティング協会のコンセプトの一つは、「マーケティング・ミーツ・アート」にしました。


ー日本マーケティング協会は、入会している企業のお名前を拝見すると錚々たる顔ぶれですが、小さな企業でも参画できるのでしょうか。

もちろんです。それに、小さな企業が入れば刺激になります。大企業の方というのは、どうしても発想が固定化されてしまう傾向にありますからね。だからこそ、スタートアップの方々と大企業のマーケターが一緒になって考えるというのは非常に重要なことなのです。

日本マーケティング協会では、大企業とスタートアップ、この両者の関係値を作っていきたいと考えています。今後は教育研修において、スタートアップ企業の立ち上げに苦労した方も講師としてお招きしていきたいと思っています。良い話ばかりをするのではなく、刺激を与えることも重要ですからね。

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ーありがとうございました。

日本マーケティング協会

日本マーケティング協会は、マーケティングのセミナーや、教育研修、マーケティング検定などを行っている協会です。マーケティングの教育研修は、約500社から希望者を募り、入社5年目くらいの方向けにマーケティングの基礎を学び直ぶベーシックコースや、1年をかけてマーケティングを徹底的に学ぶマスターコース、部長クラス以上のマネージャーを対象に短期集中でマーケティングを学ぶエグゼクティブコースがあります。

インタビュアー:株式会社Wedia 代表取締役 今井信


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