見出し画像

昨日のクレームについて考えてみた

久々に患者さんから面と向かってクレームを受け付けたのでご報告いたします。因みに私に対するクレームではありません笑。今回のクレームはあるひとりの介護士についてのクレームでした。このクレーム内容を受けて、今の医療現場が抱える問題点について考えてみました。


クレームの詳細

まずは患者さんの簡単な情報👇

失調のある患者さん。ベッドと車椅子の移乗は見守り、移動は車椅子です。トイレ内動作は手すりを使用し自立レベル。自立が難しい理由として車椅子の自走が難しい、当院のトイレが非常に入りにくく自走が出来ないためトイレに入れない。トイレに行こうとすれば介護士の手を借りる動作は、ベッドと車椅子の移乗の際の見守りとトイレまでの車椅子送迎となります。

クレーム内容はこうです👇

13:00からリハビリがあるので事前にトイレへ行こうと思い、12:15にナースコールをしました。なぜ45分も前にコールをしたかと言うと、毎度のごとく、何回ナースコールを押しても来てくれないらしく、いつも早めに鳴らすようにしているらしいです。そして来てくれたのが12:45。そこで介護士にこう言われたらしいのです。

介護士「何回も押さんでも分かってるわ」

そこから口論が始まり、患者さんも頭に来たらしく

患者「もうええわ、自分一人で行く」

介護士「勝手にせえ」

その直後に私が病室へお迎えにあがった訳なんですが、そんなこととは露知らず、いつも通り患者さんに「リハビリに行きましょうか?」と話しかけました。また一昨日にNGチューブが取れたので「鼻、取れましたね、よかったですね」と話しかけたのを覚えてます。因みにこの患者さん、いつもめっちゃ穏やかで急に笑いだすような感じの方なんです。

ただし全然いつもと違うな、と話しかけた後の反応で気付きました。「ん?なんかいつもと様子ちゃうな」と思ったんですね。

そしてリハビリ室に着くや否や、号泣されました。そこでよくよく聞いてみると上記内容のお話をされました。

クレーム内容を踏まえて患者さんの端的な気持ちは

■もちろん感謝はしている。だけど何であんな言い方されなあかんの?

■トイレは気を遣う

ふむふむと私は一部始終を聞いてました。そこで思ったことは

「またか」です。

そう、またなんですよ。

もうずーーーーーーーーーーーーーっとなんですよ。「なんであなたは今まで何もして来なかったの??」って声が聞こえて来そうですね。何もして来なかった訳ではないんですね。だからこの問題は根深いんですよ。

では深堀していきます。


接遇の問題

まず大前提として接遇面についてはどうしようもなく介護士が悪いです。救いようがありません。患者さんに使う言葉遣いではありませんよね。まず表面的な問題は介護士個人の接遇があまりにも酷いってことです。

では昨日のその場だけそのような言葉遣いをしているのか?そんな訳ないですよね。いつもそうなんです。つまり注意するヒトがいないんですね。なぜなら周りも同じような言葉遣いをしているヒトがいるからです。もちろん全員がそうではないですよ。本当に一部の看護師、介護士です。

では私(理学療法士)が注意すべきなんでしょうか?これは得策ではありません。まず他部署ですし、本来その介護士を指導すべきは病棟師長なわけです。

まず1つの問題として、接遇面はかなり医療現場に蔓延る、ある種、医療現場に特有の悪習ではないかと思ってます。これは患者さんは1度は身に覚えがあるのではないでしょうか?


リハビリテーション部が看護部の問題を指摘すると…

先ほど私(理学療法士)が指摘するのは得策ではないとお話しました。そんなエピソードをご紹介します。

今回のクレームについてリハビリテーション部副士長にどのように対応すれば良いか相談に行った時の話です。副士長は医療安全委員会の委員もされてますので裏話のような感じでお話してくれたんですけど、

医療安全委員会の看護部長から釘を刺されたらしく、

「あまり病棟(看護師、介護士)に対するインシデントレポートを上げないように」と。

どう言うことかと言いますと、最初に挙げた介護士、看護師の接遇面の問題はみんな(リハビリテーション部)気になってたのです。直接指摘しても意味がないことはよく分かってるので、みんなインシデントレポートで今回のような看護師、介護士に対するクレームを聞くとレポートで報告を上げていたのです。そこで先ほどの看護部長からのご指摘があったみたいです。改善する気が無いようです。

当院は大きな組織なんです。地域の中核病院なんです。めちゃくちゃ古い体質が今もなお残っている病院なんですよ。

副士長が教えてくれた対策は

患者さん自身に「患者アンケート」にクレームを書いてもらえれば病院トップから動かざるを得ないから、それしかないかな…

えっ?何この病院?

接遇面についてはたぶん私の病院が特別悪いのだと思います。以前働いてる病院ではこんなことはなかったので。なぜこうなってしまうんでしょうか?

職業倫理の問題ですが、個人単位でどうこうなる話でもなさそうなんです。


ヘルスケアワーカーの人手不足

今、医療現場は慢性的な人手不足です。特に看護師、介護士は数が足りてません。さらに高齢者の増加に伴い医療現場は正直に申し上げて……大変です。これは私も思います。

私の担当する病棟は回復期病棟なんですが、当院には2つ回復期病棟があるんですね。

1つは脳血管疾患の患者さんだけを受け入れる病棟。もう一つが私が担当する病棟です。

では私の担当病棟はどう言う病棟かと言いますと、脳血管疾患、整形外科疾患、脊髄損傷、その他…と言うように様々な疾患の患者さんがいらっしゃいます。

言い方が悪いですが、もう一つの回復期病棟へは入れない(これは当院の基準ではと言う意味です)患者さんが入棟されます。つまりややこしい(病態、個人背景、退院支援が難航しそう、などなど)患者さんなんです。確かに大変な患者さんが多くて、毎日病棟看護師・介護士はてんやわんやしてます。

最近も病棟で接遇面の話題がNsステーションで挙がってましたが、その時のある看護師の発言ですが

人数増やしてもらわんと接遇なんて言ってられへんわ!!

って言うのを病棟師長に向かって言ってましたね。

「えっ、師長にタメ口www」って思うかも知れないですけど(全員ではないですよ)、看護師ってそうなん?って初めはビックリしましたけど、もう慣れちゃいました。

つまりギリギリの状態でなんとか成り立っていると言うのがこの病棟なんですね。実際毎日他病棟から応援Nsが来てくれて業務補填してくれてます。

まあそんな現状なわけです。


人手不足の原因

頻回に鳴り止まないナースコール

冒頭で挙げた介護士や看護師はそのようなコールを取るでしょうか?取らないんですよね。では誰がコール対応すると思いますか?

いわゆる”良い人”ですね

皆さんも経験あると思うんですけど、職場で仕事を一生懸命して、いつも笑顔で対応してくれて、患者さんからの信頼も厚い、そういう看護師・介護士ってお一人はいませんか?

そういう人がコール対応するんです。コールを取るべき人が他にも居るのに「またあの人(患者)か」となっちゃう人が取らないコールを全て取るわけです。全てのしわ寄せが”良い人”に行ってしまうんですね。

こうなると2つのパターンに別れます。

■徐々に職業倫理が崩れ、冒頭のような対応へと変化していく人

■からだ(身体的・精神的)を壊して辞めてしまう(本来、ホスピタリティに溢れる、医療現場にいて欲しい人が辞めてしまう)

そうなると残るのは職業倫理が崩れてしまっている人だけになってしまいますよね。これはやばいです。病棟が成り立ちません。なので実際はうまくバランスが取れる賢い人(看護師・介護士)が必ずいます。私の担当病棟にも複数人そのような看護師・介護士がいるので成り立っているんだと思います。だからそのような看護師・介護士はすごいな!と尊敬します。

だから私たち理学療法士や作業療法士もどの看護師・介護士に話せば仕事が進むのかを把握してますので、結局そのような看護師・介護士に頼み事や相談をしてしまうのです。負担をかけてしまっていると自覚しながらも、そうしないと仕事が進まないので仕方ないんです。

人手不足ってのは何も良いことはなく、悪循環によってさらに人手不足が進んでしまうのです。おそらく今後の日本の医療現場はより厳しい状況になるだろうことは簡単に予想出来ます。人手不足は加速的に進みますからね。


解決策はあるのか?

先ほどもお話しましたけど、この問題でややこしいのが看護部という他部署の問題ということ。あとは病院における看護部というのは物凄い力を持ってます。リハビリテーション部のただの理学療法士が何か言ったところで何も変わらないんです。実際そうでしたし。

なので私が取った行動は信頼できる病棟看護師さんに今回のクレームについて報告しました。流石にその看護師さんの耳にも入っていたようで、「やっぱりそうか、たぶんそうやろなと思っててん」とお話しするとそう答えてくれたので、改めて今初めて起こる問題じゃないことを再認識しました。

さらに今日、病棟師長に報告します。これはリハビリテーション部副士長とも相談した上で、あくまでも”報告”という形で対応しようと思います。幸い病棟師長は話を聞いてくれる方なのでちゃんと対応してくれると淡い期待を持ってお話ししに行こうと思ってます。


まとめ

職業倫理の問題、人手不足の問題、今の医療現場は問題が山積みです。

患者さんのあんな姿もう見たくないんですよね

今一度、客観的に今回のクレームを看護部は見直すべきです。いくら人手不足だからと言って許される行為ではないので、きっちり報告してきます。

今回のnoteで書いた看護師・介護士は本当にほんの一部のことです。多くの看護師・介護士は素晴らしい人が多いです。しかし一部の倫理観が欠如した人のせいで病棟の雰囲気はガラッと変わってしまい、医療の質も低下します。私は6年間、この病棟の変わり様をマジマジと自分の眼で見てきたので。

なんとか良い方向に向かうと良いのですが…

取り止めもない話でしたが、最後までお読みいただきありがとうございました。


SNSでは脊髄損傷の情報発信をしております。よろしければフォローお願いします🙇‍♂️

Twitterはこちら👇

YouTubeはこちら👇


よろしければサポートよろしくお願いいたします。いただいたサポートは脊髄損傷の情報発信について活用させていただきます!