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コンサルタントをしている人間です。 25歳になりました。エッセイストになりたいです

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コンサルタントをしている人間です。 25歳になりました。エッセイストになりたいです

最近の記事

喫茶店

最近、今年中に死ぬのだという妄想に取り憑かれている。主観的な視野では、自分の人生が下がり調子なのが手に取るようにわかる。家族ともほとんど連絡を取らなくなった。友人ともほとんど没交渉になった。自分の人生が緩やかに社会とまじわらなくなっていくのを感じる。自分で望んでいた展開なのに、とても虚しい。口では威勢の良いことを言っても、なんやかやで他人との繋がりとか絆みたいなものが自分を世の中に繋ぎ止めてくれるのだろうと期待していたが、全然そんなことはないのか、と気づきがある。なんのために

    • 潮干狩りに行きたい

      85歳の祖母が、潮干狩りに行きたい、と突然言い始めた。 良いけど誰と行きたいの?と聞いたら、みんなで行きたいのだと言う。みんなって誰?と聞くと、少しくちごもってから、叔母と、僕の母親と、それから僕と弟の名前を、一つずつ丁寧に返す。 祖父は僕が大学生の時に死んだ。母は葬式に出なかったので、僕が祖母と一緒に祖父を見送った。親不孝だと泣きながら母を罵る叔母の相手をしながら、早く終わらないかなぁとずっと思っていたのを覚えている。会ったことのなかった祖父の妹は、僕に全く目を合わさず

      • 映画評①百年と希望★★☆☆☆

        http://100nentokibou.com 共産党のプロパガンダ映画なのかな?と思って見てみたが、そうでもなかった。共産党員の方々にスポットを当てて、立体的に共産党の現在を映し出しました!みたいな作品だった。 個人的には、池内さおり単体のドキュメンタリーでも良かったと思う。それくらい彼女の存在感が強く押しでた作品だった。逆に言えば、それ以外の人たちの存在感は割と希薄だったとも言える。 全体の構成として、”百年”と銘打ったからにはもう少し歴史的な厚みが欲しい。あえて

        • 仕事と人間についての一考察

          この冬はよくスキーをした。新潟に、山形に、群馬に、とにかくできる限りの時間と金を雪山エコノミーに注ぎ込んで、氷上を滑走することに努めた。雪が降ると、音が消える。周りがみんないなくなってしまったみたいな静寂が山を包み込んでいて、その一部になるのが大変心地よく、クセになる。 そんな自然と私との邂逅を妨げるのは、いつだって労働なのだ。リフトに乗っていようが、新幹線でうたた寝していようが、脳裏には常に「仕事」のことが浮かんでいる。メール出さなきゃ〜とか、会議の準備しなきゃ〜とか、そ

        喫茶店

          やりたいことがあるかと聞かれたら。

          最近立て続けにスタートアップの経営者と会う機会を頂いたからか、「経営者」とは、ということを、まぁまぁ継続的に考えている。 特徴から考える。まず、彼らはみんな、とても根拠のあるようには思えない自信を持っている。とにかくつええ。自己肯定感がすごい。でも、俺が何より気になるのは、その人たちが同じ口で、自分の「無能さ」に執拗に言及することなのだ。大したことができるわけじゃない、社会性がない、拗らせている、見た目が悪い、とかなんとか、例を挙げれば枚挙に遑がない。 いやいや、社交辞令

          やりたいことがあるかと聞かれたら。

          捨て犬かと思って

          実家の近くに、小さな図書館がある。住宅街をウネウネと蛇行する小さな坂道の先に、鬱蒼とした大地主の敷地がぬっと顔を出す。図書館は、その目の前にちょこんと建っている。小さいが、大変居心地の良い図書館で、私は幼い頃から休みの日はここに通って課題をやるなり、本を読み漁るなりしていたものだ。 私の実家は犬を飼っているから、図書館に行くついでに犬を散歩に連れて行くことも多かった。畜生は公共施設に足を踏み入れることは許されないので、図書館の角っ子のゴツいパイプにリードを括り付けて、待たせ

          捨て犬かと思って

          あの子のこと

          2021年初夏。中学の同級生のグループラインに、「⚫︎⚫︎誕生日だから集まろ〜!」というメッセージが投稿される。新宿の外れに、ホテルを1日借りてホームパーティみたいな事をやる。外装はぼろいが、中身はしっかりリノベーションされて、一人前の見た目である。集まった人間たちは、飲んだり食ったりを好きなだけやって、そうして部屋を後にする。どんちゃんどんちゃん。心地よい時間が流れる。 楽しい時間を過ごした後、私は所謂プレゼント的なものを準備していなかったので、「主賓の⚫︎⚫︎の分は、僕

          あの子のこと

          ふつうに。

          『人が思っているより俺は〜』ということを言い出したら、キリがない。なにより、他人が自分のことをどう思うかということは他人の専権事項だから、そこに口出しすることに意味はない。どこ吹く風という体でぼーっとしておく他ないのである。 普段なら許せそうなことでもあまり流せない時がある。今がそういう時だとしたら、俺は他人が思ってるより、頑張っている。それだけで偉いのである。自分の中に留めて滅却できるのが偉い。そうすべきなどとは毛ほども思わないが、感情に任せて毒を吐いたりしない自分が、少

          ふつうに。

          もう何もかもやめたい、と思ってしまう時、どうしたらいいのかな。

          急に何もかもどうでも良くなってしまう瞬間というのがあって、そんなものはないほうが良いに決まっており、いつになったらそういう低空浮上みたいな状態を脱することができるのであろうか、と考えていたら、夏が通り過ぎてもう秋に片足を突っ込んでいる。 誰かのことを必要じゃなくなった瞬間、スッと魂が抜ける関係というのがある。「もうお前は用済みだよ」と、ヘルタースケルターのリリコが見るママの悪夢。誰かと繋がっているという感覚がない人間は、とても脆くて折れやすい。人生が綱渡りなのだ。全ての出会

          もう何もかもやめたい、と思ってしまう時、どうしたらいいのかな。

          泣いてるのは、わたし。

          当然のようにずっと一緒に過ごしていくだろうと思っていた人から突然に別れを告げられて、幻のように颯爽と消えていった。真夏が始まる前の、梅雨の大雨と一緒に隅田川の向こう側に流されていった。私はしばらく抜け殻になって、部屋の中で泣いたり強がったり、気を取り直して毎日毎日他人とあって話して気を紛らわし、そして部屋の中でやはり泣くというようなことを繰り返しやってみている。

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          泣いてるのは、わたし。

          かつて僕たちがトモダチっぽい距離感だったのは、タイミングとか場所とかの絶妙な偶然が生み出したミラクルだったってことにします

          今こんな感じ。①大学の時の同級生と遊びに行こうぜみたいなまぁまぁ社交辞令っぽい約束をして、それがまぁまぁ適当な理由で流(さ)れた。②大学の同級生と明日遊びに行く約束をしているんだけど、私が投げたラインに誰も返事をしないので何時にどこに集まるのか決まっていない。 低気圧だから普通に身体的なダルさもマックスなのだが、上記①②のようなことが発生する度に思うことがあるんだけれど、まぁ人と人との出会いって奇跡よね。学生時代の縁が貴重なのは、(i)水平的な平等が担保された状態で、(ii

          かつて僕たちがトモダチっぽい距離感だったのは、タイミングとか場所とかの絶妙な偶然が生み出したミラクルだったってことにします

          【最低だ…俺って…】

          年端も行かない男子達が、おふざけで露出動画とか、友達の性器を盗撮しましたみたいとか、ホモ絡みしてますみたいな、そういうのをTwitterとかTikTokにあげているのが、デジタルタトゥーのように集積されているホモ向けの闇サイトみたいなのがあって、それをなんとなくネットサーフィンがてら眺めてみました。昔だったら、こういうのを見るとジクジクジクジク心の中にネットリした感情が溢れてきて正気を保てなかったのだけれど、今みてみると、あぁなんかこういう世界ってあるんだくらいな感覚でした。

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          ワタシとADHDについて

          こんな動画を撮った。俺は成人ADHDと診断されている。具体的に自覚症状があるのは、⑴めちゃめちゃものを無くす(特に特定の財布とかケータイとか決まったものをなくす)⑵言わなくても良いことを自分の意思とは関係なしに言ってしまう(一言多いタイプ)⑶注意欠陥+過集中、の3コンボくらいである。 俺はこの動画の中であまりちゃんと明言しなかった(できなかった)事がある。それは、ADHDというのは非常に迷惑な疾患なのである。ADHDっぽい人が自分は普通に生活できている、と思っている場合、そ

          ワタシとADHDについて

          デジタルコミュニタリアニズム試論

          定期的に連絡をしてきて「なんかやる気が出ない」「やる事が欲しい」「何かに打ち込みたい」「きっかけさえあれば俺も充実した人生を過ごせるのに」みたいなことを言いやがる連中が俺の周りにはたくさんいる。俺は親切な人間なので、「じゃあ●●をしてみたらどう?」とか提案してやるのだが、そもそもこの歳になって何一つ身についていない人間が、今さら何ができるというのだ、とゲンナリしてしまうのだ。頼むから、頼むから何かを一つ成してくれ、と願いながら俺はいつでもそんな出口のない迷路みたいな「悩み」相

          デジタルコミュニタリアニズム試論

          残念なはなし

          イケメンの生きづらさ、みたいな特集が現代ビジネスかなにかに掲載されていて、さっと読んだ感じ①同性にやっかまれる、②異性との付き合い方に気を使う(相手が自分を好きにならないように常に気をつける必要がある)、③日常的に性的な目線に晒されてストレスが溜まる、みたいなことがツラツラと書き連ねられていた。あ〜ハイハイ、上級国民の「俺だって辛いんです」マウントですか、くたばれ、死ね、といつもなら掃いて捨ててしまうようなものだったのだけれど、ところがどっこい私も歳をとって、ちょっと感じると

          残念なはなし

          劣勢遺伝

          小さな頃、人が何かを食べているところを見るのが苦手だった。自分のことを鏡で眺めるのが苦手だった。人前で話すことが苦手だった。物を決まったところにしまっておくとか、決まった時間に何かをするとか、そういうことが一つもできなかった。

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