諦めの悪い自分に戻る
パパが財布を落とした。
友達に会うために隣駅まで自転車で出かけて、帰ってきてからポーチのチャックが全開で中が空っぽになっていることに気づいた。
本人はひどく落ち込んで諦めていたけど、なんだかかわいそうで、私は諦めきれず、散歩がてらと言って探しに出た。
本人が通ったという道のりを半分まで戻ってみたけど見つからなかった。
ふと思い出す。
ぴぃがまだ1歳にもなっていないころ、パパは一眼レフカメラにはまっていて、お気に入りの望遠レンズを持っていた。
観光ついでに車で1時間ほどかかるお寺へ出かけ、広い庭園でぴぃとの家族写真を撮りまくった。
そして、帰りに駐車場で身支度を整えるために、望遠レンズを一旦車の上に置くも、そのまま望遠レンズのことを忘れて運転席に乗り込んでしまった。
当然、その望遠レンズがバッグに入っていないことに気づいたのは家に帰ってきてから。
パパはとても落ち込んで、楽しかった1日の最後がなんとも後味の悪い感じになってしまった。
その時撮り倒した素敵な写真たちも、その日見返すことはなかった。
パパは諦めていたけど、私は諦めがつかなかった、というより、結果無くても諦めるのは探してからにしたかった。
ダメ元でも、やれることをやってから諦めたかった。
見つかるかもしれないし。
見つかったら、後味の悪くなった思い出も良いものに変えれるし。
次の日、私は小さなピィを連れて、またお寺へ行った。
車が動いた瞬間に落ちた可能性もあるから、あるとすればお寺の駐車場にあるはずと、わずかな希望を持って出かけた。
なかった。
なかったけど、スッキリした。
私は、家族のことになると諦めが悪い人だったんだと改めて思い出した。
自分の所持品が無くなったり、落としたりするとすぐ諦める。
数年前、私も財布を落とした事があって、その時はすぐに諦めた。
落ち込む気持ちを引っ張りたくないし、すぐ切り替えたい。
自分のことは割と諦めが早い。
でも、パパやぴぃのことになると、自分の中で諦めがつくまでもがいていた。
そんな私が、家族のことを諦めようとした瞬間があった。
パパよりもぴぃよりも先に諦めようとした。
自分のことばかり考えて、家族の幸せや希望を見失ったんだ。
些細なこと(?)がきっかけにはなったけど、思い出した。
私は家族のことは諦めない。
これからは自分のこともすぐ諦めずに進んだら、最強かもな。
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