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35年ぶりに会った恩師の驚異的な記憶力。

「吉田、小説は書いてるか?」

先週末にあった中学時代の同窓会で、卒業して35年ぶりにお会いした恩師が、ぼくの顔を見るなり開口一番に言った言葉だ。

中学時代の3年間、夏休みの自由研究は、全て小説を書いた。普段は書くよりも読むよりも、身体を動かすことの方が大好きだったが、古いものが好きだったり、当時からひとり旅が好きだったので、江戸時代以前の歴史や戦前の社会や人間模様を克明に書いていた文豪の雰囲気に憧れ、伝えたい気持ちも旺盛だったこともあり、拙い文章も気にせず、いろいろな話をでっち上げるのが楽しかった。

そして、情熱が先走り、卒業式の校門で握手ながら、

「先生、オレ、小説家になるから」

と言った。

今となっては恥ずかしい話だけれど、35年ぶりにお会いした先生はそれを覚えていてくれたのだ。
それが驚きだったし、嬉しかった。

そして、小説ではないけれど、現在、雑誌や書籍で文章を書いたり写真を撮っていると言うと、先生も驚き、喜んで下さった。

先生は今年63歳。
だから、考えてみると、教わったタイミングは、まだ教師として駆け出しのころだったわけだ。

先生に、なぜ教師になったのか尋ねると

「とにかくバスケをしたかったんだ。でも、実業団に行く力はなかったから、体育の教師になって、バスケットを教えたかったんだ」

と教えてくれた。
そういや先生はバスケ部の顧問で、同窓会もバスケ部だった連中が主催していた。

熱血教師で、当時の自分は小説家になろうと決めていたが(笑)、大学で教員免許を取って、教育実習をしたいとも思っていた。その後、高校でスパルタ教師に当たり、「教職なんて取るもんか!」と思うようになり、結局、大学で教職は取らなかったが(単純)。

現在は、引退して、ご家族とよく山に登られるそうだ。

今から仕事で北アルプスに入る。

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