21世紀型偉人伝 ~ SDGs・探究への招待 #024 ~

 唐鳳氏のことをご存じのみなさんも大勢いらっしゃると思います。

 「世界初のトランスジェンダーの閣僚」というだけでも、学ぶことはたくさんありますが、この方のインターネットに対する考え方、ややもすれば致命傷を負いかねないリスクを積極的に取り入れて民主主義の根拠の一つにしてしまう桁外れの発想力と勇気、政治手腕など、学ぶことは多く、そして深いです。
 デジタル社会構築に関しての官僚からの強烈な反対もあったでしょうし、トランスジェンダーをめぐっての差別や偏見、政治闘争などもあったと思います。

 新しいことを始めるのはとても困難なことです。たとえそれがたった1つのことで、しかもほんの小さなことだったとしても、新しいことを進める者はひどく傷つきボロボロになります。
 社会学などでは、共同体というものは常に均質化を志向する運動体だといわれています。ですから異質な存在や変化を嫌います。共同体にとって異質な存在や変化はリスクだからです。
 この唐鳳氏のように「トランスジェンダー」も、共同体にとってはイレギュラーであり「変化」です。そして氏がIT大臣として導入を進める「IT化」も新しい道具と価値観をもたらす「変化」です。相当な反対やヘイトややっかみ、攻撃もあっただろうと思います。それを乗り越えるタフさはどこから来るのでしょうね。

 トランスジェンダーは今以てなお社会的マイノリティだと言わざるを得ません。アウトサイダーなんですね。これまた社会学や神話学で言われていることですが、「王者は外からやってくる」という「外来王」というタームがあります。ここで比喩的に言われている「王」とは、「新しく社会を変えていく者」のことです。社会にイノベーションをもたらす者は、常に共同体の外からやってきた者か、内部の人間だけど三年寝太郎のように傍流、周縁にいる者である、というのが「外来王」の概念です。

 みなさん、元天才プログラマーの「世界初のトランスジェンダー閣僚」が、「IT大臣」としてIT社会を構築する、ということの意味を、ぜひいろんな角度から考えてみてください。そのためにまずはぜひたくさん調べてください。本日は調べメインで終わったってかまいません。

https://toyokeizai.net/articles/-/327954

《キィワード》: 調べてみよう
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