👂【ひつじの冒険】ノベルセラピー作品

作、挿絵: ゆかりん

🍀朗読はこちらのリンクからお楽しみ下さい😊🍀

ぼくは羊のレオ。ぼくはひつじでありながら、冒険者であり、探求者。人間の年齢でいうとだいたい5-6才だよ。


ぼくの外見はというと、もこもこ、ふわふわ、あったかい白い毛でおおわれてるんだ。とってもふんわりしてて、見た目はひつじ。
性格もおとなしくしておだやか、平和的で、規則も守れるよ。っていうか、体にしみついてるんだ。


でも、心の中ではなにかが違う、ぼくはひつじじゃないんじゃないかって思ってる。なんでかっていうと、みんなと一緒の集団行動がいやなんだ。
たまにひとりで群れから離れて佇んでる。りんごの木の下がお気に入り。そこで空を眺めるのが好きなんだ。空を眺めながら、柵の外の世界はどうなってるんだろうって想像するんだ。たまにリスさんが遊びに来るよ。お花の匂いをかぐのも好き。
でも外の世界には何かがあるって気がして、いつも気になるんだ。


ぼくが住んでいるのは、とっても平和でのどかな美しいところだよ。少し高いところだから、景色もいいんだ。ご飯の草も豊富にあって、なんの不自由もないところだよ。
そして、毎日の生活は同じことの繰り返しなんだ。夜になると小屋に呼ばれるよ。男の子がいつも呼んでくれる。ぼくたちのことをよく世話してくれるよ。毛も刈ってくれるんだ。優秀な番犬もいて、ぼくたちを守ってくれる。とても大切にされているよ。


みんなはこの生活を楽しんでいて、なんの疑問ももってないよ。でもぼくには何かが違うんだ。なんかみんなみたいには感じないんだ。何かがこの柵の向こうにある気がする。この柵の中で人生を終わらせるなんて、ぼくにはできないんだ。
空を眺めて空と対話するぼく。
ピンクのお空
とっても平和
みんなの輪の中には入らない。
ぼくはひつじであり、ひつじじゃないんだ。


ぼくはあるとき、みんなで街に出かけたよ。街に向かう途中、大きな川を渡ったり、すごく景色の良いところを歩いた。はじめてみる景色はとても素晴らしかった。
ぼくは、ぼくが誰なのかを探す旅にでたんだ。みんなと違うから、もっとよい、ぼくに合った居場所を求めて。


ぼくは群れから離れたんだ。そしてもっと早く、遠くに行けるように、馬の姿になったよ。馬だとおおかみを恐れる心配もないからね。


ぼくはある小さな街に着いたよ。石造りの建物。人がいっぱいいる。とってもにぎやかで、いろんなことがおこってるよ。とってもさわがしい。猫もいれば犬もいる。子どもも大人も旅人も、交錯してる。
ぼくはここが好きじゃない。叫び声や笑い声、いろいろある。みんなそれぞれで騒がしい。
平和や静けさが恋しくなった夜もあるよ。ぼくの居場所はどこにあるんだろう。


街を離れると、白くて大きな山々が見えたよ。とっても美しい。
疲れて横になってると、村の女の子が、赤くて大きなりんごをくれたんだ。ぼくを気にかけてくれている。とっても優しい子。
見渡すと、ここはとっても広大で美しいところ。天と地とつながっている。
ここならいくらでも遠くまで走れる。ぼくと気の合う茶色の馬とともに、どこにでも行ける。


天と地とつながり、なんの制限もなく、自由に、自分の意思で選択できる世界。
そのためのパワーと勇気。誇り高く、美しく。


誰にも合わせなくていい。
ぼくは、ぼく。


ただ天と地とつながって、自分らしく在る。ただ、それだけなんだ。


ぼくは今、美しい場所にいて、美しい空を眺めて、すべてに感謝している。
とても満ち足りているよ。





おしまい