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あんこの”正しい”作り方&向き合い方

souiです。読んでくださる方、いつもありがとうございます。先週末、家で小豆を煮て、あんこ作りました。

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これはいわゆる「美味しいあんこの作り方」を紹介する記事ではありません。
先週末にふと気づいた、あんこを作る際の”正しさ”についての話です。

”正しい”作り方で用意するもの

1)暇
2)椅子
3)文庫本や手帳、日記
4)あんこのレシピと材料

1)暇

これ、雑誌でもレシピサイトでも、材料の欄に一番上に赤の太字で『暇』と書いておくべきだと思います。
あんこは、生半可な暇人の手に負えるシロモノではないのです。
なんせ出来上がりまでに2時間半を要します。時短、お手軽、ズボラメシ、というワードに慣れ過ぎた現代人には、とても酷な料理と言えます。

私たちはプロの和菓子職人でもなければ鯛焼き屋さんでもありません。
『あんこを作る』というのは「よっぽど気が向いたから」「本当に他にやることがなくて」という時にしか発生し得ないイベントです。

逆に言えばSNS等で「あんこ作ってみましたー!」と明るく投稿している友人がいたらその方は、『暇すぎて人生がどうしようもなく辛いけど、自分から人を誘って出かける勇気は無い人』です。声をかけてください、何処か楽しいところに私を連れて行ってください、と本人は画面の向こうで叫んでいるのです。

2)椅子

何故か?疲れるからです。
特別何の動きもなく、映画一本観るよりも長い時間を突っ立ったまま過ごすことになります。それはもう、料理ではなく拷問です。

「私・・・何か悪いことしましたか?」

と、焦点が定まらない目で、台所で一人静かに呟いたりするかもしれません。

小豆を煮る、灰汁を取る、水を足す、混ぜる。やることなんてそれくらいしか無いのがあんこ作り。馬鹿馬鹿しいので座ってましょう。

3)文庫本や手帳、日記

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立ち上る甘い香りと、コポコポ、ブツブツと小豆が踊り煮詰まる音。
ブーーーーンと静かに回る換気扇の音。

それだけが静かに響く台所は、考え事や読書をするのに最高です。

信じられないくらい煮汁は鍋から飛び散ります。鍋もガス台もベッタベタになりますので、ブックオフで買ったやつがいいと思います。

4)あんこ作りのレシピと材料

「あんこ レシピ」で検索してください。クックパッドから楽天レシピ、料理研究家や職人のブログ、動画、はては料理雑誌のオフィシャルサイトまで、むちゃくちゃヒットします。

ただ、心しておいてください。あんこの作り方を知りたいだけなのに、どれも全然違うことが書かれています
砂糖と塩の量を逆にして入れたりしなければ、大概は甘くて美味しいあんこは出来ます。大丈夫です。
だからもう逆にどれ見たっていいと思います。


あんこに向き合う時間)煮る、思いを馳せる

昔、私がまだ子供の頃、実家の祖母が時々あんこを作っていました。
 (う・・・、こりゃあ甘いわ) と思うような強めの香りが、台所から漂ってくるのです。

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「出来たから食べな」と、私と兄を呼び、焼いたお餅にかけて出してくれました。
兄は大概食べません。私は少し食べて残します。甘すぎて甘すぎて、うっと飽きてしまうのです。

孫たちの不評を祖母がどんな顔で受け止めていたのかはわかりません。
でも、当時の台所にはオレンジ色とクリーム色のタイルが壁に貼られていたなぁ、とか、煮詰める鍋からゆったり天井に上がっていく湯気とか、お皿を運ぶ祖母の手、テーブルの色・・・。
そんな細かいところまで鮮明に浮かんでくるのです。

田舎での子供の頃の情景に、東京のマンションの台所で大人になった自分が、鍋の縁を見つめながら思い出していました。

寂しいような哀しいような、何とも言えない思い出ですが、気が付けば甘い香りの中でとても心地いい時間でした。

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あんこ作りの時間は、“自分ゴト”にぴったりです。
どうせ味は美味しい(不味くならない)のなら、音や香り、退屈で面倒な時間そのものを楽しむのが”正しい”作り方だろう、と私は思うのです。

※もちろんノートやPCを広げて、仕事や将来に向けての前向きな計画を立てるのもいいと思いますが、そのマインドがあるなら2時間半も小豆を煮ている場合じゃないし、そもそも”暇でいること”に向いてないと思います。


出来上がったら

完成後は、出来立てのあんこを焼いたトーストに載せる(バターがあれば完璧。マーガリンでも良い)→そのままアツアツを頬張れば、かけた2時間半は笑顔で振り返ることが出来ます。暇な人生で良かった、と思える瞬間です。

甘党で2時間半暇な方は、小豆と自分にじっくり向き合ってみては如何でしょうか。


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今回特に気を付けた点)
・タイトルも文章も極力短く(本文2000文字以内)
・表現や単語が重複しないように
・一つの文を欲張らない、ダラダラ書かない
・ぼんやりした表現を避ける(敢えて多少強めに書く)

目標)
・一人でも多く完読してもらうこと

*少しでも分かりやすい文章が書けるように鍛えたいと思っています。読んでいただいてお気づきの点、ダメ出しなど是非頂きたいです。宜しくお願いいたします。

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