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茶道人口の減少について

はじめに

 現在、茶道人口は減少、いや激減している。しかし、茶道関係者は、この問題について声を大にして語らない。それどころか「茶道を習えば日本の心を知れるよ」、などといった楽観的で検討外れな話で、社会の地位を得ようとしている。もう、そんな「茶道全能論」を語るのはやめよう。茶を点てられるだけで、奥深き日本文化の全てがわかるわけないではないか。茶道も茶の湯も全能ではない。
 そんなことを言い張らなくても、茶の湯や茶道には「喫茶の純粋な素晴らしさ」がある。虚栄を張らず、虚飾用いず、それだけを見つめていれば、良いと思う。

 茶道人口の減少は、宗家も、流派も、教授者も、会員も、誰も自身の問題として捉えていないから起こっている。減少を悪だと思い、闇雲に恐れ、とりあえずは憂いの言葉を発しておけば責任を果たせたと思っている。
 実は減少は決して悪いことばかりではない。反対に考えれば、茶道会員が減れば減るほど、茶道を知らぬ人々のマーケットが広がるのであるから、実は千載一遇のチャンスなのではないかと思っている。しかし、その時、既存の流派が能動的に動かないことで、誤った形で茶道文化の伝播が起こることは、350年以上続く、茶の湯の智慧を伝える以上避けねばならないことだと思う。
 減少を語ることは、決して流派の批判とはならない。現実を見て、分析して、対処する。それは時代を反映して喫茶を行う茶道の役目の一つだ。いつまでも華やかな時代を語らうのはもうやめよう。

 ここに、減少について書く。宗家批判でもなく、流派批判でもない、新たな茶道文化の展開を望む。

・目次

1、茶道の流派構造について
2、茶道人口が減少するとどうなるか
3、減少している3つの原因
4、茶道のこれから


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