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「コロナ危機」下にある、ベルリン暮らし(4)

ベルリンのフリーランスを対象とした「即時支援金」の内容について触れています。また、2020年の3月19日〜3月30日までのドイツ、ベルリンでのコロナ関連のメディア報道や、私が見聞きした話をまとめています。 

●3月19日
ベルリン市政府が、Solo-Selbständige(個人のフリーランサー)を対象に、補助金を検討しているというニュースが出る。スピード重視、ややこしい手続きなしに、これまでの支援プログラムからこぼれ落ちてしまう、クリエイティブな分野の人たちを助けるために、15000ユーロまででサポートしたい、2万人の申し込みが想定されてるというが、詳細は不明。
このニュースが、日本で「ドイツはアーティストに即15000ユーロ」という、表面的な数字は一見あっているようでいて、不正確な情報がSNSに拡散されている。

まず思ったのが「万年赤字なうえに、不動産の値上がりをみて年々安価なアーティストのスタジオを閉鎖に追い込んでいるベルリン市がそんなこと、できるかな(猜疑心)」。

バイエルン州はすでに「即援助」の申請書がサイトにアップされている。250人までの雇用者を抱える商業企業及び自営業が対象(4月22日現在内容は変わっている)

3月13日からベルリンのクラブは閉店中。コロナウイルスをこれ以上広めないため、自宅にいつつも、ベルリンのクラブカルチャーを応援しようというプロジェクトがスタートしている。19〜0時まで、様々なクラブのDJが登場する動画配信サービス!

●3月21日
ドイツの感染者数は一気に2万人を超えている。テストしている数が多いとはいえすごいスピードだ。
感染者数は22366名。死者は84名。感染者数が二倍に増える速度は3日。

ほかの日記でも書いているけれど、ドイツは連邦制で今回のコロナ対策も州によって異なり、補償金などの内容もけっこう違う。
州によってコロナ危機下にあって閉園中の保育園に、子どもを預かってもらえる職種まで違う。(医者など、働かざるをえないとする職業の親の場合は預かってもらえたりするのだが、その職種が各州違う)
日本での「ドイツ出羽(では)」の報道が、混乱する所以だ。

しかし、コロナ禍で、CDU党のインパクトがぐぐっとアップした感あり。
特に、バイエルン州首相ゼーダーのリーダーシップの発揮ぶりがすごい。良し悪しはともかく、グイグイくる。そして、毎日のようにニュースで顔を見かけるようになった保健相のシュパーン。
…… それに比べてベルリンのミュラー市長(州首相)は後手後手に回ってて、どうも差がついた。そんな二人を比較する記事も出た。

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●3月22日
スイスから帰ってきて2週間、自宅に引きこもっていたものの、別の病気になってしまいそう。ついに2週間が終わった。外で思いっきりランニング。
上記バイエルン州首相ゼーダーが、「より厳しい「外出禁止」Ausgangssperreしかない!それしか感染拡大を止められない!」と、警察を見回りに出し、検査をさせているのに対し、ベルリンの空気はそこまでピリピリしていない。
副首相ショルツも厳しい外出禁止には反対しているが、「いまこそみんな新鮮な空気が欲しいでしょう」って、まさにその通り!外に出ると気持ちが軽くなる。グループでのスポーツでなければ一人で走るのも許されているし、買い物に出れば公園には、けっこう人がいる。早咲きの桜は満開。

先の日記にも問題視する人が出てる話を書いたが、法律的にみて、現在の「外出禁止もしくは外出制限(Ausgangsbeschränkung oder -sperre)」は問題がないわけではないと。バイロイト大学憲法学者ステファン・リクセン氏は、「感染症保護法(Infektionsschutzgesetz)の28条に問題がある可能性があると指摘。


●3月23日
感染者数が3万人に迫る。

感染者数は29056名。死者は123名。感染者数が二倍に増える速度は3,5日。
ドイツ全体で、感染拡大にブレーキをかけるために、かなり厳しい外出制限のガイドラインが決まり、本日月曜日から施行される。公共の場では、同じ家に住む人以外は、1人しか同伴が許されない。その場合も1,5メートルの距離をあけること。
飲食店は全て閉鎖。(テイクアウトは可能)など。いまのところ、これらの接触制限・外出制限は4月5日まで(今のところ)。
制限の詳しい内容は、在ドイツ日本大使館のサイトにて。

●3月24日
感染者数は32991名。死者は159名。
ただし、すでに回復している人の数も5600名と。

日本でついに、「東京オリンピック2020」の延期が発表された。暑過ぎない別の季節にするのかと思ったら一年後くらいになるらしい?遅くとも2021年夏までに開催。「TOKYO2020」名称はそのまま残る(??)その後の動きについては、いろいろな話があった。4月22日現在、オリンピック延期の経費は日本が大部分を負担することが決まっているという。

ドイツ連邦憲法擁護庁のパロディのアカウントVerfaschungsschutzのツィートにウケる。しかし、こういった極右グループの、コロナの危機・混乱状況下での動きは侮れない。禁止されてよかったと思う。

[新型コロナ] 和牛消費へ商品券 経済対策自民が検討

わ、和牛??ドイツ人の友達にその話をしたら「肉が嫌いだったら?ベジタリアンはどうするの?」え、指摘はそこですか?!まあ、自分の国のことじゃないから、特に興味ないんだよね、、、と思う。

●3月26日
「ドイツ在住のフリーランスには170万円」と言う話が、日本のSNS上で都市伝説化している。ドイツはなんて素晴らしい国なのでしょう(遠い目)

しかし、明日から、ベルリン州の、コロナ危機で困窮状態に陥ったフリーランスを対象とした即時支援金(Soforthilfe2)の申請が始まる。

これまでも、かなりギリギリ状態で生活していたけど、今回のことで仕事がゼロになった友達と電話で話す。彼は、生活保護(Grundsicherung =/Hartz IV )が半年の間、審査をゆるめて支給されることになったので、それも申請するかどうかで迷っているという。これまでも申請を迷っていたが、Hartz IVの申請に迷いがあったと言う。「でもいまなら多くの人が貰ってるから、恥ずかしくない」と言う彼の言葉に、少し驚く。日本では生活保護に対する偏見も強いが、ドイツではそれは少なく、ドイツの人たちは「困窮していれば当然の権利」と捉えていると思っていたからだ(もちろん、困窮した国民が保護されるのはどちらの国でも当然の権利だ。感覚の問題)。 ドイツの即時支援金(9000ユーロ )はオフィスの家賃など、経費にしか当てられないので、もらっても意味がないと。じゃあベルリンは違うの?違うらしいよ?でも、現時点では詳細が出ていないので、よくわからない。とりあえず明日12時から申請スタートだと。

●3月27日
感染者数は49039名。死者は323名。
ベルリンの「即時支援金」のオンライン申請がスタートする。
一人でやっているフリーランス(Soloselbständige)やフルタイムの従業員が5人までの零細企業や、自営業、個人フリーランスに対しては5000ユーロ、フルタイム従業員が10名までは15000ユーロの申請ができるという。審査はある、とあるが、いちいち審査していたら即時には振り込めないはずだ。どうするんだろう。
12時スタートというのでサイトを覗いてみたら、案の定サーバーが落ちている。13時から再開らしい。

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夜、先月(2月19日)にハーナウで起こった殺人事件について、連邦刑事警察庁が「犯人は人種差別的な行為を行なったが、極右ではない」という謎のレポートで犯罪をまとめようとしているというニュースが出た。24ページにも及ぶ人種差別的な、この犯行に関するマニフェストをネット上にアップしていた犯人だが、ある人種を全滅させるーという章は後で追加したものであり、犯人の世界観は人種差別が中心ではないと。???


●3月28日
即時支援金申請のウエイティングリストは長く、まだまだ待ちの体制が続く。ベルリン芸術家団体のニュースレターに申請書の内容が出ていると、友達がメールを転送してくれた。
後々、確定申告の際に内容を審査し、余剰金は返す?方式になる?らしい?

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●3月29日
感染者数は58655名。死者は456名。すごい数になってきたが、治った人の数も13500名だ。

「私はゲイだ、それもまた良し „Ich bin schwul und das ist auch gut so“」と発言して、市長選に勝った、前ベルリン市長 クラウス・ヴォーヴェライト。オープンリーゲイとして数々のイベントにパートナーを伴って登場した彼だが、その30年来のパートナーが、コロナで亡くなったと言うニュースが。まだ54歳だったが肺疾患があったとのこと。

ベルリンの即時支援金の申請手順について。

ベルリンの(ドイツではない)「即時支援金2」の申請書類では、まずは、2020年春の新型コロナ危機の発生により、企業の存続を脅かす経済状況に陥った、ということを宣誓する。

「事業の存続、または流動性を脅かす経済状況になった」理由として、「部分的な休業、客足の減少のキャンセルなどによる売り上げの減少」「完全な休業」「仕事の受注不足」に申請者がチェックを入れる。

私もそうだが、フリーランスの人は、今月、いや今年は仕事が少ないなーという時は必ずあるだろうから、ある程度の蓄えはある。生活保護を受給できるほどの困窮状況ではない。なので昨日電話した友達のように「いま現在、今月、厳しくてもう生きていけない、来月、再来月には家を追い出される、ダメだ!」というほどの困窮状態ではないが、、、大きな仕事が4つもペンディングになっていて、辛いは辛い状況だ。
「この即時支援金は、コロナ危機で仕事がなくなった場合の損失補填ではない」とも読んだので、私は本当にこの申請をしてもいいんだろうか……逡巡する。

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申請書の最終的に、この申請が事実であることも申請。虚偽の申請をした場合は、補助金詐欺として、刑罰の対象になることを理解しているか、という点も確認がある。

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この即時支援金に関しては、今後、提出された納税者番号などの情報をもとに申請の真偽については審査を行っていく予定だというが、ネット上には「もらった!」「抽選に当たった!」というような日本語のSNS投稿も散見し、モヤモヤする。何に使ってもいいと言う種類のお金ではないし、余ったら返却するようにも書類に明記してあるのに(融資ではないのでもちろん全額の返済義務はないが、余剰分を返却、はありうる)。極右グループや右派ポピュリストの人たちが日本語を読めるとは思えないけれど、なんで外国人ばかり(もちろん、外国籍の人ばかりがもらっているわけではないだろうが、フリーランスはやはり外国籍の人の割合は高いだろう)、、という変な風当たりが強まらないかという不安も。

(この即時支援金だが、約14万件の申請があり、州銀行傘下のベルリン投資銀行から13億ユーロを支払い済み。現在は、資金切れのため申請はストップしている。再開の意思はあるようだが、他のところにもより大きな支援が必要だという話が続々と出ているので、今後は難しいだろう)

このモヤモヤもあって、後にベルリンの副市長、芸術相にインタビューを申し込むことになる。詳細は色々記事に書いたので、ご興味ある方はご参照ください。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/71820

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5e9907b1c5b63639081bf438

ベルリン以外だと、NRW州の即時支援金の評価が高いと聞いた。(もらった人が周りにいなかったので詳細はわからない)


●3月31日 感染者数は70985名。死者は702名。

日本で、海外から帰国した人を対象とした検疫について、また帰国したのはいいが公共交通で自宅に戻ることができないため、自費で空港近くのホテルなどに泊まって自主隔離生活を送っている人たちの話を見聞きするなど。詳細については、その後新聞記事などが出た。(4月5日の毎日新聞↓)

https://mainichi.jp/articles/20200404/k00/00m/040/003000c

しかし、この後感染拡大もじんわりながら緩やかになっていき、ベルリンでは外出制限もゆるゆるになり、ついに規制緩和が、、4月編に続きます!



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