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クリプト・ブロックチェーンスタートアップ

みなさん、こんにちは、Stake Technologiesの渡辺創太です。クリプト・ブロックチェーンスタートアップを始めて2年が経ちましたが、クリプト・ブロックチェーンスタートアップであるが故にあるいろいろな困難に今まで直面してきました。その中で、やっぱり辛いのが前例が無いがゆえにベンチマークが取れないという問題です。新しい領域を切開けば当たり前のことですが、一般のスタートアップでは通用しない原理原則が沢山ありました。その中で最近、日本でこれからクリプト・ブロックチェーンで起業しようとしている方や、日本の事業者の方とお話をする中で自分が過去に考えていた悩みと同じ悩みを抱えていたり、海外の事業者やVCと話す中で自分が当たり前になっている部分が実は全然当たり前ではなかったということに気づきました。我々が抱えていた悩みと同じ悩みをこれから事業をされる方々が考えるのは時間がもったいないので我々が抱えていた悩みをパブリックブロックチェーンっぽく透明性をもって公開することで事業者の方々の参考になればと思います。

まず、クリプト・ブロックチェーンで勝負しようと考えて事業を始めた方々の多くが直面する問題点は、パブリックブロックチェーンの思想やあるべき姿にこだわればこだわるだけ、既存のビジネスで目指している方向性(IPOだったりM&Aだったり)と矛盾するということです。

理想的なクリプトプロトコルは分散的なコミュニティと投資家やコアチームなどのステークホルダーによりガバナンスされます。ガバナンスがされるとは、コミュニティやステークホルダーがクリプトプロトコルに価値をもたらし彼らが分散的に開発の方向性を決めていくということです。これは、単純に効率がいいとかイデオロギー的に重要だという理由ではなくて、プロトコルが誰に対してもオープンであり続け単一の組織が操作をできないというコアなバリューを維持し続けるために必要です。このコアバリューに対して忠実であろうとすればするほどIPOやM&Aといった既存のExitの方法が腑に落ちなくなります。

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出典:a16z Crypto School Jesse Walden 

これはa16zのCrypto Schoolで紹介された1スライドです。既存のスタートアップがSeedに始まり、Seriesを重ねていく中で会社の時価総額を上げ、IPOをすることで初期投資家にリターンを返します。一方で下段のクリプトスタートアップでは初期はSeedやSeriesAとラウンドを重ねますが、成長をするにつれてコミュニティやステークホルダーにプロダクトのオーナーシップを譲渡し彼らがコミュニティをマネージすることになります。ここで会社の存在が邪魔になります。会社が「単一障害点」になるからです。

では、どうすればいいのかということにかなり悩んだのですが、今はDAO(自立分散組織化)するのが解だと思います。会社の株式によるガバナンスを廃止し、プロダクトをトークンホルダーでガバナンスさせることで意思決定機能を会社からコミュニティーに譲渡していくというものです。これは、コミュニティにオーナーシップを譲渡したいから譲渡するのではなく、プロトコルが誰に対してもオープンであり続け単一の組織が操作をできないというコアなバリューを維持し続けるためには会社をなくすことが合理的になります。

このことはMakerDAOやガバナンストークンを発行しているUniswap、Compoundを始めとしてトッププロジェクトが既にこの方向性を目指していると思います。

ここで必要不可欠になるのはトークンとインセンティブ設計です。ここも前例がほぼ無いので大変です。

初期の株式を保有している投資家にいかにリターンを返すかについては、トークンの発行タイミングで株式をトークンにスワップをするのが一番ロジックが整然とするのではないかと思います。

この分野は日本ではまだ前例がない部分です。会社はなくなっているけど、プロダクトが分散的にコミュニティーによって管理され発展している。というのは株式会社という仕組みができてからこの方、日本史に存在しないと言っても過言では無いのではないかなと思います。(あったら教えて下さい)

今、日本発のパブリックブロックチェーンを開発するStake Technologiesはそういった稀有な道を歩んでいると思います。初めてのことだらけですが関わった人を幸せにする仕組みを摸索したいと思います。

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