敵の憎らしさと新型コロナウイルス ドラマ「SUITS2」

 本作のネット上の評価は、あまり芳しくないようだ。半沢直樹に比べて、スピード感に欠けるというのが主な理由。その意見自体には同意するものの、個人的には前作同様面白かった。ビジネスを舞台という点では、半沢直樹と重なるため、比較されたのだろうが、令和No.1ドラマと比べると、相手が悪かった。

 私と世間のギャップを考察すると、新型コロナウイルスに行き着いた。家にいる時間が長くなり、外出できないストレスをためている人は、それを発散したい。半沢直樹の敵キャラは心底腹が立つ相手ばかりで、それを半沢直樹が完膚なきまでにやっつけて快哉を叫ぶ。一方、SUITS2では、シリーズを通した敵として、吉田鋼太郎演じる上杉弁護士がいる。主人公側の視点で見ると、まあそれなりに憎たらしいのだが、それなりである。何度か織田裕二演じる甲斐弁護士と対峙するが、毎回脇が甘く、甲斐に一本取られ続ける。早い話が、あまり強い敵じゃなく、毎回ガス抜きできるので、「甲斐行けー!」とはなりにくいのだろう。

 私は、ビジネスを舞台としたドラマが好きだし、そもそも外出できないことにストレスも感じない方なので、フラットに楽しめた。一流ローファームが本当にああいった世界なのかどうかは知る由もないが、優雅でリッチな世界を垣間見ることや、弁護士の頭脳バトルを追体験しながら楽しんだ。そういう役が、織田裕二さんにはよく似合う。ハマリ役だ。

 ところで、弁護士を舞台にしたドラマには、半沢直樹、もとい、堺雅人さんのリーガルハイがある。私の大好きなドラマだ。SUITSの主役は織田裕二、リーガルハイの主役は古美門研介。味の出し方も役者の個性である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?