☆☆☆☆コーポレートトランスフォーメーション

深刻な経済不振が、政治的な不安定やポピュリズム、さらには戦争の誘惑を生むことも人類史の教訓である。

グローバル化はサイバー空間では加速しながら、リアル空間ではローカル化が進む「グローカルモデル」化しつつ進んでいく可能性が高い。

中国を含む新興国の成長も、1960年代からの日本型の成長もでると1990年代からのグローバル化とデジタル革命の両方を巧みに取り込むことでドライブされてきたことは、事実であり

日本社会は過去の成功の呪縛、それも30年以上も前の成功の呪縛で、世界に比べて一周遅れとなっていた。

富山さん60歳

2020年干支では60年に一回の庚子(かのえね)に当たり、歴史的な変化の起きる年だそうである。420年前には天下分け目の関ヶ原の戦いがあり、60年前は池田内閣の「所得倍増計画」の年、すなわち高度成長期元年となった。

かつての日本企業の強さは、同質的で連続的な組織モデルにあった

1979年 ジャパンアズナンバーワン 上梓

アメリカは今の中国のような、脅威を日本に感じていた。
実際に日本は自動車や鉄鋼でアメリカ企業に代わって存在感を示し始め、さらに後には半導体市場に日本の電機メーカーが参入し、半導体DRAM事業でもインテルなどを駆逐していく。

戦後の経済復興から高度成長にかけて、かつて日本はローコストと現場力の国だった。低賃金と高い現場力、オペレーション力をテコにして「安かろう、良かろう」を実現していった。品質改善の努力を推し進め、安くていいものを大量に輸出するというモデルで、世界の工場にのしあがることに成功した、

新卒一括採用、終身年功制といった同質的で連続的、固定的メンバーで構成される組織集団

1990年日本は戦後経済のピークを迎える。しかし同時期、世界では歴史的な大事件、時代を画すような不連続な大イベントが、起きていた。ひとつはベルリンの壁の崩壊、天安門事件である。

中国は天安門事件によって、彼らのいう「社会主義市場経済」へと鮮明に舵を切っていった。

この時期を境に中国が「アジアの工場」いや「世界の工場」として、急速に日本に取って代わっていくことになる。そしてその後には、やはり若くて豊富な労働力を持つベトナムなどのインドシナ地域、インドネシア、そしてインドなどの国々が続いている。

改善・改良型イノベーションの時代から、破壊的イノベーションの時代に移り変わった

改良・改善を旨とした同質的、連続的な日本の会社

終身雇用、年功制、企業別組合

労働者を囲い込むために長期雇用を実質的に保障し、景気循環的な不況期も解雇権は行使しない終身雇用的な慣行が広がっていく。そこで雇用保証と生活保障が融合してライフステージに合わせた生活保障給として年功賃金体系が形成される。能力や成果からみると給料が少なすぎる時期ともらいすぎの時期があるが、ライフタイムで見ると概ねトントン。

三井三池争議 総資本対総労働

1960年 健康保険、年金保険の両方で国民皆保険制度がスタートした。経済成長を梯子に国と企業の両方で生活と人生を保障するモデルがこの頃から本格的にスタートした。

1960年以降、日本はほぼ一貫して10%以上の実質成長率を10年以上にわたって実現するという驚異的な経済成長を謳歌するのである。

1960年代からの約30年間、日本の経済成長を牽引した「基幹産業」は紡績から始まり、鉄鋼、電機、自動車へと主役を交代しながら続いていった。その多くが量産型ビジネスで規模の経済性と安い要素(特に人件費)を梯子に価格勝負を挑むタイプのビジネスだった。

「カイシャ」という組織モデル、お互いに気心が知れ、協力的な関係性で結ばれている同質的で連続的な集団が得意とした持続的な改善・改良によるコストダウンそのものなのである。

ボトムアップ型意志決定×コンセンサス型意志決定→稟議モデル

そんな目の前の細かいことでぐちゃぐちゃ言うな。サラリーマン人生は長いんだ。悪いようにしないからここは我慢しろ、で済んだのである。こんな言い分、欧米はもちろん中国でも絶対に通用しない。下手するとこの言い方だけでいい加減な評価・処遇を認めたことになり訴訟ものである。

メイドインジャパンからデザインドインジャパンに転換できない硬直性

技術で勝って、ビジネスで負ける日本企業という形容がよくされたが、私はこの形容は間違っていると思う。もし本当に技術で勝っているのであれば、経営者さえ的確なビジネス上の戦略選択をしていれば、インターネット革命×モバイル革命フェーズにおける破壊的イノベーションの覇者はGAFAではなく、旧電電ファミリーのNEC、富士通、あるいはパナソニック、SONYになっていたはず。

ここで起きていた種目の転換は、日本企業の同質的で連続的、固定的な組織が持ちうる能力では対応しきれないくらいの変異幅だったのである。

生産工程を外注して自らはデザインやマーケティングに、集中特化するファブレス戦略も、

ファブレス型のビジネスモデルに移行するか否かというおおきな戦略的意志決定と

戦略的変異の幅が極めて大きくなってしまうと、アンゾフの指摘通り、組織はそれについていけなくなり、戦略は絵に描いた餅になる。その一方で現有の組織能力の変異可能性の範囲で戦略を描いても、破壊的な環境変化には適応できず、まさに破壊される戦略になってしまう可能性もある。

急速に変転を続ける最適戦略を打ち続けられれる組織能力を持っていることが真の競争優位性の源泉なのである。

コンサル雇うくらいなら、世界標準の経営理論、経営戦略原論を購入してみんなでしっかり勉強して自分で考えた方がはるかに安上がりかつ有効である。

イノベーションの時代を経営するには、一方で既存事業を「深化」して収益力、競争力をより強固にする経営と、イノベーションによる成長機会を「探索」しビジネスとしてものにしていく経営の両方が求められる。

ある製品のバリューチェーン全体を見たときに、川上と川下の利幅が厚くなる一方、真ん中の製造工程はほとんど利幅をとれなくなる現象をスマイルカーブとようでいる。

川下側で巨大なプラットフォーマーになったのがグーグルやアマゾン、アップル、フェイスブック。川上側のコンポーネントプレーヤーにクアルコムやソフトバンクによる巨額買収で話題になったアーム、さいきんではAI領域のNVIDIAもここに入るだろう。

誰にでもできるようになるから、スマイルカーブ現象は流れとしては避けられない。

大手製薬メーカーのコアコンピタンスは、資金力、グローバルの臨床試験のネットワークと認可取得などの後行程のリサーチインフラ、さらには生産設備やグローバルなMRと販売インフラにシフトし、ある意味、そうしたプラットフォーム上で、既存の新薬と開発中の新薬をベンチャー買収の手法も使いながらポートフォリオ的にマネジメントするビジネスに変質したのである。
こうなるとより資本集約的、設備集約的なプラットフォームビジネスになっていくため、従来の垂直統合的なメーカーモデルでの差別化が難しくなり、世界の既存製薬メーカーは、さらに巨大なメガファーマーに収斂していった。こうしてベンチャー企業群とメガファーマーという、ある種の水平分業的な産業構造が形成されたのである。

借り入れ比率の高いいわゆるハイレバレッジ産業である、エアライン、不動産、エネルギー産業

皆さんがどうしても残したいものがこれからの日本にとって有用なものであれば、必ず生き残るはずだ。

出世争いで生き残った人材を対象に前任者や社長OBたちが密室でごそごそきめるなんて話は論外である。

想定要件の幅は、先に行く程広げておく必要があるので、候補群をポートフォリオ的に設定し、候補者たちを、時間をかけてテストしながら育成していく必要がある。

彼は若すぎて周囲が付いてこない、となるのは周囲に「行動変容」させる努力をしていないだけの話。破壊されるかもしれない恐怖の局面で、人が付いていくのは自分たちの生活や人生を守ってくれそうな人物。若いかどうか、いいやつかどうかなんて関係ない。

残高の底は25日の給料日の後なのである。

資金ショートの危機は、従業員1/3のリストラと創業リーダーだった吉越社長の懸命の努力、まさに命がけの頑張りによる増資で切り抜けた。

cashイズKing

会社は葬儀代もかかる。カネがなければ、退職金も払えないのである。葬式も出せないから死ぬこともできない。先立つものがないと、何もできないのだ。

あなたが出している問いはくだらないのではないか
あなたが期待している答えはAだと思うけど、私はその問い自体を意味がないと思う。

IGPI 8つの行動指針

ディスシナジー
個々の企業の閉鎖性、固定性
業務やIT統合の失敗、工場再編の遅れで過剰設備を抱えてしまう失敗、間接部門を二重に抱えたままコスト効率も意志決定スピードも低下する

PMI 買収後の経営統合

日本の事情は違う しかし、まさにその事情こそがトランスフォーメーションのターゲットなのである。

経営幹部候補の国籍、性別、年齢の多様性を実現することに本気で取り組むべし。

CX度合いを測る最後のもっとも重要なメルクマールは
ずばり世界中の優秀な若者から選ばれる会社の姿かどうか?である。

人材力で成長してきた会社だ。
東京大学、京都大学の現役就活生が選ぶ、人気企業ランキング ワンキャリアサイト

本質的で、したがって長期間にわたるストレスを強いる

それを達成するための組織能力の変容度合いの設定であり、そのトランスフォーメーションを実現するためのロードマップ、すなわちCXゴールとCx基本計画なのである。

トップリーダー候補になることを、皆が羨ましがる時代はとっくの昔に終わっている。

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