見出し画像

sosoの素(71)

海外旅行回想記4

お酒も飲めないし、なんて答えたらいいかわからない僕は必死にない頭を使ってお酒が飲めないからソフトドリンクだと思いつき「Soft drink please」と不安混じりな声で伝えてみる。そうするとひどい下ネタでも聞かされたかのような不信感満点な表情で「What?」と返ってきた。え、え、ソフトドリンクて通じないの?和製英語?発音が悪い?他になんて言えばいいの?とパニックになりながらも何度もくじけず「Soft drink」「Soft drink」と言い続けてると一生懸命考えてくれて「Cook?」と聞いてくれ、元気に「Yes!」と答え、今ないから後で持ってくるねみたいなことを言って過ぎ去ってくれた。
今考えればソフトドリンクなんてわかりにくい言い方じゃなくて、ウォーターやティーやコークといえばいいし、一度伝わらなかったら違う言い回しを言えばいいんだけど、日本人の客室乗務員さんが来てくれたらいいのにとか、大きなリアクションでwhat?と聞き返されたこと、自分の言ってることが伝わらないことへのパニックで何度もソフトドリンクを連呼し、困らせてしまった。ガイドブックには機内食は2種類くらいあるとは書かれていたけど、最初にドリンクが出てくるなんて書いてなかった!と一人ぶつけるところのない怒りもこみ上げて来たけど、一人だから誰かに伝えれるわけでもなく、この時、自分が英語を話せない現実と初めて直面し、これから2週間やっていける自信がなくなり行きの飛行機で早くも帰りたくなってしまったのです。
そう思ってもここは飛行機の中。そして出発するまでにたくさんの人に今度海外に初めて行ってくる、それも一人でとまだ何もしてないくせに自慢げに話しまくってる手前、ソフトドリンクが通じなかったとめそめそと帰るわけにはいかない。そもそも元々英語は苦手で話せいないことは自分でもわかってたくせにいざ直面すると逃げ出そうとするなんてカッコ悪い。そう思って持って来てた電子辞書と旅行用英会話ブックを片手に少しずつ勉強し始めた。

今の時代では考えられないくらいガラガラの機内。飛び立ってからみんな自由に席を移動していて、僕の6人列のシートは僕以外誰もいない。肘置きを全て上げて横になって仮眠をとったりできた。何度も飛行機に乗ってるけどこの時以外こんなにガラガラの飛行機に乗ったことはなかった。燃料サーチャージもなかった時だし、テロ対策のようなものもほとんどなく、ちょっと前にのことなのに緩やかだった時代。航空会社もとりあえず飛ばしとけみたいな感じだったのかもしれない。

機内では到着を前に入国カードが配られ、それをガイドブックと電子辞書を相棒に間違っていたら捕まるのかな?なんて心配をしながら慎重に書き込み、初めての海外、マレーシアに着陸態勢に入っていった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?