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【グッバイ宣言杯】聴き殺された人による「歌ってみた」まとめ

(2021年 5月31日投稿)

The First Stepさんによる第10回歌ってみた大会「グッバイ宣言杯」
(2021年 5月22日~29日)
皆様お疲れさまでした!!!!

一曲一曲の感想は引用リツイートしたのですが、
書き足りないことがたくさんありますので、この記事で書いていきます。

僕は歌い手でもMIX師でもボイストレーナーでもない、ただのボカロPです。
しかし、これだけの曲を聴いて確実に耳はレベルアップしました。

歌い手として楽しむ人、聴き手として楽しむ人、それぞれだと思いますが、
皆様が「歌ってみた」を楽しむ一つの余興となればと思います。

「グッバイ宣言」 歌ってみたの難所

そもそもこの曲、ムズいよね?

この曲を歌う時の一番の難関はやはり、
サビの速い歌詞「引き籠り絶対ジャスティス」、そして高音へ跳躍する「俺の 私だけの」の部分でしょう。

「引きこもり絶対ジャスティス」の最後の「ス」の部分、めちゃくちゃ短い音です。

これだけならまだしも「ス」の次になんと、「お(シ)れ(ファ)」で高音に跳躍します。鬼畜の所業!!!
(もちろん本家はボーカロイドに歌わせているのでこういう無茶ができる)

ここを本家同様に歌った人は、10%以下だと思います。
むしろそんなにいるのがすごい。

技術的に難しいですが、工夫はできます。
基本は「ス」を「s」くらいに短くして「お」につなげる場合がほとんどでしたが、
「ス」をいっそ発音しない方が、5%くらいいらっしゃいました。

こうすることで一文字分の余裕が生まれ、次の高音に備えることができます。


そして「俺の」の部分は裏声で…いやいや、そんなに速く歌えるかい!?
「ス」よりも断然難しいのはこちらの跳躍ですね。
人間の喉じゃねぇ!!!(本来ボカロです)

でもここも、工夫された方いらっしゃいました。
コーラスで高音当てればいいんです。

メインボーカルで歌詞を歌うときに下のファを出して、コーラスで(裏声になるでしょうが)オクターブ上のファを出す。理屈で言えばこれでムリなく、それっぽく聞こえるはずです。
(「わたし↑の」の部分はソです。)

サビのユニゾン・ダブリングはかなり多かった印象があります。
一発で高音出せるに越したことはないですが、やっぱりサビは複数トラック使って豪華にしたほうが映えますね♪

声質×歌い方×エフェクト

1,歌い手自身の個性(キャラクター)を前面に出す声質。

2,歌い手の持ち技となる歌い方

3,MIXで豪華にするエフェクト

声質と歌い方とエフェクトを外見で例えるならば、
生まれ持った顔と、表情と、お化粧、ということになります。
(なんちゅう例えだ)

それぞれ分けて考えると、無表情なのか表情豊かなのか、
すっぴんなのかナチュラルメイクなのかバリバリメイクなのかが分かってきますね。(いや、例え)


◆歌い方
「グッバイ宣言」で頻出の歌い方をまとめてみました。

・音を切ってリズミカルに聞かせる。
「エ・マ・ア・ジェン・シー・れぃ・じ」みたいに音を区切る。
スタッカート気味に歌うと疾走感が出やすいですね。Bメロも同じ手法が使えます。

・ロングトーンを出してビブラートを聞かせる。
「折の中でぇぇぇ」と伸ばす。
次の歌詞は別トラックにすると贅沢に伸ばすことができるのが強み。

・全体的に震えている歌声
女性でやってる人が多かった印象。
速いサビでも音程に自由がききやすいのが強み。

・がなり声でしゃがみ、サビへの助走をつける。
「意味を持たない」の「た」でがなる人が多かったです。
「サヨウナラ」の「サ」の場合もありました。
この辺りはアクセントとして使ってる方が多かった印象ですね。

・巻き舌
ロックでワイルドな印象を与えます。ラ行が結構多いので入れやすいです。「ゴロゴロ」「ルルル」など。
あとは最後の「狂い咲く」の「る」で巻く人も多かったです。


頻出の歌い方ってことは、みんな聴き慣れてるので一つずつだとあまり面白みは…(ゴメンナサイ)

上手い人は、こういうの複合させて使ってくるから個性的に聞こえるんですよね。しゃくりや裏声と混ぜたりして。

しらスタさんの動画は歌い方に関してかなり詳しいので、これから歌ってみようって方は特に見たほうが良いです。


◆エフェクト
「グッバイ宣言」で使われたエフェクトをまとめてみました。

・ユニゾン(同じトラックを重ねること)
80~90%くらいのサビには入ってる。これなしではやはり物寂しい。

・リバーブ(残響)
ぶ厚めにするとテクニックなくてもそれっぽく聞こえる。
でもずっといるとくどいっていうエフェクト。
ディレイ(反響)は要所で使うと結構印象に残りやすい。

・ケロケロボイス、ロボットボイス
これは頻出ではないです。多分5%くらい。
歌い手の声質を半分犠牲にしますが、キャラクターは出しやすい。

・PANを左右に振る
デュエットで「俺の」「私の」を左右に振っていたり、
「ゴロゴロゴロゴロ」で移動させたり。

・コンプレッサー、イコライザー、ディエッサー
この辺りはMIXの観点なので僕の知識不足です。

歌い手のもともとの声質なのかそれともエフェクトによるものなのか、
本来の声聞いてないと聞き分けできないのが悩みどころですね。

MIXできる人なら判別は簡単かもしれませんが、
これに関してはたくさん聞いても確信は持てませんでした。


別トラック(コーラス・ハモリ・アレンジ)

歌詞に加えて別のトラックが入ることはたくさんありましたが、
3パターンに分けました。

,メインボーカルの後ろで鳴るトラック。
,イントロやアウトロで鳴るトラック。
,そもそも英訳の歌詞

が多かったですね。30~40%くらいはあったと思います。
サビで低音鳴らしたり高音鳴らしたり様々。

「グッバイ宣言」の場合サビで完全4度に転調しますが、高音が難しいので上のコーラスがしっくりくる印象があります。


問題はの方。
イントロアウトロでいろいろアレンジつける方が意外と、かなり多かったです!正直聞いてて楽しいけど、やった人全員覚えきれないほど多かった。

イントロだけで言っても例えば、
・ハモリ(アカペラ的なロングトーン)
・スキャット(イェイイェイとか)
・ラップ(3人ほど。アウトロにも入ってたり。)
・自己紹介系(印象深い。2人ほど。)
・寸劇系(これが多い。笑わせてきてまともに聞けないのが多数。)

の英訳はたしか3~4人いらっしゃった。
英訳するとそっちの雰囲気も楽しめるのでやっぱり印象に残りますね。
英語の意味が分かれば、「うまい!」と言いたくなります。


アレンジが歌ってみた祭りの醍醐味と言ってもいいくらい多様な曲が聴けました。歌のうまさとは別の方向で楽しめたことに本当に感謝します。
やはりエンタメとしてサービス精神とか笑いは大事だってことを痛感しました。


フェイク

フェイクっていうのは、
ざっくり言えば楽譜上とは違うメロディー・リズムで歌うことです。

これで視聴者のハートをがっつり掴んでしまうことも多々あります。
僕はフェイクでたくさん掴まれました。

説明するより実例聞いた方が速いので、申し訳ないけど名指しします。
No.172 ましろ.様 「絡みついた」
No.372 小町まこ様 「エゴ放つのさ」
No.442 だば様 「折の中で」
No.163 もちもちもっちゃん様 該当箇所多数

音符で言ったらタイミングがズレてたり音程が違うんですけど、それが違和感ないしむしろオシャレっていうテクニックですね。
あんまりズレすぎると音痴になっちゃうんですけどね。


『印象に残る』歌ってみたとは?

さて、お待たせしました。本題その2

印象に残る』歌ってみた とはどんな作品なのか?

同じ曲を585種類聞いた僕が明らかにすべき結論はこれです。

585曲全部、こと細かに覚えてられるはずがないんですよ…

でも印象深い人の「グッバイ宣言」は、他の「グッバイ宣言」を何曲聴いても、1週間経っても、覚えてるものです。

上手い人・面白い人はたくさんいて、名前を挙げることは大変心苦しいです。(重要)

でもおひとりだけ、特に『印象に残った』曲を挙げさせていただきます。






【グッバイ宣言杯・エントリーNo.285】瑞菜様 @Mizuna4KRKT
YouTubeでフルが投稿されていました。

「グッバイ宣言」が投稿されたのは2020年4月13日。

『歌詞中には新型コロナウイルス感染症の流行によって自宅に引きこもらざるを得なくなった人々へのメッセージが込められている。』
(Wikipedia-グッバイ宣言-)

2020年4月7日に東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言、4月16日に対象を全国に拡大しました。


瑞菜様の曲では
身近で起こる緊急事態宣言(延長)に対する憤り。

感染を拡大させてはならない、という危機感がこもった
「引きこもり絶対ジャスティス」

この曲の真意に寄り添い、ストーリーがより色鮮やかに、そして感情を昂らせるようなロックなアレンジがされたのではないでしょうか。

「すべてが終わったら…」

曲後半では希望に満ちた展開がされています。

そこには歌うだけでは追いつかない感情表現がありました。



SNSや動画投稿サイトの後押しもあり、歌い手さんはここ数年でとても増えてきました。いわゆるプロの歌手と、歌唱力はほぼ変わらない人も多いです。そのレベルになると、僕含め一般人が上手い下手聞き分けることはとても難しいです。

でもとりわけ、その人の個性というかバックボーンで興味を持たれる人が伸びている。


印象の残る歌ってみた』を投稿するには、

「自分がめちゃくちゃ共感できる歌で、自分自身の感情を最大限表現する」

これが、僕の出した結論です。

なにより自分の感情に正直って気持ちいいですよね。

これはアマチュアだからこそできることです。

そこからたくさんファンができる人もいます。


歌い手皆様の本心に沿って、より良い活動ができますように。

それでは、サヨウナラ!(*ゝω・)ノ

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