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音楽とエッセイ

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音楽が人生と交わる瞬間は、僕らは音と共に生きている。
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ドラム音が映し出す景色 The 1975 If You're Too Shy

薄い雲空をジェット機が切り裂き薄藍色の空が顔を出す。人間の脳は概ね3歳以降の記憶しか保てないというから、僕の記憶は1994年からスタートしていることになる。でも、僕の記憶を煌びやかに蘇らせるその音楽は、僕が生まれる5年以上前に作られたものだ。

そのドラムの音の音が一つのその光景を映し出す。突き抜けたようなドラムの音、音圧は低く、遠くではスーッというホワイトノイズが聞こえる。でもそれがまるで自分が

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埼玉に届いているよ- What Can I Say?〔Sam woods〕

埼玉に届いているよ- What Can I Say?〔Sam woods〕

Youtubeのレコメンドって、改めてすごいと思う。彼がこの動画をYoutubeに上げたのは一週間前。昨年5月ぐらいに出会ったチャンネルがマジでナイスすぎて、日本の誰もまだ記事にしていないようなマイナー中のマイナーなアーティストを取り上げて24時間音楽を流してくれる。

そこからちょっと売れたりする人も出たりすると、日本から足が離れ、世界中に足を伸ばせそうな気がしてほっとする。世界一周をした時には

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アメリカ人夫婦バンド tennisの世界 ‖ 音楽とエッセイ

アメリカ人夫婦バンド tennisの世界 ‖ 音楽とエッセイ

tennisの新曲が衝撃的すぎたので、彼らのことがもっと知りたくなった。

白ひげ真っ赤なサンタに、ぼうっとした穏やかでまばゆい電飾の光。曇りガラス越しに見るような靄がかった景色が、僕が小学生の時に夢見たクリスマスだった。アメリカが掲げた余裕があってきらびやかで、それでいてどこか厳かなクリスマス。50年代から80年代後半ぐらいまであったあの時代の空気がtennisにはある。

tennisのことは

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Blurと先輩 《音楽とエッセイVol.1》

Blurと先輩 《音楽とエッセイVol.1》

なんでみんなには、先輩がいるのだろう。

小学生のときからずっとそうだった。いつのまにか友達には「この人といったらこの先輩とセット」みたいなバディが組まれていて、僕はといえば、だれかのことを先輩と呼べると思う人はいなかった。もちろん周りにはやさしい人はいて、先輩と呼んだら応えてくれそうな人もいたけれど、バディと呼べるほどがっちり組み合った人はたぶんいない。

僕が人見知りだとか、趣味が合う人がいな

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いつまでもcome again <m-flo>

いつまでもcome again <m-flo>

秋の香りが鼻をくすぐる季節になると必ず聴く曲がある。

リサの声と軽快な音の粒を聴いていると、体の中にある粒子が騒ぎ出す。僕の中でこの曲は20年近くたった今でもずっと新しく、衝撃的なままだ。

小学校4年の時だった。毎週楽しみにしていた朝のニュースの音楽ランキングで、突然この曲が流れたのだ。その頃の僕と言えば、音楽はドライブ中に聴くものと決まっていて家でほとんど流れることが無かった。邦楽といったら

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