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DSMは進化するか

まずは、タイトルの小論文、ダウンロード先から…。

本論は『精神神経学雑誌』(第114巻、第9号)の「巻頭言」であった文章です。

まずは、順を追って、文章を追い掛けてみましょう。

DSM-5のドラフトに出てくる気分障害関連の英語病名をどう訳すのが適切なのか、という翻訳指針を完成させつつある。

タイトルの論文より

上記にある、「DSM」というのは、アメリカの精神医学会が定めた疾病分類のことで、その「第5版」を「DSM-5」と呼び慣わされているのが、本論を読む場合の基礎知識である。以下、参考までに、Wikiのリンクを貼っておく。

続いて、本論は、こう継続されていきます。

従来の翻訳に関しても、そのまま継承してよいのかを検討している。Disorderは障害と訳され、「害」は日本語として良くないということで、それが「障碍」や「障がい」などとして使われ出した。Disorderを、いっそのこと「症」で統一しよう、という意見もある。統合失調症や認知症にように、例えば不安障害を不安症としても差し支えはなかろう。

タイトルの論文より

これをして、その昔に「躁鬱(そううつ)病」と呼ばれていたが、それが「双極性障害」と和訳されている現状から、将来は「双極症」と呼称されるようになるのではないだろうか?という、その議論の所以となっている。

引き続き、本論に目を落としてみよう。

さて、DMD-5に話を戻すと、これがまたすこぶる評判が悪い。一流の学術誌のみならず、ニューヨーク・タイムスなどの一流新聞にも、批判論文・記事がよく載るそうである。疾病の閾値(しきいち)を下げている、診断一致率が悪い、そもそも改定が必要なのかと、挙げればきりがない。

タイトルの論文より

ここ日本国内でも、某精神科医による日本語の著作にて、DSM-5を批判する書籍が刊行されるなど…状況は変わらなかったことを思うと、本国アメリカにおける、DSM-5の受け止め方に追随していたものであったのだと、その実情が見えてくる。ちなみに、こちらの小論文は2012年の文章である。

上記、書籍の、日本国内における出版年は、2013年である。

以上くらいが、本論文、その骨子を理解するには、十分な情報だと、小生には思われる。

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